87話 青髪魔導士 マリン
こんばんは、作者です。
明日の投稿についてなんですけど、作者が38.2度の熱が出てしまったので投稿をお休みさせていただきたいと思います。
流行り病がありますので、皆さんもお気をつけください。
突如として現れた青髪の少女を見て、アリスとレイが驚く。
「わっ、急に人が!?」
「すご〜い!マジックみた〜い!」
なんとも両極端な反応だね。
そういう私はと言うと、少しぐらいはびっくりしたけど声を上げるほどではなかった。
「ねぇねぇ!お名前なんて言うの〜?私はレイ!」
「あっ、えっと、マリン…」
「マリンちゃん、よろしくね〜!」
レイがマリンに近づいて抱きつこうとするけど、マリンはそれを躱す。
「む〜、ガード硬い系か〜」
何それ。
「私はミオだよ」
「ア、アリスって言います」
「あっはい、よろしくお願いします…」
マリンは青髪で魔女の装いをした少女で、私達と同じように箒に乗っていて年齢はレイと同じぐらいに見える。
髪が長くて少し隠れてるけど、顔はとても整っていてかわいらしい。
そして私より胸が大きいことが分かる。
いや、悔しくないよ。
「あっあの、一応なんですけど、魔導士の人ですか?」
「魔導士って?」
魔導士なんてジョブあったかな?
「レイお姉ちゃんは魔導士って人なんですか?」
「違うと思うよ〜」
2人にも心当たりなさそうだね。
「えっ、じゃあその耳って本物なんですか…?」
マリンが私のケモ耳を見る。
「うん、そうだけど」
「私のこれも本物だよ〜」
レイが自分のケモ耳を触りながら言う。
「魔法で見せてるわけではなくて…?」
「そんな魔法知らないよ」
魔法を使えばケモ耳を付けることが出来るんだ。
見せてるって言い方からして幻覚の類なんだろうけど、応用すれば見せないことも出来るのかな?
「本物の獣人族、初めて見た…」
「私のお耳触る〜?」
「え、いいんですか?」
「いいよ〜」
そう言うとレイがマリンに頭を差し出す。
「し、失礼します…」
マリンは恐る恐るレイのケモ耳を触る。
「柔らかい… ほ、本物ですね」
「えへへ、本物だよ〜」
アリスが羨ましそうにマリンを見てる。
私は少しだけ高度を下げてアリスが私のケモ耳を触りやすい位置に移動する。
「良かったら」
「ありがとうございます」
そう言うとアリスは私のケモ耳を触る。
あっ、そこいい。
相変わらずアリスは私のケモ耳を触るのが上手いね。
「う、うーん、どうしよう… 飛行魔法も使えるみたいだし、一応… いやでも…」
マリンはレイのケモ耳を触りながら何かを考えている。
「どうかしたの〜?」
レイが頭を差し出したままレイに尋ねる。
「いえ、その…」
「え〜、気になるな〜」
レイが子供のように足をばたばたさせる。
「お耳触らせてあげたんだし〜、ちょっとぐらい教えてよ〜」
「えっ、いや…」
説得の仕方がちょっとずるいね。
まあ、私も知らずにやってそうだしここは黙っておこう。
「あ、えっと、じゃあその、少し聞いてもいいですか?」
「私とアリスも?」
「はい、お願いします」
マリンがレイのケモ耳を離すと、レイは頭を上げてマリンと向き合う。
「えっと、普段は何をしているんですか?」
「普段は魔法の勉強をしたり〜、お出かけしたりかな〜」
「ミオさんとアリスさんも?」
「そうだね」
「はい」
なんだろう、面接かな?
「あの、皆さんは冒険者なんですか?」
「そうだよ〜」
「そ、そうなんですね…」
マリンはまた考え始める。
冒険者だと何か不都合なのかな。
「マリンちゃんは冒険者じゃないの〜?」
「い、いえ、私は魔導士ですよ」
「魔導士ってどういうことするんですか?」
「はい、えっと、人によりますが魔法の研究をしたり、旅をしたり物を売ったりですかね…」
魔法の研究をする以外は、普通の人って感じだね。
「う、うーん、どうしよう…」
「ねぇ〜、気になる〜」
レイがマリンの手を取って強く振る。
「あのっ、じゃあ分かりました。えっと、おこがましいのは分かってるんですけど、私と、その、お、お友達になって貰えますか…?」
「うん!お友達になろ〜!」
レイがマリンに抱きつくと、今度はマリンは躱さずにそれを受け入れる。
意を決してマリンから言われた言葉は、なんとも些細なことだった。
「今、友達になるかどうかで悩んでたんだよね?」
「は、はい、そうです」
「何か友達になれない理由とかあるの?」
「そうですね… その、冒険者は冒険をするのが仕事じゃないですか。それと比べて、魔導士って仕事という仕事がなくて、その差で話が合わなかったり予定が合わなかったりみたいなことが…」
なるほど、別に恥ずかしくて言えなかったとかじゃなくて、しっかり考えてたんだね。
「それなら大丈夫だよ。私達って仕事として冒険者をやってるわけじゃないからね」
「え、そ、そうなんですか?」
「そうだよ〜。楽しむために冒険者になったんだ〜」
アリスはしっかり依頼はするつもりみたいだけど。
「そういえば、マリンはどこに住んでるの?」
「わ、私は、あの山に住んでます」
私達がいる場所から東側に山がある。
「山に住んでるんですか?」
「は、はい。山はいい素材が手に入るんです」
山の素材ってなんだろう。
キノコとか?
「ユスティアには住まないの〜?」
「はい、毎回移動するのは少し手間なので…」
まあ、そうだね。
「じゃあ、マリンの家に案内してくれる?」
「え、私の家ですか?」
「うん、遊ぼうと思っても家が分からないと呼べないし」
「あっ、そうですよね。はい、分かりました。それではついてきてください」
「は〜い」
「分かりました」
私達はマリンに並走するように、自由気ままに山までゆっくりと飛んでいった。
マリンは何も言わず、全員に認識魔法をかけて誰かに見られないようにしてくれました。




