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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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86話 空駆けるケモ耳


 4月1日投稿分を、何と投稿し忘れていました。

 エイプリルフールにしても質の悪いことをしてしまいました。

 本当に申し訳ありませんでした。

 お詫びとして、久しぶりにこの時間に投稿しました。

 し忘れていた話は83.5話として挟みましたので、読んで頂ければ幸いです。


「それじゃあ飛行魔法を教えるよ〜。瞑想中にも少し説明したけど、この箒を使えば簡単に空を飛べるよ〜」

「分かりました」


 箒がアリスの目の前にまで浮かんでくる。

 アリスはそれを持つ。


「この箒に乗るんだけど〜、自分で魔力を流して浮かぶイメージをする方が上手く飛べるよ」

「はい」


 アリスは箒に跨って乗る。


「それでもう1つコツを教えると、箒だけじゃなくて自分も魔力で浮かせることをイメージをするとよりいいよ〜」

「なるほど…」

「どう、飛べそ〜?」

「なんとなく出来る気がします」


 そう言うとアリスは目を閉じて集中し始める。


「私は何か教えることある?」

「う〜ん、これでアリスちゃんも飛行魔法使えると思うから大丈夫だと思うよ〜」

「そっか」


 じゃあ私は適当に飛んでいようかな。

 私は箒に跨いで高度を上げる。

 フェンリルの森の木とだいたい同じくらいかな。

 この高さからだとユスティアを見下ろすことが出来る。

 空から見る広場には沢山の人がいることが分かる。


「これ、もしかしたら見られるかな」


 人は小さくて顔なんて分かるわけがないけど、向こうから見れば空に何かあることぐらい分かるよね。

 ユスティアの壁と同じくらいの高さまで高度を下げる。


 アリスとレイの様子を見るけど、特に2人が飛んでる様子はない。

 まだ時間はかかりそう。

 ちょっとスピード出してこようかな。


 ユスティアの反対側には、確かハスネールがあるんだっけ?

 軽くそこに行ってみようかな。

 私は前に進むようにイメージする。

 イメージ通りは私は前に進み始める。


 少しずつ加速するようにイメージをすれば、その通りに私は前に加速する。

 夢にまで見た空だー!

 なんてことはなく、ゲーム内でも空を飛んでる時は飛んでたからね。

 ただゲームと現実は違うわけで、少しだけ高揚感を感じはする。


 風を切るのを感じる。

 下を見ればいつも近くにあるはずの地面は遠い。

 ただ恐怖はない。

 空を飛ぶ面白さに比べれば、地面から足が離れているなんて些細なことだからね。


 調子に乗ってそこそこのスピードを出していた頃、ハスネールの方から馬車が来ているのを見つける。

 うーん、まだハスネールの街は見れてないけど、ここで馬車に乗ってる人達に見られるのは嫌だな。

 変に噂になっても面倒だろうし。


 私は急いでUターンしてレイとアリスの元に戻る。

 2人の姿が見えてきた頃、2人はすでに宙を浮いていた。


「アリスも出来たんだね」

「はい!すぐに出来ました!」


 アリスが無邪気に笑う。

 かわいい。


「催眠術は上手くいったの?」


 私はレイの横に移動して小声で話しかける。


「うん、上手くいったよ〜。アリスちゃんはいい子だからね〜」


 上手く出来たなら良かった。


「箒から落ちる心配は?」

「ないわけではないけど〜、ただアリスちゃんも体を浮かせるイメージは出来てるみたいだから大丈夫だと思うよ〜」

「何の話をしているんですか?」


 アリスが気になって話に入る。


「アリスがどのくらい上手く飛べるかって話だよ」

「そうなんですか?」

「そうだよ〜」


 間違ってはいない。


「アリスは長い時間飛べそう?」


 私は飛んでみた感じ長距離でも速い移動も出来そうではある。

 ゲーム内ではそんなに飛行魔法は得意ではなかったけど、魔力を使えるようになったおかげでイメージが簡単になったのか、今はそこまで苦に感じない。

 むしろ楽しい。


「そうですね… 魔力をちょっと使うので、そこまで長くは飛べないと思います」


 なら遠い場所への移動はやめた方がいいかな。


「なら、ある程度近いところに冒険に行くことにする?」

「アリスちゃんが疲れちゃったら、私とミオちゃんの箒に乗せてあげよ〜?」

「確かに、それでもいっか」


 アリスと自分と箒の3つを浮かせることになるから、イメージは大変になりそうだけど。

 というか、別に箒いらなくない?

 いや、レイとアリスはスカートだから箒に乗ったほうがいいと思うけど、私はスカートをあまり履かないから箒に乗る必要性を感じない。


「私達、冒険に出れるんですか?」

「うん、そうだね」

「やった〜!楽しみだね〜」

「楽しみですね」


 2人が嬉しそうにする。

 かわいい。

 私もやっと冒険出来そうで嬉しいよ。


「そういえば、何でこの魔導具は箒みたいな形なんですか?」

「レイ、本当のこと言うの?」

「どうしよっか〜」


 ここはレイに任せたい。

 催眠術が変に解けたりしてアリスが空を飛ばなくなったら困るからね。


「本当のことって何ですか?」

「アリスちゃん、落ち着いて聞いてね」

「…? はい」


 アリスは少し心構えをするように唾を飲んだ。


「アリスちゃんは今、空を飛べてるよね?」

「はい、飛べてます」

「じゃあ、アリスちゃんは自分の力で空を飛べてるんだ〜」

「あれ、この箒のおかげで飛べてるんですよね?」

「ううん、今、アリスちゃん自身の力で飛んでるよ〜」

「どういうことですか?」


 アリスはまだよく分かってない様子。


「つまり〜、この箒が魔導具っていう話、あれは嘘だよ〜」

「…え、嘘なんですか?」

「そうだよ〜」


 アリスは驚いて私の方を見てくる。


「どうかした?」

「私、今、自分の魔法で空を飛んでるんですか?」

「だね」


 アリスは信じられないといった顔をする。

 でもそれが現実だからね。


「空を飛べて良かったね」

「やったね〜!」


 レイがアリスの両手を取って腕を振る。


「私… 自分で飛べるんですよね?魔法を覚えることが、出来たんですよね!」

「そうだよ〜」

「えへ、えへへ、やったー!」


 アリスが嬉しそうにレイの手を握りながら万歳する。

 かわいい。

 喜んでる2人を眺めているとどこからともなく声をかけられる。


「あ、あのっ…!」


 声をかけられた方に振り返るけど、そこには誰もいない。


「あれ、今のミオちゃん?」

「ミオお姉ちゃんの声じゃなかったですよね」


 2人が不思議そうに言う。


「私じゃないよ」

「は、はい… あの、認識魔法、は、外れてますよ…」


 すると誰もいなかったはずの場所に、突如と青を基調とした魔女の装いをした青髪の女の子が現れた。


 ということで、新しい女の子ですね。

 冒険のその前に、ちょっとしたお時間です。

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