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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第四章 灰色のティア
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08 あれれ? カレンVSチキ

 一方、カレンとチキは壮絶な地上戦を繰り広げていた。

 チキがグオーレンの片目を潰したことによって余計に暴れだし、ところ構わず拳と脚を振り回す。

 行動に規則性が全く見られないために接近することすら困難な状態になっていたのだ。


「くっ、貴様が格好つけたばかりにこんなことに・・・・・・」

 カレンは紅の瞳でチキに白い目を向ける。

「し、仕方ないじゃ無いのよ! もうやっちゃったんだから!」

 相変わらず二人は犬猿の仲といった様子だった。


「さて、どうやって仕留めようか。奴は元は人間とはいえ今はほぼ獣同然。眼が機能しなくても鼻で私達の動きを掴んで来るだろうな」

「そうですね。まがいなりに私も獣の血が流れているのでなんとなく分かります」

「あら、それはモノだって同じよ。なんなら魔人のアンタより獣だわ」

 チキは肩に乗る猿に手を伸ばす。

 ウキキ、と猿はゴリラのように胸を叩いて鳴いた。


「とりあえず奴の動きを抑えなければあの技は使えない。少しずつでもいいから体力を削るぞ」

 カレンは魔刀ヤヌスに炎を纏わせてグオーレンの背後に周り刀を振る。

 グオーレンは切られるとグオォと呻いては、その方向に向かって拳を向かわせる。

 それを華麗に避けてまた別の箇所を切り裂き、躱して、切って、躱して、切ってと連続でダメージを与えていく。


 しかしグオーレンは段々とその動きと痛みに慣れてきたようで、数回カレンは刀でガードして受け止める場面があった。

 カレンの予想通り鼻も利いてきた上に、皮膚も獣の丈夫な皮へと変化していったのだ。

 チキもお手前の身のこなしで躱すことには支障が無かったが、ミセリルコリデの刃は殆どグオーレン皮膚を通さないでいた。


「うう、刃が全然通らない・・・・・・」

「私も《火炎付加ファイアエンチャント》で威力を上げているのに対して利いてないようだ」

 二人は一度グオーレンから距離をとって呼吸を整える。


「チキは盗賊スキルで足止めできるようなスキルを持ち合わせてないのか?」

「残念だけど持ってないわ」

「そうか・・・・・・。一度あの技を試してみるか?」

「無理よ! あの技は光速を纏うんだから精度が何より大切なの!」

「チキが避けられるなら問題無いのではないか?」

「ウチに死ねと?」

「冗談だ。しかしこの獣を仕留めるには骨を断つ威力と速さがあるこの技しか無い。なんとかして足止め出来ないものか・・・・・・」


 既に優理はクリプトと空中戦へと突入しており、視界からは消えていた。

 カレンが真剣に悩んでいると、チキが急にその場に座り込み腰のポーチをごそごそと漁り始めた。


「チキ一体何をしているのだ?」

 カレンは目を点にしてチキを上から眺める。

「何って、そりゃお腹すいたからおやつを食べるのよ。腹が減っては戦は出来ぬって言うでしょ?」

 何当たり前のことを聞いてるのよ、と言わんばかりに至極当然に取り出したのは黄色い果実、バナナだった。


 そのバナナの皮をペリペリと剝いていくチキ。

そして剥き終わったバナナを口に咥えようとしたところでチキの手が止まる。そのままの状態で顔を動かさずに視線だけを斜め上に向けると・・・・・・。

「ひぃ!」

 さっきまで点だったカレンの目が今度は三角になっていた!


「チキ・・・・・・貴様というやつわあぁ!!」

「ご、ごめんなさい!」

「どうして戦場でおやつなど口にできる? 無神経にも程があるだろう!」


 カレンに詰め寄られたチキは目に涙を浮かべながら両手を挙げた。と、同時に折角用意したバナナも手から滑り落ちてしまった。

すると今度はそれに対して

「貴様ぁ! 無神経の次は無頓着か! 食べ物を粗末にするなんて言語道断、たとえ仲間であっても許さないぞ私は!」

「そ、そんな、今落としたのはカレンの・・・・・・理不尽だよぉぉぉ!」


 二人がわちゃわちゃする中、猿のモノはチキの落としたバナナをあっという間に平らげ、バナナの皮をポイっと放り投げた。

「ちょっとお二人とも落ち着いてください。今はそんなことで言い争ってる場合ではないですよ。グオーレンが近づいてますよ! お二人とも!!」


「グガオアアァァァ!」


 グオーレンが凄まじい雄叫びをあげる。

イリィの必死の仲裁も既に遅く、その咆哮に耳を塞ぎ見ると、グオーレンは二人の目前へと迫ってきていた!


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