表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士に成りて王国を救う。  作者: いこいにおいで
騎士になるには兵士から
25/240

買い物

本日二話目です。

深夜0時に投降しました。見逃した方はそちらからどうぞ\(^o^)/

 副長なってから、第三魔法師団の雰囲気は良くなった。

師団のメンバーは、マルゲリータによって抑圧されていた反動もあったのか、魔法実験に没頭している。たまに暴走させる者や、危険な薬草の研究をする者など、おかしな方向にいっているものがいたが、研究者としては素晴らしいので、放置している。

 

 俺と言えばジェルミーから呼び出しがかかった。


「任務ですか?」

「そうだ。最近、辺境の村々でモンスターが暴れていると報告があった。なんでも普通に暮らしていた鬼人や夜人などが魔族化がする事件が起きているらしい。その調査をしてきてくれないか?」

「どうして自分なんですか?」

「各隊から数名出すことになってな。第三魔法師団からは君を押しておいた」


 ここですることがないなら仕事しろと言うことらしい。


「まぁ他の人たち見たいに研究熱心ではないですね。お金を頂ければ問題ないと思っていますし」

「そうか。なら、今回の任務を達成できたなら特別報酬をだそう」

「やりましょう」

「君は分かりやすい奴だな」


 ジェルミーからは神経質で寡黙な印象は薄くなり、最近は随分と柔らかくなったと思う。その点、精神が図太くなったのか、たまに悪そうな顔をすることが増えた。


「何かたくらんでいるんですか?」

「別に何もたくらんでいないさ。今はな」


 腹黒さを隠そうともしない。そんなジェルミーが嫌いではない。


「わかりました。その任務お受けします。私以外に誰が付くのでしょうか?」

「第一からは数人と、第二からも誰か来ると言っていたな。第三からも騎士が出るぞ。それと君には補佐を付ける」

「補佐ですか?」

「そうだ。ここを出てエントランスに行ってくれ。そこに君の補佐を待たせている」

「わかりました」

「それと集合は本日正午に第一演習場だ」


 俺はジェルミーに頭を下げてから、退室した。


 ジェルミーは団長として、隊員に好かれている。

何より厳しいこともちゃんと言うので、人としてしっかりした人だ。


「面倒事にならないといいが」


 魔族化という現象はゲーム内で聞いたことがない。

本来は恋愛を楽しみつつ、他国から侵略してくる敵国を排除していくことで、出世していくだけの話なのだ。

 こんなサブシナリオは存在しなかった。


「ヨハンさん!」


 中央階段まで来ると、聞き知った声が俺を呼ぶ。


「うん?リンか?」


 俺はエントランスで手を振る人物を見て驚く。

それはついこないだまで一緒に旅をしたリンだったからだ。


「リン、どうしてここにいるんだ?」

「はい。この度第三魔法隊から派遣されました。リンです。魔法師団副団長ヨハン様の補佐をさせて頂きます」


 軍人らしく、両手を背中に回し胸を張った状態で名乗りを上げるリンに唖然としてしまう。

 12歳の胸はローブの上からでも若干の膨らみが見えた。


「お前が補佐?」

「はい。ジェルミー団長からはそう伺っております」


 魔法隊はまだ若い少年少女のために作られた部隊だ。

これからの魔法師団を支える存在達を若いうちから教育させ、囲い込むために存在する。

 主な仕事は魔法師団から派遣される講師の授業を受け、また魔法師団の任務の手伝いだ。


「まぁ、リンなら俺も見知った相手だからな。気が楽か」

「はい。私も初任務がヨハンさんと一緒と聞いて安心しました」


 リンの嬉しそうな顔を見ていて悪い気はしない。

ジェルミーの配慮に感謝しながら、任務のことについて考える。


「前回のオーガみたいに魔族化している奴の調査だ。危険も伴うが、大丈夫か?」

「はい。国のために働けること、家族を養えることが嬉しいです」


 魔法隊は魔法師団よりも給料は良くないが、今回の任務を達成すれば特別報酬が出るのだ。リンもやる気になるかと、俺は笑ってしまう。


「そうだな。まずは時間もあることだし、買い物にいこうか」

「はい。お供します」


 リンは嬉しそうに俺の後をついてくる。

旅をするにも準備は必要だ。俺にはアイテムボックスがあるので、多めに用意しても手ぶらで済むのだ。


「集合場所はどこなんですか?」

「第一演習場だ」


 第一から第三まで大きな軍団があるため、全ての訓練が王都内では収まりきらない。そのため郊外に作られた演習場がいくつか存在する。

 第一演習場は、北門から出て近いため、焦らずとも間に合うため旅の準備を先に済ませておこうと露店商にやってきた。


「何を買われるんですか?」

「まぁ、何日旅をするかわからいからな。とりあえずは一カ月分ぐらいの食料を用意する。この間ので恩賞金ももらったから、多少金に余裕がある。金は大切だけど、有事の際に備えて備蓄しておくことに限るのも事実だ。金は天下の周りもの、金がなくちゃ何もできない。だが、いざとなっとき金が有っても食う物がなかったら人は死ぬだろ。備えられる時にはしっかり備えておかないとな」


 俺の言葉を何故かメモしているリンのことはおいておいて、露店商周りをする。手慣れたもので、ここに来るとどこに何があるのか分かるし、市場の状況を把握することもできる。


「おっヨハンじゃねぇか」

「なんだヨハンきたのかい」


 いつものオッチャンやオバちゃんが出迎えてくれるのに挨拶を返し、肉や薬草、水や火打ち石など、旅には欠かせない物を買い揃える。

 ついでにローブや下着などの着替えも何点か買っておく。何着か所持している物を持って行くが、多く用意してくことに越したことはない。


「武器の手入れはちゃんとしているか?」

「はい。私はロッドを使いますので、魔石を買い替えるぐらいです」

「そうか、なら魔石の補充をしておこう」


 俺は魔石を売っている露店商にやってきて、多めに買うことで値段を下げさせる。


「ヨハンにはかなわんの~」


 魔石屋の老人は仕方ないと笑いながら、魔石50個を銀貨30枚で売ってくれた。


「こんなに安く魔石って買えるんですか!」


 リンに取ってはあまりの安さにびっくりしている。本来の相場では魔石一つ銀貨三枚で取引されている。しかし、露店商では粗悪品を加工して使えるようにしているので、本来の魔石よりも安く。また大量に買うことで値切ることができるのだ。

 今まで自分に必要なかったので、魔石の加工や武器の鍛冶をしてこなかったが、これからお金を浮かすためにはそういう技術も必要かもしれないと思っている。

 オーガを倒した後のスキルポイントも使っていないので、そういう方面に手を出すのもいいかもしれないと思い始めていた。


「まぁやり方次第だな。とりあえず、今日の買い物は終わりだ。もう一軒寄りたいところがあるんだがいいか?」

「お供します」


 俺はいつもの場所に足を向ける。

 


いつも読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ