69話 第2回 ミオ先生による魔法授業
朝ご飯を食べ終えた私は、暇を持て余していた。
そう、私は暇だった。
アリスとレイは光魔法の練習を始めたけど、私は特にすることがない。
「ミオお姉ちゃん、見てください」
アリスは光の球体を私に見せてくれる。
最初の頃よりかははるかに明るい。
「あともうちょっとだけ明るくしてみて」
「はい、これでどうですか?」
アリスはさらに明るくしてみせる。
光魔法は完璧に使いこなせているね。
私よりもセンスあるかもね。
「それじゃあアリスは次の魔法だね」
「分かりました」
「えぇ〜、ずる〜い」
レイも光を出すことは出来ても、決して明るいとは言えない。
「レイも頑張って」
「アリスちゃんと一緒にやらないとやる気出な〜い」
レイが駄々をこね始める。
お姫様、床に寝るのはしたないですよ。
「レイお姉ちゃんもあと少しなんですから、頑張ってください」
「アリスちゃ〜ん、どうすればそんなに明るくなるの〜?」
「そうですね… やっぱりイメージが大事だと思います。私は光魔法を何度も使い続けてだんだんコツを掴みましたから」
「アリスの言う通り、継続は力なりだよ」
「同じことやっててもつまんないよ〜」
レイは寝ながら光の球体を手の上に出す。
アリスと比べると全然明るくない。
どうしようかな。
これは教えていいものなのか。
恐らくアリスとレイは魔力を感じることが出来ていない。
Cランクパーティのレイナさんと同じ状況だ。
ただ同じくCランクパーティのリアは強化魔法を覚えるために研究したと言っていた。
その過程で魔力に気付いたんだろうね。
そうなると、魔力に気付くことは簡単ではない?
ただ魔力に気付けると、魔力を溜めて放つ感覚を知ることが出来て、イメージがより鮮明になると思う。
さらには魔力を完璧に使いこなせば、本物の魔法も使えるようになると。
私が魔力を教えてあげれば、2人とも魔法は一気に上達していくと思うしいいこと尽くめなんだけど、普通の人とは違う上達の仕方をするんだよね。
多分、大丈夫だよね。
「そんなレイのために。第2回、ミオ先生による魔法授業〜」
「わ〜」
「どうしてそうなるの〜?」
アリスは前回通り拍手してくれるけど、レイは完全に項垂れる。
「今日の授業は勉強が嫌いなレイのための授業だからね。いや、前回もレイの為だったけど。でも今回は誰でも簡単に魔法を使えるようになる授業だよ」
「ほんと!?」
レイが起き上がると目を輝かせる。
「そんなことが出来るんですか?」
「多分ね。2人は魔力について知ってるよね?」
「はい、魔法を使うための力で、人によって魔力の質が変わったりするんですよね」
「その通り」
レイも少なくともそれぐらいは知ってるよね。
「それじゃあ、魔力を感じたことはある?」
「な〜い」
即答だね。
レイも本当に私と同じ魔法剣士?
「魔力を感じるってどういう感覚なんですか?」
「う〜ん、ちょっと説明が難しいんだけど、水が体の中でジワジワ溢れるみたいな?それが体の中を巡ってる感覚だよ」
うん、説明が下手だね。
というか感覚を教えるって難しいね。
「そんな感覚は感じたことないです」
「私も〜」
「魔力切れで力が抜ける感じとは違うんですか?」
「違うと思う」
というかアリスも魔力切れを起こしたことがあるんだね。
新人冒険者はよくやるって話だけど、魔力切れってどんな感じなのかな?
私も今度試してみようかな。
「レイって今、強化魔法使える?」
「使えるよ〜」
レイはそういうと立ち上がり、ジャンプすると簡単に天井に手をついた。
「ほら!」
「レイお姉ちゃんすごいです!」
「すごいでしょ〜」
レイが嬉しそうに頬を緩ませる。
「強化魔法を使ってる時って、何か感じない?」
「力が溢れ出る感じはするよ〜」
「その感覚は魔力じゃないね」
ただ強くなってるだけだね。
「分かんないよ〜?こういう魔力の種類なのかもしれないでしょ〜?」
「かもしれないけど、ひとまず私の手を握って」
私はアリスとレイに手を差し出す。
アリスとレイは私の手を取ってきたので恋人繋ぎをする。
「や〜ん、ミオちゃんだいた〜ん」
「何を今更言ってるの?魔法の使い方教えないよ?」
「ごめんごめん!」
何となく魔力を流しやすいかなって思っただけだから。
私はレイをあまり調子に乗らせないようにして、両手に魔力を集中させると、2人に魔力を流す。
「わっ、何ですかこれ!?」
「おぉ〜!すごいすごいすごい!」
アリスは初めての感覚に体をよじらせる。
レイは強く握り返してくる。
逃さないようにアリスの手を握り続ける。
レイは新感覚に楽しくなってるだけだけど…
「ミオお姉ちゃん、な、何か変です!やっ、やめて…!」
アリスは魔力を嫌がってなのか、アリスの体が跳ねたりする。
何かちょっと…
えっち…
かわいいアリスを虐めたくなる気持ちを抑えて、私は2人の手を離す。
「どうだった?今のが魔力なんだけど」
「すごかった〜!今も魔力を流れてるのを感じるよ〜!」
レイはレイナさんと同じタイプだね。
「何か気持ち悪いです…」
アリスは解放されてもなお握っていた手を振ったり、逆の手で揉んだりしてる。
もしかして、アリスは向いてないとかあるのかな?
「嫌な感じ?」
「小さい生き物が体の中を這いずってる感じです」
うわぁ、最悪だね。
「まだ這いずってる?」
「這いずってます」
這いずってるかぁ。
ただ2人とも魔力を感じてるんだね。
私はアリスを落ち着かせるために体をさする。
「アリスちゃん大丈夫?」
「分かんないです…」
レイもアリスを心配してアリスの体をさする。
ひとまずアリスが落ち着くまで待つことにした。
えっちな反応をする女の子ってかわいくないですか?




