表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
96/545

92話 マリンのアトリエ


 私とマリンは、地下室の通気性を確認しに地下室に来る。


「これが通気口かな?」

「た、多分そうじゃないですか?」


 私達の手の届かないところに穴があいている。


「外に繋がってるのかな?」

「ど、どうでしょう。繋がってるとは思いますけど…」


 そう話してると穴から何かが出る。


「あ、なんか土が、ネコ?」


 穴から顔を出したのはゴーレムにゃんこだった。

 いや、何してるの。


「な、なんですかね。も、もしかしてゴーレム魔術…?」

「あれは私のゴーレムにゃんこだよ」

「ゴ、ゴーレムにゃんこ…?」


 ゴーレムにゃんこは穴の中に戻っていく。


「その、ゴーレムにゃんこさんは、あ、あの場所が好きなんですか?」

「どうだろう、普段は外で放し飼いでどこにいるか分からないんだよね」

「じゃ、じゃあゴーレムにゃんこさんは外からここを通って来たんですかね?」


 確かに。


「そうなるね」

「えっと、ならあのぐらいの穴があれば風魔法で換気出来るので、地下室をアトリエにしていいですか?」

「分かった、それじゃあ大釜を置くけど、必要な物はある?」

「な、ないと思います。ありがとうございます」

「いいんだよ」


 私は大釜と錬金用の道具を置いて1階に戻る。


「こ、この壁、念力魔法で動かしてるカラクリですよね。た、多分ですけど、この家を作った人はかなりの腕を持った魔導士ですよ」

「魔法陣に触れたら壁が動くカラクリを作るのって難しいの?」


 私は魔法陣とかの技術はないから、魔道具とかカラクリを作る大変さが分からない。

 漠然とすごいことが分かるだけ。


「えっと、カラクリを作ることはそんなに難しくないんですけど、その、念力魔法を使える人が少ないんですよ」


 あれ、そっち?


「念力魔法って、物を動かす魔法だよね?」

「は、はい、そうですよ」

「飛行魔法って念力魔法の応用じゃない?」

「うーん、確かに念力魔法を自分にかけて空を飛ぶ人は少しだけいますけど、え、じゃあミオさんは念力魔法で飛んでるんですか?」

「うん、そうだよ。アリスとレイもそうやってるよ」


 マリンが目を見開く。


「ミ、ミオさんはゴーレム魔術も念力魔法を使えて、あの、ものすごく優秀な魔法使いなんですね」

「魔法剣士だよ」

「あ、すみません」

「いや、謝ることじゃないよ」


 魔導士からお墨付きを貰ってしまった。

 いまいち本当にすごいのか分からないけど。

 リビングに戻ると、膝の上にアリスを乗せてレイがアリスの手を弄っている。


「どうだった〜?」

「地下室はマリンのアトリエになったよ」

「そうなんだ〜、マリンちゃん良かったね〜」

「あ、ありがとうございます」


 今度、錬金してるところを見学しに行こう。


「とりあえず地下室は開けっ放しにしておくから錬金するもよし、部屋を見て回るもよし、私達とだらだらするもよし、素材を取りに行きたかったら私に言ってね」

「あっはい、分かりました」


 そう言うとマリンがキッチンに向かう。

 何だろう、食器の確認かな?

 私はそのままリビングのソファに座る。


「ミオお姉ちゃん、空も飛べるようになりましたし、どこに冒険に行きますか?」


 アリスは遠足前の子供のようにウキウキしているみたい。

 かわいい。


「とりあえず目ぼしい場所がないから近くの街に飛んでいくか、それか適当な方角に飛んで行くかだけど、レイはどうしたい?」

「私は街でもいいよ〜」

「アリスは?」

「私も他の街に行ったことないので、それでも全然いいですよ」


 じゃあ、隣町に行くことに決定かな。


「アリスは隣町について何か知ってる?」

「南門を抜けて道なりに行けばハスネールで、北門を抜けて分かれ道を左に行けば王都 グランダムに行けることは知っています」

「王都、行ってみたいな〜」


 そう言ってレイはアリスの手で拍手をする。


「それじゃあ王都まで飛んで行って、王都観光になるかな?」


 あれ、結局観光だね。

 私も王都には行きたかったしちょうどいいけど。


「観光だけだともったいないし〜、王都の冒険者ギルドに行って面白そうな依頼があったら受けてみよ〜」

「それいいね」

「私も一緒に依頼は受けることになるんですよね?」

「そうなるね。そっか、アリスのことも考えて、難しそうな依頼はなしにしよ」

「おっけ〜。あと王都の中を飛んで見たいんだよね〜」

「目立つからダメだよ」


 女の子3人が箒に乗って飛んでたら注目の的じゃん。


「マリンちゃんに認識魔法をかけてもらえば〜?」

「確かに、そういえばマリンも来るよね?」

「え?私ですか?あの、行ってもいいなら…」

「じゃあ決定ね〜」

「認識魔法って魔力使う?」

「あ、えっと、全然使わないので大丈夫です」


 なら飛んでも大丈夫かな。


「あ、あの、話変わるんですけど、1つだけいいですか?」

「どうしたの?」

「何〜?マリンちゃんもアリスちゃんを膝に乗せたいの〜?」

「え?私ですか?」

「えっと、それも魅力的なんですけど、そうじゃなくて」


 なら私のところに来てもらおう。

 私が膝の上を叩くと、それに気付いてレイはアリスの手を離し、アリスが私の膝の上に来てくれる。

 はぁ、いい匂い。

 あ、ごめんねマリン、話して大丈夫だよ。


「…えっと、ダメだったらいいんですけど、あの花、譲っていただけないですか?」


 そう言って指差したのは花瓶にいけてある虹明花。

 魔力を吸ってるらしいから、とりあえず水魔法で出した水を花瓶に入れている。


「どうして?」

「えっと、錬金魔法の素材で使うんです。き、貴重な物だとは分かっています。あの、出来ることなら何でもします」

「うーん、まあ、私はいいけど、アリスとレイは?」

「私はお任せします」

「う〜ん…」


 レイは悩む。


「ヤダ?」

「うん、思い出のお花だし〜…」


 確かに、そう言われればそうだね。

 私はいいとか、ちょっと軽率だったかな。


「あ、いや、ダメならいいんです」

「でも使えたら錬金出来るんでしょ〜?」

「ま、まぁ…」


 レイは今、思い出と手助けを天秤にかけてるんだよね。

 レイに決めさせるには荷が重いかな。


「じゃあさ、王都は観光で、冒険でもう1つ虹明花を探しに行こうよ」

「え、いいんですか?」

「アリスとレイはどう?」

「いい考えだと思います」

「うん、私もいいよ〜」


 2人は納得してくれた。


「マリンは?」

「わ、私も、それで大丈夫です」

「じゃあ決まりだね」


 よし、やっと冒険の目標が出来た。


 マリンは思い出の花と聞いて内心思った。

 あぁ… 聞かなければよかった…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ