別れの前兆
[それでは~第3種目、3年生によるリレーに入ります]
マサキの出番が始まった。
がんばって応援するぞ!!!
当のマサキは拓也君と、ナツホと、ミナちゃんと、ショウ君と作戦会議していた。
「うぅぅぅ~!」
あたしの奇妙なうなり声とともに、彼と目が合った。
あっ!思わず・・・、声が!!
って。
マサキこっち見てる!?
ぎゃー!
恥ずかしいっ
そんなあたしを見る彼は、とっても優しそうな瞳で微笑んだ。
そして、拳を胸の前に当てた。
あたしも慌てて同じポーズ。
このポーズは
ーーーーーー頑張ってねーーーーーーー
そんな意味をこめて・・・。
[では、入場です]
放送音が流れ、彼らは勇ましく、走っていた。
[よーいっ!ドンッ]
「「「キャー先輩っがんばってくださぁ~い」」」
1年生や、2年生の応援が聞こえた。
あたしも負けじと
「マサキィー、ナツホー、拓也くーん、ミナちゃぁーんっショウくーんっがんばれぇー!!!」
がんばって、応援するんだけどっ
その声には力が入らなくて・・・。
だって・・・。
だって、マサキと。
マサキとミナちゃんがとってもお似合いに、見えてしまったから。
もう、不安にならないって決めたのに。
あのふわふわの髪の毛を揺らしながら、ミナちゃんは目を輝かせてマサキと笑いあっていた。
その姿は、女のあたしでさえ、惚れてしまうような。
そんな乙女で。
ミナちゃんは、みんなが憧れるような容姿をしていてとってもカワイイ。
あたしなんて、全然カワイくない。
だって、こんなトキにまで、嫉妬してしまう、そんな女なんだよ?
しかも、あたしはもう、生きられないカモしれない。
マサキともう、別れるべきなのかな・・・。




