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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第四章 灰色のティア
38/60

02 チキの強さは太陽級

蒼骨渉です!

新作を書いていて本作の執筆が遅れている!!

ただこっちは新作とは違って終わりまでしっかりと構想ができているので、パソコンに向かいさえすれば描けるので安心してください笑 (スランプは未だ経験してない)


さらっと新作って書きましたが、新作の学園物を2つ投稿しています!

まだざっくりとしたテーマと内容しかできてないので冒頭のみですが、この2つのうち評価の良い方をしっかりと構想練って連載していく予定なので、評価とコメントおなしゃす!

修練の塔を出た三人は再び自然の監獄(フォレストロジャー)の方へと向かって足を進めていた。

 チキが自然の監獄に来た目的の金のリングを親分に試すためだ。

「さっきやっておけば二度手間にならずに済んだのにさ」

「うぅ・・・・・面目ない」

 チキがふざけたせいで一人置いて行かれた事を嫌みっぽく伝えた。

「まぁそれは良いとして、二人はどんな修練をしたんだ?」

 修練から帰って来た二人が何故か言い争いをしていたせいで聞けなかったが、一体どんな内容の修練をしたのかが気になっていた。


「まずは互いにティアの精霊からティアについてのレクチャーを受けて、その後にチキと共闘でイリィと戦ったぞ」

「え、イリィと戦ったの?」

 カレンはコクリと頷く。

「ウチの可愛いモノと違ってイリィはマッスルが半端なくてよ! もう精霊というか魔人だったよあれは」

 チキが両腕に力をグッと入れてマッスルポーズを取ってみせる。

 チキの肩に乗るモノも同じポーズで凄さをアピールした。


「た、確かに見てくれだけならイリィは強そうな体つきしてるよな・・・・・・」

 二人がイリィと戦う姿を想像して優理は身震いをした。

「自分の精霊と戦うってのは少しばかり気が引けたが、最後はそんなこと考える暇も無かった」

「そんなに凄かったのか」

「最初の方は修練っぽくイリィがアドバイスをしてくれたが、後半はほぼ実戦って感じだったな。新技を完成させるのが二層のミッションだったし、骨が折れる修練だった」

「カレンはまだ良いわよ! ウチなんてダガーだからイリィの攻撃をまともに受けられやしなかったんだから。躱すのに一杯一杯で・・・・・・」


 二人の苦悩の表情が修練の辛さを物語っていた。

「でもねー、良い技できたもんね!」

「ああ、そうだな」

 チキとカレンは互いに視線を交わして微笑みあった。

 こうして見ると二人はまるで姉妹のようで、性格は全く違うけれど相性は抜群なのかもしれない。と優理が二人の姿を見つめているとチキが振り向いて、


「優理はどんな修練をしたんだい?」

「僕も二人と同じで新しい技を練習してたよ」

「え! あのかっこいい魔法みたいなやつじゃなくてまた新しいやつを習得したの?」

 チキは目を見開いて驚いていた。

 僕はかっこいいと褒められて嬉しくなり、顔を緩ませて頷いた。

「ちなみにどんな技なんだ?」

「それは見てのお楽しみだな」

「えーいいじゃん、教えてよ!」

 勿体ぶる優理にチキはぶーぶーと口を鳴らす。


「優理のことだ、凄いのを期待しているぞ」

 カレンからはかなり厚い信頼を感じる。まだセピア世界で出会ってから一週間も経って無いのにだ。確かに二人で乗り越えた壁は何枚かあるがこんなにも強い信頼関係が築けるのは何故だろうか? 孤児院にいた頃なら想像もできないことだっただろう。

 そんなことを考えていた時だった。


―――――優理、ありがとう・・・・・・・・・・・・。


 右目に涙を流しながら僕の胸に顔を埋めて泣くカレンの姿が脳裏に浮かんできた。

「これは一体・・・・・・」

 目眩でもしたように左目を押さえながらよろめき膝をつく優理。

「優理大丈夫か!?」

 急に膝から崩れ落ちた優理の顔を覗くようにしてカレンがしゃがむ。

「カレン、今泣いてなかったか?」

「私がか? いや泣いてないぞ。それより立てるか優理。ほら私の肩を使え」

 突然何を言い出すんだ? といった表情で僕を見てからカレンは僕の腕を肩で背負って立ち上がった。

 カレンは泣いていなかった。しかもカレンの右目は・・・・・・。

 横目でカレンの顔を見るが、やっぱり右目にはいつもの黒い眼帯がついてあった。

 それならさっきの光景は幻覚なのか? それとも未来予知? ティアの力はまだまだ計り知れないから可能生としてはあり得る。


 もっとご老人に聞いておくべきだったな・・・・・・。

「また魔力の欠乏で力が抜けたのか優理」

 チキは手で口を覆いプププと笑っている。

「馬鹿にするな、ちゃんと魔力のコントロールも訓練してきたからな」

 そう、僕等は修練の塔でティアの魔力について全てではないが学んできた事がある。

その一つが魔力のコントロールの仕方についてだ。


第一層で《虹の結晶欠泉(クリスタルガイザー)》を出した後に僕は魔力の欠乏で全身に力が入らなくなった。

もし戦闘中に同じような事態に陥ってしまえばその場で終わりだ。

だからそうならないためにもティアの魔力をコントロールする事は何よりも大事な事だった。

ティアの魔力をコントロールするには、魔力最大容量と使用量を把握する必要があった。


その際にやらなければいけないのはティアとの【融合】である。

雫型の宝石であるティアを己の体内に溶け込ませる。そうすることでティアは心臓のように体内と一体化をする。

一体化してしまえばあとは感覚値で魔力がどの程度残っているのか、今どのくらい使用したのかが分かる。

イメージとしてはコップの中に水が入っていて、コップに満杯の時が魔力が最大にある時。飲んだ水の量が使用した魔力量。コップに残っている水が残りの魔力。これが目に見えるのと同じように体で感じられるようになるってわけだ。

修練の塔ではこの感覚を鍛えることと、使用した技がどのくらいの魔力消費量なのかを試して掴むことを繰り返した。

そしてご老人が言うには、魔力は使えば使うほど最大量が増えていくらしい。

筋肉を付けるために筋繊維を壊して修復して、また壊して修復してと繰り返すのと同じ原理だそうだ。

ただその時にご老人は詳しく言及しなかったが、ティアの魔力にはもう一段階上があるような事を匂わせてきた。

きっとまだ使いこなせない上に必要ないと判断したのだろう。

修練の塔自体も、今必要な段階までの修練を施す塔だと言っていたからな。

逆に言えば、近い未来に今回習得した技を使わなくてはいけないような敵に出くわすということになる。

ソラの救出はただの救出では無いってことだな。


「カレンもう大丈夫だ、ありがとう」

「わかった、また辛くなったら言ってくれ」

 カレンの肩から腕を外して元に戻る。

 そこから暗く長い通路を真っ直ぐ進み、チキの親分の居る牢にまで戻ってきた。

「モノ、金のリングをちょうだい」

 黄色い蝶ネクタイをした猿が金のリングを取り出してチキに渡し、チキが親分の太い指に通す。

 優理とカレンは黙ってその様子を見届けるが、

「ふぅ・・・・・・。やっぱりだめなようね。まぁ最初からなんとなく分かってた」

 チキは深く息を吐き出した後に吹っ切れたような口調で笑って見せた。

 でもその笑顔はいつもより切ない笑顔だった。


 今回の件でしかまだチキとは接していないが分かったことがある。それは彼女はとても我慢強い子だってことだ。

 今も本当はすぐにでも泣いて親分に抱きつきたいはずなのに、彼女は一滴の涙も流さずに僕達に心配をかけないようにと笑ってみせた。

 それだけじゃない。普段からのとにかく明るく前向きにいる姿勢は目を見張る程だ。

 人間はそんなにずっとニコニコ笑って過ごせるような生き物ではない。色んな感情に心や体が支配されて落ち込んだり、悲しんだりする。

 でも彼女は笑って見せる。

 どんなに辛く悲しいことでも、明るくいようと懸命に笑う。

 その強さたるや百獣の王である獅子にも匹敵するであろう。

 そんな彼女でさえ上手く笑えない時があるのだ。


だからこそ僕は、チキがそんな時だからこそ強く前を向いて引っ張ってあげたい、そう思った。

「大丈夫、絶対に親分は助かる。だから諦めずに一緒に探し続けよう」

 僕は咄嗟にそんな言葉をチキに送っていた。

 チキは鼻を膨らませながら唇を強く締めると、一瞬だけ顔を下に向けて隠した後、またいつもの太陽のような笑顔を僕に向けて、

「あったりまえよ! 絶対に親分を救ってやるんだからね、優理! アンタにも見つかるまで手伝って貰うからね! 途中でくたばりでもしたら末代まで呪ってやるわ」

 最後にニシシと、鋭い犬歯とピンク色の歯茎が見えるほど大きく口を開いて笑った。

「おう、墓に入ってもゾンビになって這い上がって来てやる!」

 優理も負けず劣らずの笑顔をして笑ってみせた。

「まって、ゾンビは嫌! オバケもだめだかんね!」

 ひぃー!と声を上げてチキは目に涙を浮かべた。

「優理が死んだら末代は優理になるから死人を呪うことになるんじゃないか?」

 カレンは冷静な分析で首を傾げた。

「死人を呪うのもかんべんしてえぇぇぇ!」

 一つ訂正、チキはホラーだけは無理みたいだ。


主な登場人物

・優理 虹のティアマスター

・カレン 赤のティアマスター

・チキ 黄のティアマスター

・修練の塔のご老人

・イリィ 赤の精霊

・モノ 黄の精霊

・ニュートン

・チキの親分

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