22 虹のティアの精霊?
第三章これにて終幕です!!
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次話から第四章に突入しますので、引き続き蒼骨渉をお願いします。
「では始めようか。まずはさっき使った技をもう一回やってみろ」
「えっと《虹の雫》ですか?」
「そうだ」
「わかりました」
優理は先の戦闘と同じく、虹色の雫型をしたレンズを左目に生成した。
「どうだ優理、何か気づいたことはないか?」
「気づいたこと・・・・・・、あ、なんか光の線みたいなものが薄らと見えます! 赤・橙・黄・緑・水・青・紫です」
初めて使ったときは必死過ぎて気づかなかったがレンズには七色のラインが見えた。
「そうだ。そのレンズはスペクトルの役割を果たしていて、難しい言葉だと光を分光してくれるモノのことなのだが、さして重要じゃないから置いておくぞ。とにかく様々な色を感知・識別してくれるレンズだ」
「色を識別してくれることによって何があるんですか?」
「君がこのレンズを生成するに至った理由が関係している」
僕がレンズを創りあげた理由、それは頭に描いた想像を瞬時に現実に映し出して創造するためだ。
「人間ってのは色を見ただけで感覚的に捉えることができる生き物なんだ。例えば赤色を見たときに血や火を容易に連想することができたり、黄色と黒の組み合わせを見ると危険を感じたりできる。まさしくティアの力を発揮するのにもってこいってことだ」
なるほど。僕達は普段から無意識にそのような感覚を使っていて、それ意識的にやろうとするとそれはそれは難しいことなのだ。実際に何回かティアの力で創造してきたから分かるが、それこそ最初の骸骨に使った《付加》や《七色に輝く鏡の盾》の時も意識してやるというより突発的に繰り出している事の方が多かった。
つまりこのレンズはレンズに施された色の線を目視することで、その無意識の感覚を誘発し創造することができるということだ。
「これを実戦レベルで扱えるようにするってことですね」
「まさしくその通りだ。あとは魔力のコントロールも体感覚で覚えてもらうぞ」
「はい!」
「いい返事だ、じゃあまずは《虹の結晶欠泉》を出してみろ」
優理は言われたとおりに《虹の結晶欠泉》を発動させる。すると、レンズに映る光の色の線がさっきよりも濃くなって見えた。
「これは・・・・・・」
優理は刹那驚き呆けていたが、何かに気がついたようにハッと顔色を変えて手のひらを上にする。
僕の考えが正しければ次の創造をした時に必ずあの色が光るはず。
目を瞑り記憶を遡って情報をアウトプットした後、眼を見開いて手のひらに生み出したのは、カレンが洞窟で生み出した灯火――火だった。
そして優理はレンズ越しに映るその火と他の色より濃く光る赤の線を見て確信した。
この《虹の雫》のレンズは創造した色に起因して光の線が反応するようにできている。さっきのご老人の話にあった通り、火を造りだそうとしたら赤の線が色濃く映り、それによって無意識の感覚を引っ張り出すことを可能にさせる。だからより速く、より正確に創造できるってわけだ。
思わず顔をほころばせて笑う優理を見て、教官も静かに唇を横に広げて頷く。
「よし、優理。もう《虹の雫》の使い方はバッチリだな」
期待と称賛の意が籠った声に反応して優理は深く頷いた。
「じゃあこの修練の最終ステップに入る」
教官は深く息を吸う。
「優理。今からお前には必殺技を完成させてもらう」
グワッと眼を見開いてその言葉を全身で受け取る優理。
なるほど、そうきたか。
どんな勇者やヒーローにも大抵一つや二つ、これだ! っという奥の手である必殺技
というのが存在している。
アソパソマソなら「アーンパーンチ」、ド○エモンなら「助けてドラ○モーン!」である。ん? 違うか? まぁいい。
世界を滅ぼそうとしている魔王に対して通常攻撃のみを使うとか、某無人島〇円生活における、ひたすらに小麦と水を固めたモノをチネってお米を作るようなことはしないのだ。
「そこでもう一つ大事なことを教える。《虹の雫》には八段階のレベルが存在していて、優理が使ったⅠは優理一人の状態でも使えるものだ。そしてより高度な技を発動するためには同じくティアの所持者の力が必要になる。今だと赤・黄・虹の三色だから、最高でもⅢまでということだ」
「つまり全員が揃えば最高のⅧまで使えるけど、今は居る三人で考えるということですね」
教官は無言で首肯する。
カレンの赤とチキの黄を組み合わせた僕だけのオリジナル必殺技を創り上げる。決して簡単ではないけど、他の誰でもない僕だけのってところが少年心をくすぐられる。
黄と赤でイメージできるモノといえば・・・・・・パプリカ? いやいや、流石に必殺技にするのは無理だろ。どこぞやのケンシなら老若男女問わずのヒット曲を作れるやも知れないが、少なからず僕には無理だ。
となると、既存のモノの組み合わせを試みるよりかは自分自身にゆかりのあるものから引き出してきた方が良いだろう。例えば想い出とか記憶とか。
ティア自体も想いが力の原石になるのだから寧ろそうであるべきなんだろうな。
優理は腕を組んで唇を触り続ける。
カレンが優理が悩んでる時の仕草だと言ったそのポーズである。
カレンと出会って、骸骨を倒して、自然の楽園に行き、グオーレ王国に着き、チキと牢屋に入り、自然の監獄に来るまでに赤と黄がでてくる何かがあったはず。ヒントになる会話がどこかに・・・・・・、会話? そうか! あった、確かにあったぞ! 僕は自分でソレを話していたじゃないか!
優理の両端が上ずった唇からは触れていた指がパッと離れ、それと同時に瞳孔の開いた眼が教官を鋭く刺す。
「―――! できたんだな優理」
その視線に気づいた教官も口元を引き締めてうっすら笑みを浮かべた。
「はい。これは僕だけのオリジナルの必殺技。僕にしか成せない《虹の雫Ⅲ》です!」
それから数十分間に及ぶイメージの構築とティアの魔力のコントロールを教官に指導されながら修練し、荒い呼吸と滲む汗で揺らぐ視界の中【Mission2 CLEAR】の文字を視認した。
「よくやった優理。見違えるほどティアの魔力を使えるようになったな」
慈愛の籠った優しい口調で教官役のご老人が讃えてくれた。
優理は仰向けに倒れながら左手に拳を作り握りしめると感極まったように、
「教官、ありがとうございました。僕は生まれ変わった気分です」
「はっはっは、確かに生まれ変わったと表現してもいい変化だからな、君のソレは」
「そうですね、まさかこんな姿になるなんて始めは思ってもなかったですから」
自分の成長とソレの成長を重ねながら言葉を交わす教官と弟子。
「そろそろ嬢ちゃん達の方も終わってる頃だろう。次のフロアが解放されないって事は、現状は修練の必要が無いって事になるな。現実世界でやるべきことをやってくるといい」
あぁ、そうだった。僕達がやらなければいけないことはソラ――水色のティアの所持者の救出だった。あくまでもこの修練は修練でしかなく、目的を達するための手段なのだ。
まだグオーレ王国には秘密がある。
テントの親子が言った「偽物」に、人が居なくなる現象、そして就任して僅か一ヶ月の大臣。これから一体何が待ち受けているのか、無事にソラを救い出すことができるのか。
問題は以前、雫のように天から振って降りてくるが、僕達は確実に前に進んでいる。
だが流石にちょっと疲れたな・・・・・・。
優理は落ちてくる瞼を防ぐことができずにそのまま目を瞑った。
そんな優理をみてご老人は「まだまだだな青二才め」とからかうように笑ってみせた。
すると優理のお腹のポケットがもぞもぞと動き出し、ハリネズミのニュートンが顔を出した。そのまま優理の体をトコトコと登って二足で立ち上がり、寝ている優理の顔をじーっと見つめる。
ご老人は両目を閉じたままでニュートンを感知たようで、しかしニュートンではなく別の名前を口にして驚いていた。
「・・・・・・リルラ? そうか、そういうことだったんだな」
ニュートンはその名前を呼ばれると老人の方に顔をくるっと回して見つめる。
老人も眼は閉じたままだったが、ニュートンの視線に合わせるように首を下げる。そして一言、
「君の所持者は最高の所持者のようだな」
ニュートンは誇らしげに胸を張った後、優理の胸の上でうつぶせに寝転がると心音を感じながら安堵の表情をする。
縦揺れのゆりかごに揺られながらニュートンもつぶらな瞳を閉ざしていった。
主な登場人物
・優理
・カレン
・チキ
・修練の塔のご老人
・リルラ?
・ニュートン
・イリィ




