お父さんです。(自称)
程よく肉も野菜も焼きそばも食べた頃…
さや先輩が使い捨てのお重を取り出した。
「肉の網、使っていいですか?焼おにぎりを作りたいんですが…」
「もちろんお手伝いしますよ!!」
私は速攻で立候補したが、丹波と那珂先輩に素早く止められる。
右手を掴む丹波が言った。
「鈴木先輩!
そんなこと言っておいてつまみ食いする気満々でしょう!俺分かってるんですからね!絶対抜け駆けなんてさせませんよ!!!」
「そ、そんなこと…ないよ、多分?」
「前科持ちが何を言う。いかせないぞ?
ここは田中に頼む。なので、鈴木はここに居ろ。」
左手首を掴んだ那珂先輩にも言われぐうの音もでない!!
チッ!
ばれてしまっては仕方がない!!
「いいじゃないですか!私だって手伝ったんですよ!一個か二個位食べたってバチが当たらないですよ!!」
私達がワーワー言っている間に、さや先輩はタッパーと酒瓶をもって千里子さんと焼きに行ってしまった。
残念。
しばらく小休止に喋りながら腹ごなしをしていると背の高い黒ずくめの男がフラフラしながらさや先輩達の方に向かって行くのが見えた。
他にもバーベキュー客はいたので、てっきり近くの人がこっちに来てしまったのかと思った刹那…
「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!!!」
千里子さんが派手に悲鳴をあげた。
なんぞや?!と思って見やれば…な、なんとさや先輩に黒ずくめの男が後ろから抱きついている!!!
「えっ?!!」
驚いて固まってしまった私の横を松本先輩とミトサンがダッシュで駆け抜けていく。
一瞬の間をおき、那珂先輩と丹波が続く。
ふと樋口部長達を目で探すと、何故か二人して富久山ガード態勢をしている。
何してるの?
え、マジで何してるの?!大変なのさや先輩なんですけど!!!!
とりあえず私も二人の元へとダッシュする。
「怪しい者やありまへん。」
怪しさ満載の男はさや先輩に後ろから抱きついたあげく顎を頭に乗せている。
「いや、わかりましたから穂積さんから離れてもらえますか?」
ジリジリ距離を積めながらミトサンが言う。
うん、完全に不審者と思ってますね。目の下に隈と無精髭あれどけっこうな美形さんだ。
「さーたん!なんとか言って!お父さん疑われとるよ!!」
「お、お父さんなんですか?!」
衝撃の事実におののく。
えっ?若くないですか?!というか似てないんですけど…!?
もしや新しいお父さんよ…ってやつです!?
「父じゃありません。暑い。離れて下さい。」
「さーたん!昔はあんなに芋っぽくて素直だったのに!!
年々、すさんどるよ!やっぱり一人暮らし止めて家に戻っといで!!」
「おとーさん、あなたとは一度も住んだことないので誤解を招く発言は控えてください。
後、おにぎり焦げるから離して。」
容赦ないひじ打ちが黒ずくめにクリーンヒット!!
悶絶するお父さん(仮)に目もくれず焼おにぎりを回収するさや先輩。さすがです!
「お騒がせしました。
こちら短大の…あ、大学併設のとこだったのでこの人はそっちの方なんですが、先輩の御堂筋 音生さんです。」
焼おにぎりを回収してからさや先輩が解説する。
音生…おとお…おとおさん…おとーさん…ってことか!!!!
「お初にお目にかかります。
さーたんの心の父の御堂筋といいます。さーたんがお世話になってます。」
「だから父じゃないですって。」
さや先輩がゴミを見るような目で見ながら言う。
うーん、辛辣!!




