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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第2章 王都観光
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82話 最強の花達


 アリスが倒したレッドビーを回収して、私達はお花畑の観光を続け?。


「よく逃げなかったね」

「怖かったですけど、ここで逃げたら冒険に行けないと思って何とか踏ん張りました」


 だとしても魔物を至近距離に来ても動じなかったのは、覚悟が出来すぎてる。

 10歳の女の子とは思えない。

 これぐらい強い精神を持ってるなら、立派な冒険者になれるんじゃないかな?


「これで冒険に出れるね〜」

「楽しみです」

「どこか行きたいところとかあるの?」

「この大陸って何があるの〜?」

「ごめんなさい、あんまり分からないです」

「別に謝る必要はないよ」


 アリスが知らないとなると、本当に冒険だね。

 適当に道なりに進むか、関係なしに歩いていくか。


「そういえば飛行魔法は覚えるんだよね?」

「どうする〜?飛べた方が楽だと思うけどな〜」

「飛べなかったらどう移動するの?」

「普通は馬を使うと思います」


 馬だと川を渡れないし、足の悪い場所も移動しづらいだろうし、そう考えると空さえ飛べればそれで全てが解決するんだよね。

 雨さえ降らなければ移動できるだろうし、空からなら興味深いものは見えるだろうし、ひとまずは飛行魔法を覚えるのがいいかな。


「それじゃあ飛行魔法を覚えたら、適当に飛び回ってみる?」

「いいね〜」

「私も覚えないといけないんですよね?」

「もちろん」

「私、魔法なんて使えないですよ」


 アリスが申し訳なさそうに言う。

 いや、逆に使えたらびっくりするよ。


「アリスなら大丈夫だよ。しっかり教えるし、なんなら私も使えるか怪しいし」

「一緒に頑張ろ〜」


 アリスが空を飛べるかはアリスのイメージ次第だから、できれば使えないって思わないで欲しい。

 使えないって思い込むとイメージが上手く出来なくなるからね。

 アリスのお姉さんのリアも魔法を使えるんだから、遺伝的に出来るはず。

 魔法を使うのに遺伝が関わるかは知らないけど。


「楽しみだな〜。どんなところがあるのかな〜」

「すごく綺麗な湖があるって聞いたことありますよ」

「湖いいね〜!ここの湖、見てみたいな〜」


 異世界の湖っていうとなんだろう。

 湖に妖精や女神がいるのかな?


「どんな湖なの?」

「空を綺麗に映すって聞きました」


 水面反射してるってことかな?


「あんな感じなのかな?あの〜、なんだっけ、コインだっけ?インコ?」

「ウユニ塩湖でしょ」

「そうそれ〜!」


 ウユニ塩湖みたいな湖、見てみたいな。

 現実世界では海外なんて行かないから見れないけど、この世界なら好きに冒険出来るからいつかは見れるかもしれない。


「お2人の大陸にも同じような湖があるんですか?」

「あるよ。ただ見たことはないかな」

「私もないよ〜」

「それなら良かったです」


 アリスがホッとしたように言う。


「どうして?」

「一緒に初めて見る方が思い出になるからです」


 アリスが笑って答える。

 もう、好き。

 いい子すぎる…


「アリスちゃん良いこと言うじゃ〜ん!いっぱい思い出作ろうね〜」


 レイが嬉しそうにアリスを抱きしめる。

 こんな小さいのにアリスって考え方が少し大人だ。

 見習わないとね。

 思い出と言えば写真だけど、どうにかならないかな。

 せっかくアリスも普段と違っておめかししてるし、お花畑を背景に3人の写真を撮りたいけど…

 目に焼き付けるしかないか。

 今度、偽神に頼んでみようかな。


「ミオお姉ちゃん、何かついてますか?」

「いや、アリスがかわいいから見てただけだよ」

「そうですか?ありがとうございます」


 アリスが服を弄り、少し照れながら言う。


「私は〜?」

「レイお姉ちゃんもかわいいです」

「レイもかわいいに決まってるじゃん」

「えへへ〜やった〜!」


 レイがほっぺたを抑えて嬉しそうにする。


「ミオお姉ちゃんもかわいいですよ」

「ありがとう」

「みんなかわいいよ〜!私達、最強だよ!」


 こんなにかわいらしい冒険者パーティはいないと思う。

 みんな低身長だし、なんか舐められそうだよね。

 実際、Eランクには下に見られたし。

 いや今はそんな嫌なことを思い出す時間じゃない。


「私は強くないですよ」

「そういう意味じゃなくて〜」

「かわいすぎて最強なんでしょ?」

「そういうこと〜」

「つまりどういうことなんですか?」

「アリスちゃん、こういうのは適当でいいんだよ。フィーリングだよ〜」

「そうなんですね」


 アリスが難しそうな顔をする。

 うんうん、難しいね。

 こういうのは考えないのが1番だよ。

 理屈じゃないから。


「あ、見てミオちゃん。ひまわりあるよ〜」

「本当?」


 レイが指差した先、かなり遠いところにひまわりがある。


「よし、行くよ」

「結構遠いよ〜」

「ミオお姉ちゃんはあのお花が好きなんですか?」

「好きというか、アリスにポーズを取って欲しいというか」

「転移魔法は〜?」

「あれは転移したいところに先に行ってないと出来ないから使えないよ」

「え〜、嘘でしょ〜?」


 嘘じゃないから、ほら行くよ。

 私は項垂れるレイを引っ張って歩く。

 というか加護があるから疲れないでしょ。

 むしろ文句言わずに付いてきてくれるアリスには感謝しかない。


 ひまわり群に来ると、アリスをひまわりの前に移動させる。


「それじゃあアリス、こうやって帽子のつばを持って」

「こうですか?」


 アリスが両手で帽子の横のつばを持つ。

 完璧。


「それで後ろを向いて」

「はい」

「にっこり笑いながら振り返って」

「わ、分かりました」


 アリスが私達に背中を向ける。


「テンプレだね〜」

「案外、シンプルなのがいいんだよ」

「大丈夫ですか?いきますよ」


 白いスカートが広がりながら、アリスは天使の笑顔でこちらに振り返る。

 かわいい…


「お〜、いいね〜」

「アリス、最強だよ」

「そ、そうなんですか?ありがとうございます」


 アリスがよく分からなそうに言う。


「それじゃあ次は」

「え、次もあるんですか?」

「あるよ、アリスは最強だからね」

「その最強ってなんなんですか?」

「アリスちゃん、最強は最強だよ〜」

「私、遊ばれてます?」

「そんなことないよ。それじゃあ次はね―――」


 そんなこんなで、私達はお花畑観光を楽しむのであった。



 作者は今、絵を描けるようになりたいと思っています。

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