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aラストティア ~荒野の楽園編~  作者: 蒼骨 渉
第三章 グオーレ王国
35/60

21 修練の塔 第二層

第零話でみせた虹の雫がでてきましたね。

今後もいろんな技が出てくるのでお楽しみに!

ブクマ・評価もお願いします!!

【Mission1 CLEAR】


 優理の頭上らへんに第一層突破のロゴが現れる。

 魔力の消耗が激しかったのか、虹色のレンズは消滅した。


 うっ・・・・・・。そうか、ティアにも魔力限度ってのが存在するのか。全身の力が抜けて体が鉛のように重たいぞ・・・・・・。

 優理は脱力してその場に手をついてしゃがむ。

「優理大丈夫か!?」

 カレンが慌てて近寄ってきて背中をさする。

「ありがとうカレン。ちょっと力が入らないかな」

 うっすらと笑みを浮かべてみせる優理の肩をカレンが担いで、出現した階段に向かう。

 チキも優理の肩を持ちカレンを手伝う。


「優理、さっきのやつは一体何だったの?」

最初のどうしようもなく翻弄されていた優理の雰囲気が変わり、迫力のある造形を生みだしたことに驚きを隠せない様子のチキ。

優理がどう説明したら良いんだろうとはにかんでいると、

「言っただろ? 優理は凄いって!」

 カレンは自分のことのように歓喜した。

「いや、まぁ確かに最初に比べたら凄いけど・・・・・・。なんだよ、あの魔法みたいな

技は! どうやったの教えろよー」

 チキは自分も優理みたいなカッコイイ魔法使いたい! と、うらやましさを込めたキラキラとした眼差しを優理に向ける。

「うーん、そうだな・・・・・・。イメージだよ」


 そう、イメージ。熟練し洗練されたスポーツ選手がスーパープレイを繰り出す時と同じく、頭で考えてやるのではなく感覚で自然にやっていたというそれ。考えてやっているわけではないので、もう一度やってと言われてもすぐにはできない類いのもの。人間の感覚的に言うならば第六感ってやつに該当すると思われる。


「イメージかぁ。そっかー、なるほどなぁ・・・・・・わからん」

 チキは腕を組んで頭を悩ませるが、体現できなかったようだ。

「チキは考えるより実戦しながら習得していくタイプって感じだもんな」

「そうそう、ウチは能なしだから、って誰が能無しじゃい!」

「自分で言ってたぞ?」

 腕を張って怒るチキに冷静な突っ込みを入れるカレン。

「ぷっ。あははは」

 そんな二人のやり取りについついおかしくて笑ってしまった優理。

カレンとチキは急に笑い出した優理を不思議に見つめるも、つられるようにして声をあげて笑った。


 これまでの人生でこうして誰かと一緒に笑って会話したことが何回あっただろうか。

僕はずっと一人で本の中に浸かっていた。それはそれでいろんな事を学べるし楽しかったけど・・・・・・今までなんで気付けなかったのかな。こんなにも心が温かくなることを。

二人の笑う顔をみて僕はまた笑っていた。


 次のフロアに続く階段は二つ用意されており、各階段にはそれぞれのティアの色に対応したマークが表示されている。左側の階段には赤と黄のティア、反対には虹のティアだ。

「次のフロアはチームに分れて攻略するってことか・・・・・」

 カレンは人差し指と親指でつくったL字型の指を顎に当てながら呟いた後、心配そうな顔をして優理を見た。

 それに気付いた優理は、

「僕なら平気だよ。少し休憩してから次のフロアに行くから先に行っててくれ。大丈夫、今の僕はさっきまでと違うから」

 そう、僕はさっきまでのイノシシに苦戦していた僕では無い。ティアの力を自分なりに使えるようになった正真正銘のティアの所持者(マスター)だ。


「優理が自分でそう言ってるんだから大丈夫でしょ。先に攻略して待ってるからあんたもさくっと上がってきなさいよ?」

 ほんと、チキは素直じゃないというか不器用だ。回りくどい言い方をするが実は心配してくれている。

「おう、待っててくれ」

 カレンは「そうか・・・・・・」と、未だに不安げな顔をするがチキに引っ張られるようにして階段に足をかけていった。

 優理は二人が次フロアに行ってから数分間、壁に寄りかかり腰を下ろして休憩していた。

 その間、全くといっていいほど音が聞こえてこなかった。全フロア防音仕様の壁なのかもしれない。

 上の階でどんな修練が行われているのか分からないが、ここまで静かだと心配になってくる。

 左手を握っては開き、また握っては開いてと、力の入り加減を確認してから優理は立ち上がり階段へと向かう。

全く同じ構造と光景の次フロアに着くと、例の如く空中にロゴが出現する。


【Mission2 《虹の雫(スペクトルコマンド)》を理解せよ】


 すると目の前に修練の塔の管理人であるご老人が姿を現した。

「よお優理ちゃん、無事一層は突破できたみたいだな」

 相変わらず両目を閉じたままなのにどうして分かるのだろうか。不思議だ。

「まぁ全身疲労困憊ですけどね」

「いきなりあんなものをかますからだ。いや、ほんとに、想像以上にできる子だ」

 叱咤と称賛を同時に受け取った場合はどう反応するのが正しいのだろう。

 結局中途半端な返事をして笑って見せた。


「さてと、じゃあ早速修練を始めようかと言いたいところだが、優理。お前さんには一つ言っておかなければならないことがある」

 緊張感が空気を伝って五感にを刺激する。

 修練の塔の説明といい今回といい、このご老人は偉才な空気感を漂わせてくるな。ただでさえ強面なのに・・・・・・。

「なんでしょう?」

 真っ直ぐご老人の開かない眼を見つめて答える。

「今回のこのミッション、教官役を務めるのは本来、儂ではなかった。今頃赤髪の嬢ちゃんと黄色のちび助も教官と共に修練に励んでいると思うが、本来の教官役はティアの精霊が担うものなんだ」

「ティアの精霊が教官役? でも待ってください! 僕にはティアの精霊が・・・・・・」

「そう慌てるでない。優理ちゃんの虹のティアにも精霊は存在している」

 どの口が慌てるなと言っているのか・・・・・というのはさておき、

「―――!? 僕にもティアの精霊が居るんですか!」

 居るなら早く出てきてくれよと言いたいところだが、ここまで頑なに姿を現さないってこと何かしらの事情があるのだろう。ただ、自分にもカレンやチキのように精霊が居るって聞けただけで少し安心した。


「ああもちろん居るさ。ただこれ以上は儂から伝える事はできない。禁忌に触れてしまうからね」

「禁忌?」

「その名の通りさ。優理ちゃんの精霊は禁忌を犯した、だから君の元には現れない。今のところはな」

 僕の、虹のティアの精霊は禁忌を犯した? セピア世界に来たときには既に禁忌を犯していたでもいうのだろうか? 精霊が存在していることは確かなようだが、余計に分からない事が増えてしまったな・・・・・・。


「まぁ一言だけ言伝を頼まれていてな、『自分を信じて頑張れ』ってさ。本当に健気な精霊ちゃんだよ。この想いに負けないように強くなるんだぞ優理」

 語尾を強めてご老人が言った。

 禁忌を犯してしまうような精霊だというのにどうしてだろう。僕はなんとなくだけどいつも側に居て包み込んでくれるようなそんな優しさを、今はいないはずの僕の精霊から感じていた。

「はい、頑張ります!」

 僕は反射的に威勢良く返事していた。


主な登場人物

・優理

・カレン

・チキ

・修練の塔のご老人

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