70話 第2回 ミオ先生による魔法授業(第2編)
「アリス、もうおさまった?」
「おさまらないですけど、大分慣れました」
アリスはもう体を気にする様子はない。
「変に魔力は流してないんだよね〜?」
「流してないよ」
私は悪くないよ。
「それじゃあ授業の続きをするけど、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「私もいいよ〜」
2人ともしっかり聞く体制に入る。
「今2人に教えた魔力、これを上手く使えば魔法を強く効率よく使うことが出来るよ」
「どう使うんですか?」
「魔力を自由に動かすことは出来る?」
「うーん、なんとなく出来ます…」
アリスが少し体を震わせながら言う。
これってアリスは魔力を使うことに慣れてないから拒絶反応みたいなのが出てるのかな?
「出来たよ〜」
それに対してレイは全く問題なさそう。
レイが私に手を見せてくるけど、うん、分からないよ。
見える物ではないからね。
「そしたらその魔力を放つように光魔法を使ってみて」
「分かりました」
「こうかな?」
そう言うとレイの手の上から閃光が放たれる。
目が…
「目がチカチカします…」
「ごめんね〜、こんなになるとは思わなくて」
レイがアリスを抱きしめて頭を撫でる。
私もチカチカする。
これって回復魔法使えるのかな?
私は視界を元に戻すために目にヒールを使う。
目元が暖かくなると、目元の力が抜けていく。
するとすぐに視界が元通りになる。
異常はない。
便利だ。
「アリス、レイ、こっち見て」
「はい」
「何〜?」
私は2人の目を覆うとヒールを放つ。
「あったかいです」
「ホットアイマスクだ〜」
私は便利グッズか何かかな?
いや、便利なんだけど。
私が手を離すと、2人が目を開ける。
「あれ、チカチカしてないです」
「本当だ。ミオちゃんありがと〜」
「どういたしまして。レイは次から気をつけてね?」
「は〜い、ミオちゃんもごめんね」
「いいよ。アリスも光の量には気をつけてやってみて」
「はい、いきます」
そう言うとアリスの手が震える。
すると手の上に弱い光が現れ、徐々に強くなり球体を象っていく。
「うぅ、やっぱり変な感じです」
アリスはまだ魔力を気持ち悪がっているけど、光はどんどん強くなっていく。
アリスがさっき見せてくれた光よりもずっと強い。
「よし、アリスはもう大丈夫かな」
「分かりました」
アリスはすぐに光を消すと、アリスはマッサージする様に自分の手を弄る。
「それじゃあレイもアリスみたいにゆっくり光らせてみて」
「いくよ〜」
私は一瞬身構える。
レイの手の上に弱い光が現れる。
同じように徐々に光は強くなっていき、アリスが出した光ぐらいの強さになるとレイは光を消した。
「やった〜!出来た〜!」
レイは嬉しそう手を振って小躍りをする。
相変わらずかわいい踊りだね。
「おめでとうございます!」
アリスも拍手をする。
「良かったね」
「ミオちゃんとアリスちゃんありがと〜!」
レイは嬉しそうに私に抱きついて私と目を合わせる。
「ちゅーしよ?」
「え、今?」
「え!?」
ほら、アリスが驚いてるじゃん。
「今!今がいい〜!ほら!」
「もぉ〜、ん」
ミオちゃんが3回キスをしてくる。
あ、1回多い。
かわいい女の子とキスすること自体はいいんだけど、でもやっぱりスキンシップの癖が強い。
「ミオお姉ちゃんとレイお姉ちゃんって、こ、恋人なんですか?」
アリスがどぎまぎしてるよ。
ちゃんと説明してね。
「私達は姉妹だよ〜」
そっちじゃない。
キスの方を説明して。
「アリスちゃんもちゅーしよ?」
レイがアリスに迫る。
「えっ!?私もですか?え、えっと…」
「大丈夫、すぐ終わるよ〜」
何を言ってるのこのお姫様。
ただのキス魔じゃん。
「バカ」
「いたっ」
私はレイの頭を叩くと、レイが頭を抑える。
「無理やりしないって約束したよね?」
「うぅ、ごめんなさい」
レイが落ち着いた。
反省してね。
「あの、どうして、ちゅ、ちゅーをするんですか?」
アリスが恥ずかしそうに聞いてくる。
「私達の大陸ではコミュニケーションの1つでキスをする人が多いんだよ」
いや、別にそんなことはないけど。
いないわけではないけど、でも多くはないよね。
ただ他に説明しようがない。
「なるほど、そういうことなんですね」
アリスはひとまず納得してくれたみたい。
「だからちゅーしよ?」
レイ、懲りて?
「嫌なら断ってね。1回断ると次も断りづらくなるから、ちゃんと考えるんだよ?」
レイはどうしようもなさそうなので、アリスにしっかり判断してもらう。
「そ、そんなにしたいですか?」
「したい!」
覇気が強い。
そんなにキスしたい?
私もスキンシップは好きだけど、キスはどっちでもいい。
「じゃあ、は、はい、どうぞ」
そう言うとアリスが目を閉じる。
「レイ待って、本当にいいの?」
私はレイを捕まえながらアリスに聞く。
「そんなにしたいなら、い、いいですよ」
アリスは優しいね。
心配になってくる。
ただ私はドキッとした。
アリスのキス待ち顔がかわいすぎる。
綺麗な唇に視線を奪われる。
…私もしたい。
そんな邪な感情が溢れていき、抑えることが難しくなる。
私はひとまずレイは離す。
「いくよ〜?」
「はい、どうぞ」
レイはアリスに手を回すと、優しくキスをする。
羨ましい。
「アリスちゃん、好きだよ」
「あっ、はい、私も好きですよ。あぁ〜、すごくドキドキしました」
「え〜、かわい〜!」
真っ赤になったレイがアリスを抱きしめる。
私も胸が高鳴る。
恥ずかしい気持ちを我慢してアリスに話しかける。
「ア、アリス、私もしていい?」
「ミオお姉ちゃんもですか?」
「ミオちゃんもしたいんじゃ〜ん」
「う、うるさい」
レイにからかわれるけど気にしない。
「アリス、いい?」
「い、いいですよ」
「じゃあミオちゃんの番ね〜」
レイがアリスから離れる。
私はアリスに近づいて手を回す。
するとアリスは目を閉じる。
アリスの完璧な顔立ちにときめくのは当たり前、それに加えてキス待ち顔をされたら理性は簡単に吹き飛ぶ。
アリスの唇に釘付けになる。
我慢が出来ない。
私はアリスと唇を重ね合わせた。
「ん…」
アリスが小さく声を漏らす。
待ってかわいすぎる。
アリスの唇は柔らかく、離れると少しだけ唇が吸い付いてくるように感じる。
名残惜しくなってもう1度キスをする。
癖になってくる柔らかさだ。
けどやりすぎたら迷惑だよね。
私は僅かな理性をもってアリスから顔を離す。
アリスの顔を見ると顔が真っ赤になっている。
「柔らかかったよ」
「は、恥ずかしいこと言わないでください!」
そう言ってアリスが顔を手で覆う。
「ミオちゃん、尻尾が嬉しそうだね〜」
レイがニヤニヤしながら行ってくる。
私は急いで尻尾を手で抑える。
何をやってるんだろうこの子達は。
ただ女の子達が仲良くキスしてるのは好きなので、私としては幸せならおっけーです!




