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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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84話 金髪碧眼魔法剣士 アリス


「アリスさんのジョブは魔法剣士でよろしいですか?」

「はい、お願いします」

「かしこまりました。アリスさんはGランクで、あと27回Gランク依頼をこなせばFランクに昇格になります」

「頑張ります」


 頑張ってFランクになってね。

 本当に。


「アリスさんもミオさんのパーティに入るんですか?」

「入ってもいいですか?」

「いいよ」

「もちろんだよ〜」

「ありがとうございます。それでお願いします」

「かしこまりました。アリスさんを『MaS』にパーティ登録いたしますね」


 アンネが魔導板を弄ると記録台の魔法陣が黄色に光る。


「それではお返しします」

「ありがとうございます」


 アリスはアンネから個人カードを受け取る。


「じゃあアンネ、また何かあったらよろしくね」

「お願いします」

「はい、お待ちしてます」


 アリスとアンネがお辞儀する。

 私も軽くしておこう。

 それを見たレイもつられてお辞儀する。


「またね〜」

「ご贔屓にお願いしますね」


 私達は冒険者ギルドを出て雑貨屋へ向かう。


「雑貨屋で何を買うんですか?」


 そういえば。

 本来なら箒を買ってくる予定だけど、それはアリスには言えない。

 どうやって誤魔化そう。

 私はレイの方を見る。

 レイはアリスの質問に動じた様子はない。


「虹明花だっけ?それについて調べたいな〜って。だからお花の図鑑を買いたいんだ〜」

「なるほど、そうなんですね」


 アリスは疑う様子もなくレイの言い分を受け入れた。

 おぉ、ちゃんと考えていたんだね。


「魔力を吸う花でしたよね、どうして私達は吸われなかったんでしょう」

「私達の共通点は魔力を上手く扱うことが出来るけど、やっぱりそれかな?」

「それについてもちゃんと調べるよ〜」


 雑貨屋に着くと、レイは一目散に店の中に入っていく。

 ここで私がすることと言えば、アリスはレイが箒を買っているところを見られないようにすることだね。


「外で待ってる?」

「少し見たいものがあるんですけど、いいですか?」

「う、うんいいよ」


 ここで止めたら明らかに怪しい。

 私もアリスと一緒に雑貨屋に入る。

 すでにレイの姿は見えなくなっている。


「何を見たいの?」

「剣術についての本を見たくて」

「そうなんだ」


 そういえばアリスに剣術を教えるのを忘れてた。

 というか剣術に関しては出来ればレイの方がいいと思うんだけど、余分な動作が多いと言えば多いし、アリスはひとまずナイフを使うから先生になってもらうか悩みどころだ。


 本がたくさん置いてあるスペースに移動する。

 ここにもレイはいない。


「あっ、ありました」


 アリスは剣術指南書を見つける。


「どうする?買う?」

「そうですね、買った方がいいと思います」

「分かった、それじゃあ私も欲しい本があるからちょっとだけ付き合って」

「分かりました。どんな本ですか?」

「レイ用に料理本と、あと歴史の本とかかな」

「料理本と歴史の本ですか…」


 そう言ってアリスが本を探し始める。

 私はアリスの後ろをついていく。


「料理本はこれとか、これとか… これは他の街の料理についての本ですね」

「めぼしいものは買おう」

「分かりました」


 そう言うとアリスが本をピックアップしていく。


「このぐらいですかね?」

「そうだね、ありがとう。持とっか?」

「あ、ありがとうございます」


 私はアリスが抱えた本の山を受け取る。


「後は歴史の本ですよね」

「うん」


 アリスが移動するのでまたついていく。

 アリスが色々な本を本棚から抜いていく。


「歴史の本というか、ユスティアやその近くの街についての本とか、国についての本とかになるんですけど」

「そっかぁ… うーん」


 悪くはないけど、歴史的に不思議な現象が起きた場所とかに積極的に行きたいんだよね。

 どこに行くと面白そうかを知りたかったけど、それが分かる感じではなさそう。


「観光の本とかは?」

「王都の観光の本ならありますよ」


 王都には行きたいんだけど、それとは別で冒険したい。


「湖の話って誰から聞いたの?」

「リアお姉ちゃんから聞きました」


 リアからね。

 今度あったら面白い場所の話を聞いておこう。

 そういえば、レイナさんからもらった精霊の小瓶がある。

 精霊の森、最初の冒険にはいいかもしれない。

 転移するみたいだから冒険と言えるかは微妙だけど。


「どれかいい本はありましたか?」

「うーん、王都の観光の本は買おうかな」

「分かりました」


 そう言うとアリスが本を戻していく。


「それじゃあ買いにいきましょう」


 会計に行き、本の山を買う。

 それをアイテムボックスにしまい、店の外に出る。


「レイお姉ちゃん、いませんね」

「そうだね」


 外にもレイの姿はなく、むしろどこにいるのか気になる。

 しばらくするとレイがお店から出てくる。


「遅かったね」

「いや〜、ちょっと場所が分からなくて」

「そうだったんですね…?」


 アリスが不思議そうに言う。

 いや、アリスの気持ちは分かる。

 雑貨屋は確かに広くはあるんだけど、迷うかと言われれば微妙だ。


「待たせちゃってごめんね〜」


 レイがアリスを抱きしめる。


「いえ、大丈夫ですよ」


 アリスが優しく答える。

 アリスから見てもしかしたらレイが申し訳ない気持ちになってるようかもしれないけど、遅くなったのを誤魔化すためだからね。

 レイが私と顔が合うと、してやったりという顔をする。


「それじゃあ飛行魔法を覚えるために、人目につかない場所に移動するよ」


「分かりました」

「は〜い」


 そうして私達はユスティアの外に向かう。



 アリスちゃんはミオちゃんと本を探しながら思いました。

 お花の図鑑を探しているんですよね?

 ここにありますけど…

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