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イジメられていた最強ですが何か?  作者: 千弥 瀧
第5章 人魔戦争編
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71.理の外の力

 全力で凹凸の激しい荒れ地を駆ける。

 巨人が暴れたおかげで何もない平原だったその場所は、今や元の面影すらない荒れ地となっていた。地面は引っぺがされ、岩がそこら中に散らばり、直径10m近いクレーターがそこら中に開いていた。


「ギュアアァァァァァァアアアアアッッ!」

「ふっ!」


 耳をつんざくような巨人の金切り声に脳を揺さぶられながら、両手に短剣を握って私は奔る。

 風を置き去りにするような速さで走る私に巨人はその巨体から考えられないようなスピードで私を追う。

 下半身が埋まっているとか同じ場所から動けないとかこの巨人には関係ないようで、私が背後から迫ると首を180度回転させ方の関節を外し前後共に死角なし。離れた場所から一方的に攻撃を仕掛けようと奴が生えてる場所には砂や石が沢山ある。それらを巨人の力に任せて投げつけるだけで、広範囲に高威力の散弾がまき散らされるのだ。


 私の敏捷力に任せて突っ切るが、全てを避けることはできずいくらかを喰らってしまう。


 体中に奔る痛みを我慢しながら短剣を振るう。


「ガァァッ」


 短観が走った場所から紫色の血が噴き出す。

 あの紫の血は酸のように降りそそいだ場所をジュッと音を立て溶かしていく。

 かなり強い酸の様で触れた箇所が熱した鉄を押し当てられたかのような痛みを感じる。


「キュアアあぁぁァァァアアアアアッッ!」


「ッ……」


 まただ、また強くなった。どんどん早くなっていく。どんどん重くなっていく。どんどん、置いてかれていく。

 追いつけない。私が全力で走っても、巨人は私の先を行く。


 巨人の顔には厭らしい笑みが浮かんでいた。

 きっとさっきまで苦戦した相手をいたぶるのが楽しいのだろう。


 悔しい。悔しい、悔しい。


 どんなに頑張ってもあと数分もすれば倒すことができなくなるだろう。


 悔しい。悔しい、悔しい、悔しい。


 負ける。諦めたくないのに、このままでは嫌でも諦めることになるだろう。


 悔しい。悔しい、悔しい、悔しい、悔しい。


 私の命は保証されている。死ぬことは絶対にない。


 悔しい。悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい。


――……ほし…か?


――ほしい…?…が


――奴を倒しうる、力が……いか?


――奴を殺したいか?力がほしいか?


 声が聞こえる。空気の波による声じゃない。

 もっと体の奥に響いてくる。なんというべきか、そう、魂に直接響かせているような。


 とても懐かしいような、声。

 イメージが頭の中に浮かんでくる。

 なんだろう。何か、これは獣………?

 白くて……モフモフで……九本の、尻尾?


――力をくれてやる


――奴は災厄


――力をくれてやる


――その代わりとして、契約だ


 契約。

 契約すれば、力を得ることができる。


――力を与える代わり代償として、一時その体を借りる


 それだけでいいの?


――もちろんデメリットはある


――私の力は強大


――それを人の身に宿すのは宿主に多大な影響を与える


――私は元々バグの一種


――この世に存在しえないもの


 バ、グ……?存在しえないもの?

 何を言っているのかわからない。

 

――正の中に負が混じりこむのは許されないこと


――理を歪める


――それすなわち禁忌


――禁忌を犯す覚悟はあるか?


――人を、やめる覚悟はあるか?


 禁忌。久しぶりにその言葉を聞いた。クロと出会ってしばらくその言葉を聞いていなかったのを思い出した。

 今まで嫌っていたその単語。今では聞いても何も感じない。


 禁忌を犯す覚悟。


「今更。いままで、禁忌と呼ばれ、てきた。禁忌を、犯す覚悟?私が、禁忌だ」


 人をやめる覚悟?


「クロと同じ、ところ、に立てる。こっちから、お願いしたい、くらい。人外、上等」


 もともとそこを目指していたのだから。


――いい覚悟だ


――その覚悟、しかと受け取った


――さぁ、受け取れ


――人外の、理の外の力だ


 頭の中に現れた九尾の白狐びゃっこが発光しだす。

 そして何かと私の何かが重なる感じがする。


 力が湧いてくる。とてつもない力だ。

 言葉で表そうとするがなんて言っていいのか。これは、そうだな……あぁ、白狐の言う通り、理の外の力。


 熱い、心地の良い熱さ。


 私の存在が、変わって行く。

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