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メチャクチャ儲かったっす。

任侠ギルド主催のギルドマスターを決める決勝トーナメントが俺の優勝で予定通りに終わったので控え室に戻る。


戻ってきた控え室のイスに座っている俺の隣に立っていて、何度も俺を案内してくれた任侠ギルドの案内係だった幹部とそのまま話す。

俺の今日の予定は午前10時に早乙女商会のヨークル事務所でもふもふ天国の出入りの商人の選別と契約をしなければいけない。

「任侠ギルド決勝トーナメントの優勝の宣言の前に少し時間が欲しい」

「出来ればボスには今日の昼の12時までに宣言をしてほしいのでそれまでにお願いします」

「了解。ただそろそろ眠りたいってことと、話をしたい人間が何人かいるぐらいなんで、予定ではそこまで時間はかからないよ。それで賞金と賭けの配当金ってどこで受け取れば良いんだ?」

「任侠ギルド本部で出来ます。今から移動しますか?」

「移動するけど・・・もしかして今後は一緒に行動しなければいけないとか?」

「ボスを拘束するつもりはございません。今からはボスは自由な時間になります。昼の12時までに任侠ギルドにきてもらえるだけで大丈夫です」


「いや、金額が多いので何種類かのカードに入金したいから早めに受け取りたい。だから今から任侠ギルド本部に行くよ・・・俺がギルドマスターになったんだからギルドマスター室って俺専用の部屋になるんだよね?」

「任侠ギルド本部の建物の中にあるボス専用の部屋は3つです。応接室・執務室・宿直室の専用の部屋になります」

「じゃあ、今からそこに移動しよう。移動しながら君の名前や任侠ギルドの仕事内容などを教えてくれ」

「わかりました。そういえば自己紹介をまだしてませんでした。自分の名前は『ガスタード・ウェイド』といいます。今後はガスと呼んでください。今日からボス専属の秘書となりました。では今からボスをギルドマスター室にご案内します」

「俺専属の秘書のガスか、了解。では付いていくから案内してくれ」

「任侠ギルド本部までの移動中は気をつけてください。試合が終わって油断した隙を狙ってくるヤツらもいますので」

「ほいよ」


俺は控え室のシートから立ち上がって任侠ギルド本部へガスに案内してもらい歩いて移動。

任侠ギルド本部に到着してから、まずは賞金と賭けの配当金を受け取ることにした。

俺専用になった3部屋の応接室に行って応接室で受け取ることにした。

トーナメント優勝賞金が1億G。トーナメント勝利者配当金が1試合100万Gで合計500万G。

賭けの払い戻しの配当金が税抜きされて47億3600万G。

全ての合計金額が48億4100万G・・・50億近い金額なので凄まじい金額になってる。

まずは今、貰ったばかりの任侠ギルドのギルドマスターカードに1億4100万Gを入金してもらう。

商業ギルドの早乙女商会のカードと冒険者ギルドのチーム早乙女遊撃隊にそれぞれ5億Gを入金して残りの金は俺のステータスカードに入れた。


それから俺1人で執務室に行ってアイテムボックスから徒影1~5号を取り出して俺の直属の部隊として登録の前に・・・徒影の姿の最終確認。

見た目が全く一緒でネームプレートカードを取り付ける予定の念輪機能付きの首輪の色を変えてあるだけなので少し・・・いや、そうとうわかり辛いかもな。

だけど身長190cm以上の全身茶色の目が赤く光る人型トカゲの威圧感は尋常じゃないな。

製作した本人の俺が少し怖いと思うレベル。

服がないから怖さ倍増か?

見た目だけで女子供が泣くレベルかもって事で服を作ることにした。

この姿のままだとマヅゲーラの街を歩き回ることができなくなりそうだ。


怖さを和らげるためと任侠ギルドってことで徒影の衣装は龍布で『かみしも』を作ってみた。

小袖の色は濃紺、肩衣と袴はグレーに見える小紋のオーソドックスなタイプだ。胸・背中側の腰・小袖の袖の紋の部分に名前の号数を書いておいたので名前も一目瞭然でわかりやすくなっただろう。

動きやすさを邪魔させないために袖と袴の裾は短め。

白い足袋に雪駄で雪駄の裏にはサイラスの革を使った。腰には右腰には白い扇子・左の腰には小脇差を作ってやる。


イメチェン大成功だな。怖さがなくなって精悍さが倍増した。

徒影が完成したので秘書のガスが待っている応接室に戻って徒影1~5号を登録してもらう。

俺が自分で製作したゴーレムと説明するとガスは驚愕していた。

戦闘能力も高いので今のところは俺が不在時のギルドマスター代行として5体とも登録しておく。


俺の仕事を説明されるが・・・任侠ギルドのギルドマスターの仕事内容なんて何もない。

契約しているカジノや風俗店舗などに暴力事件が起きると駆けつける『用心棒』たちは任侠ギルドの支部で待機してるし、店舗と中で働く職員との内部トラブルに駆けつける『相談員』達も本部にも支部にも待機している。

支部の場所は支部長の独断で不定期で変更するし、場所が増えたり減ったりしていてガスにも把握できてない。

契約店舗におかれてる会計用の魔水晶には任侠ギルド本部と各支部を簡易通信機で繋いでいるので、即座の対応が可能になってる。

ギルドマスターの仕事と言ったら・・・売られたケンカを買うことぐらいですねと、ガスに言われてしまった。今後はここにはほとんどいない俺にはありがたいけど。

任侠ギルドマスターになると契約してる宿屋の宿泊料金が任侠ギルド持ちになると説明を受けた。

その代わり宿屋で起きたトラブルの時は真っ先に駆けつけないといけなくなる。


何もしなくても日給で5万Gの給料がもらえるらしいんだけど・・・そもそも任侠ギルドは非合法組織なので任侠ギルドカードが使用できるのが、このマヅゲーラの街だけっていう・・・驚愕の事実まで知ってしまった。

おいおい、このままだと1億G以上も入金したけど使い道がないじゃないか・・・まぁ総資産が50億を既に超えたからいいんだけれど・・・何かこの街に今後は夜の商売だけじゃなくて、首都シーパラと都市ヨークルの中継地点として、この街の特性を生かした産業を考える必要が出てくるかもな・・・俺の仕事じゃないが。

ギルドマスターの特別会計予算が年間1億Gほどあるので、この金額で直属の部下を雇ったりできるとガスに説明された。


今後のことをガスの説明を聞きながら考えてるとギルドマスター室に来客があったことをガスが告げたので、俺が今いる応接室に入れさせる。

トーナメント準々決勝で対決したマナガルム・ブラム・アバルニアが部屋に入ってきた。

「俺はマナガルムと話があるからガスは席を外してくれるか?」

「了解しました」

ガスが部屋を出て行ってからマナガルムをソファーに座らせて話し始める。


「それで坊主がトーナメントの試合中に言ってたワシに話がしたいことって・・・その前に、あちらの壁に並んでいるあれらは何なんだ?」

「アレは俺が作ったゴーレムで『徒影』1~5号だな。俺直属の部隊で今後はこの街の俺の仕事『任侠ギルドマスター』の手足となって働いてもらう」

「坊主が作ったゴーレムか。凄い威圧感と存在感だ。そうとう強そうだな」

「実際に強いよ。今日のトーナメントに出ていたレベルぐらいなら、俺を除いてマナガルムも含めた31人全員を1度に相手しても1分かからずに殲滅できるよ」

「それは凄まじいな。して、ワシに話というのは・・・」

「単刀直入に言うと任侠ギルドの『サブマスター』として『スカウト』だよ」

「ワシが任侠ギルドのサブマスター?」

「ああ。俺はこの街に住むつもりは全くない『旅人』なんだ。今回のトーナメント参加もアマテラス様の神託があったから参加しただけで、神託がなければ参加する気もなかったよ」


俺はアマテラス様の神託があったことをマナガルムに詳しく説明した。

俺が受けた神託は2つ。

1回戦で戦った卯月要市朗の抹殺と2回戦で戦ったサトシ・バーミリオンの確保。

どこの商会の人間だとかまでは説明しなかったが、俺が都市ヨークルで決闘を使って合法的に殺害した商会の跡継ぎと正当防衛で殺した当主、その当主から勘当されていた息子のサトシを確保した理由も話した。


それでマナガルムがここのマヅゲーラの街に流れ着いた話を聞くことにした。

俺がアマテラスから受けた神託まで詳しく説明したのでマナガルムも自身の生い立ちから簡単にだけど話してくれた。


マナガルムは魔族が覇権を争う南の大陸の中で伯爵家を自称して千年以上生き、神に近い究極の生命体の一つ真祖ヴァンパイアの『ミラッシュ・ブラム・アバルニア』の実験体として今から385年前に生まれた。

1000人以上いる様々な種族の兄弟たちと共に育って鍛え上げられてきた。

魔力と生命力に秀でて20年以上も続く過酷な訓練に耐えた者たちだけが『ブラム』のミドルネームを名乗ることを許してもらえる。

ミドルネームがもらえると世界を旅する自由と金が与えられて世界を旅することが出来るようになった。

大陸を渡り他国で良い冒険者チームに入ってAクラスの冒険者となったが自分以外は全員が冒険者を引退してしまい、その後はイーデスハリスの世界を巡ってきたが10年ほど前から心が躍るような戦いが出来なくなった。

満足できる戦いを求めて何度も教会でアマテラス様に祈っていた。


新天地を求めてシーパラ連合国に来た3日ほど前に、教会でアマテラス様に祈っていた時にマヅゲーラの街に行けば望みが叶うと神託が降りてきたので、早速やってきたらちょうど港に卯月要市朗が来ていた。

卯月の持つただならぬ妖気に自分もトーナメントに参加することに。

「マナガルムさんに聞きたいんだけど、そろそろここらで腰を落ち着かせる気はないかな?」

「それはワシがこの街に来てトーナメントに参加することを決めたときに考えていた事だ。ワシは何も商売とかは出来ないし戦う事しかしてこなかったから、これから年老いて能力が下がっていくワシに何ができるのかと」

「それならばサブマスターとしての定職につくのはどうだろうか? 俺がサブマスターとして求めるものは戦闘能力じゃないんだ。マナガルムが持ってる1番優れた能力『カリスマ性』だよ」

「ワシのカリスマ性だって?」

「そう、マナガルムの持ってる最高の能力は人を惹きつける『魅力』なんだ。それでマナガルムが持ってる戦闘能力と併せてカリスマを最大限が生かす事が出来るのがこの任侠ギルドでのサブマスター職だろう。マナガルムは人の良さがあって非情になりきれない部分が多くてギルドマスターよりもサブの方が向いてると判断した」

「ふふふっ、ワシは非情になりきれないか・・・そういえば同じことをミラッシュ様にいつも言われて怒られていた・・・懐かしいな」

「非情になれない・・・それだからこそ『サブマスター』には向いてる。非情な部分は俺と徒影が受け持つからな。マナガルムにはうってつけな職場だろう。任侠ギルドの暴走を止めるストッパー役&長年色々な環境下で生き抜いてきた経験を持つ『相談役』としてのサブマスターをマナガルムに任せたい。契約金5000万Gの年棒3000万Gでどうかな? 俺はこの街に住むつもりはないから、ギルドマスター室の宿直室だけあればいいから・・・俺の替わりに宿屋に宿泊しててもいいよ」

「宿直室だけあればいいというのは?」

「マナガルムをスカウトしたいから信用して話すけど・・・俺は転移魔法が使える。だから転移先の宿直室さえキープできていればいいから。これはここだけの秘密にしておいてくれ」


「秘密な、わかった。・・・それでこれはもう一つ聞きたいことなんだが、ワシがここマヅゲーラに腰を落ち着かせる利点はあるのか?」

「そうだなぁ・・・年棒3000万Gと高額な年棒の定職に就職する事と、徒影を相手に好きなだけ訓練が出来る事ぐらいかな」

「それは魅力的だな・・・うーーん・・・わかった。あって間もない坊主にそこまでワシのことを信用してもらって、ワシの実力以上にかってくれるのならば期待に応えてみたくなる。任侠ギルドのサブマスターをやってみるよ、坊主・・・いや、これからは坊主ではダメだな。ボス、これからはよろしく頼む」

マナガルムが立ち上がって俺と握手をしてマナガルムのスカウトは完了。

これで肩の荷が半分以上は降りた。

後は徒影とマナガルムでマヅゲーラの街を何とかしてもらおう。


事務所の方で待機していたガスを徒影に呼んできてもらって、マナガルムと正式な契約を結ぶ為に契約書をガスに書いて貰って俺とマナガルムがサインをしたことで正式に俺の部下となった。


俺がこれから出す宣言って言うのをガスに説明を詳しく聞くと・・・俺にとって難問だった。

『自分が任侠ギルドマスターになってしたいことを文書に書いて宣言する』

それだけでいいみたいなんだけど・・・任侠ギルドでしたいことなんてねぇーし・・・これは困ったな。

俺の場合、この街に長居をするつもりがないし・・・さて、どうしたものだろうか。


「マナガルムはこの街で何かしたいことはある?」

「この街に着いたばかりなんでこの街のこと自体よく判らない。自分自身でしたいことなら・・・嫁を見つけて『子供が欲しい』ですかね」

「それだと、この街って1番結婚から遠い街って感じがするんだけど」

「嫁も子供も急いでるわけでもないので、その辺はノンビリ探しますよ。ワシの事以外となると・・・わかりませんな」

「俺もそうなんだよな。この街のことすらほとんど知らないのに。とりあえずガスに聞きたいのは『俺と勝負したいヤツは俺の作ったゴーレム『徒影とかげ1~5号を倒してから来い』っていうのは宣言としてはアリなのか?」

「宣言はそれにしますか?」


「・・・トーナメント優勝宣言ってそんなのでいいのか?」

「大丈夫です。そもそもこういう形でのギルドマスターの就任は初めてのケース・・・というよりも、ギルドマスターの交代自体がボスで3人目ですし前例自体がないので。このギルドマスター就任の宣言自体もトーナメント終了後の習慣として残ってるだけですので」

「俺が出す宣言は決定したな。それと・・・トーナメントの習慣ってことはトーナメントって頻繁にやってるのか?」

「トーナメント開催は平均すると年に1回ぐらいになってますけど、これにも決まりがないんで不定期なんです」

「トーナメントは俺って絶対出ないといけないのかな?」

「それはボスが『代理出場OK』とルールを変更すれば可能になります」


「宣言の2つ目が決定したな。1つ目は『トーナメントは代理出場OK』で俺の代理出場はゴーレム。トーナメント関係なしで『俺のゴーレムはいつでも勝負を受ける』この2つが決定だな・・・2つあれば充分じゃないか?」

「了解しました。では宣言は2つ正式文書として提出させていただきます」

「よろしく頼む。これで俺の用は終わったな。後はサブマスターと徒影で決めてくれ。徒影は俺との通信できる機能があるので俺はそこから報告を受けるから」

「では任侠ギルドの新ギルドマスター宣言の文書が出来しだい徒影さんに確認していただきます」

「頼む。それで俺と2回戦で対戦した『サトシ・バーミリオン』って今はどこにいるんだ?」

「詳しくはわかりませんが気を失っていたようだったので闘技場の治療室で安静にしてると思いますが・・・何か御用がありましたか?」

「これはギルドには関係のない事で俺の個人的な用があるだけの話だから俺から会いに行くよ。それじゃあ後は頼んだ」


そういって俺はギルドマスター室を後にする。サトシをユマキ商会に連れ戻させないとな。

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