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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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83話 ケモ耳達の朝会議


 次の日の朝。


 夕方ごろにユスティアに帰ってきた私達は、混雑を避け明日の昼前に冒険者ギルドに行き、レッドビーの討伐を報告することにした。


「ミオちゃんって飛行魔法使えるの〜?」

「前は使えたけど、今はどうかな」


 飛行魔法といい強化魔法といい、ゲーム内では使えたけどこっちに来てから1度も試してない魔法が多い。


「そういえば、レイはしっかりスキル確認してる?」

「してるよ〜」

「今、何のスキルがある?」

「えっと〜、偽神言語、アイテムボックス、鑑定、マップだね」

「そっか」


 レイはまだ転移を使えないのか。


「ミオちゃんは〜?」

「レイと同じのと、転移ってのがあるよ。瞬間移動できるスキル」

「あれスキルだったの?それなら私も覚えられるかな?」

「そうなんじゃない?」


 確か魔物を倒せば増えるんだよね。


「話戻すけど〜、飛行魔法を使う時ってどんなイメージしてる?」

「飛行魔法のイメージ?なんだろう、体を浮かせる感じかな」

「私と一緒なのか〜」


 レイが不満げに言う。


「なんで急に?」

「いや〜、人によって飛ぶにもイメージが違うみたいなんだよね〜。なんか重力を使うって人もいれば、風を使うって人もいたんだよね〜」

「へぇ、そうなんだ」


 そんなやり方があるのか。

 やっぱり飛びやすさとか違うのかな?


「もしミオちゃんと違うイメージだったら、アリスに教える時に2つのやり方を教えれるから、片方のイメージで出来なくてももう片方で出来るとかあるかもしれないでしょ〜?」

「確かに」


 魔法を使うにしても、やっぱり自分に合ったイメージというものはある。

 火を直接出して火を起こすのが主流でも、人によっては物体の温度を発火点まで上げるなんて人もいた。

 どうしてそんな回りくどいことをするのか聞いてみたけど、答えとしてはイメージが自分に合ってるらしい。

 もしかしたらアリスだって空を飛ぶにしても、私達と違って鳥みたいに羽がないと出来ないと思ってるかもしれない。


「とりあえずは浮くイメージで教えてみて、出来なさそうだったら色々なイメージを教えてみる?」

「そう!そこで1つ考えたんだけど〜、ミオちゃんって催眠術って知ってる?」

「手が開かなくなるみたいなやつだよね?」


 テレビで見たことないけど。


「そ〜、それをアリスちゃんにかけてみようかなって」

「レイって催眠術師なの?」

「催眠術師ではないけど、やり方は大体分かるよ〜」


 なんで大体分かるの?

 何の機会で知ろうと思ったんだろう。


「それで催眠術ってどうやるの?」

「催眠術って信じ込ませるのが大切だから〜、アリスちゃんが絶対に空を飛べるって信じ込ませなきゃいけないの」

「うん」

「そこで魔法の箒を作ろうかな〜って」

「魔法の箒?そんな物があるの?」

「ないよ〜」


 ないの?


「ないのにどうやって」

「だから催眠術だって〜」

「あっ、魔法の箒を使えばアリスでも簡単に飛べるようになるって信じ込ませるんだね」

「そういうこと〜」


 その作戦は悪くない。

 自分が飛べるイメージさえ出来れば飛べるからね。


「そうなると、私達は箒を使って空を飛べるようにならないとじゃない?」

「そうなんだけど〜、どうする?練習しとく〜?」


 箒を使って飛ぶなら、箒に乗りながらになるよね。

 私は箒ごと自分を浮かせれば出来そうかな。


「レイは出来そうなの?」

「私は出来ると思うよ〜」


 レイって少し適当だから、少し心配なんだけど。


「報告を終わったらアリスに教える?」

「箒を買ってからだよ〜」

「それなら冒険者ギルドの次に雑貨屋に行って、その後に人目につかなそうな外の草原に行こう」

「りょ〜か〜い」


 それじゃあアリスが起きたらご飯を食べて冒険者ギルドに行って、次に雑貨屋で箒を買って、次に草原で飛び方を教えることになるかな?

 アリスは昨日、かなりの距離を歩いたし緊張にも晒されたこともあってかぐっすり寝ている。

 まだ時間はありそうだし、少しだけ練習しておこうかな。


 私は席をたって全身に意識を向ける。

 私が空を飛ぶ時にイメージするのは、本当にただ浮くだけ。

 別に水を浮かせることが出来るんだから、自分だって浮かせれるでしょ。

 そんな安直な考えでゲームでは飛べた。


 私は魔力で自分を操るように全身に魔力を巡らせ満たす。

 私は魔力で腕を動かすイメージをする。

 すると力を入れてないのに動かせることが出来る。


 私は全身の魔力で擬似的な筋肉を作り出す。

 皮膚にも魔力を覆わせて硬化させる。


 よし、強化魔法は使えるね。

 いや、なんで強化魔法を試したの。

 体に魔力を満たすイメージは普段だと強化魔法で使うから癖でやっちゃった。

 まあ、強化魔法は使えることが分かったからそれはそれとして。


 私は満たした魔力で体が上に浮かぶイメージをする。

 すると足が床から離れる。

 よし、使えるね。

 徐々に体は天井に近づく。


「ミオちゃんも使えそうだね〜」

「うん、問題なさそう」


 私は天井に手をつく。

 それと同時にアリスがリビングに入ってくる。

 私は急いで体から魔力を抜いて地面に着地する。


「おはようございます」

「おはよ〜」

「お、おはよう」


 アリスは目を擦っている。


「今のは強化魔法ですか?」

「え?あ、うん、そうだよ」


 レイがニヤニヤしながら私を見てくる。

 何、別に焦ってないよ。


「今日の朝ご飯は私が当番でしたよね?」

「うん、お願いね」

「よろしく〜」

「レイもさっさと料理を出来るようになってもらわないと」

「う、アリスちゃん手伝うことある〜?」


 レイからさっきの表情は消え、少し申し訳なさそうにアリスに聞く。


「それじゃあ、野菜を切ってもらってもいいですか?」

「は〜い」

「怪我しないでよ?」

「大丈夫だよ〜」


 私はレイの手元を見ながら、朝ご飯が出来るのを待つことにした。


 催眠術っていうか思い込ませ?

 作者はかかりやすいので、集中したい時とかによく自己暗示をします。

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