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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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62話 第1回 ミオ先生による魔法授業


 魔法授業はこんな雰囲気でやるつもりです。

 次の魔法授業は実技の予定です。


「第1回、ミオ先生による魔法授業〜」

「わ〜」

「えぇ〜」


 アリスは盛り上げるように拍手をする。

 対してレイは嘆く。


 私とアリスとレイは素材を受け取って早々に食事スペースに戻った。

 私が授業の最初の言葉を言った時、他にいた冒険者が私の事を見てたけど気にしないよ。


 ただこの授業は元々アリスが知ってることを教えるからね、レイにちゃんと聞いて欲しいな。


「レイってそもそも魔法剣士なのに火魔法とかほとんど使えないじゃん」

「使えます〜」

「そうだったの?」


 レイが使ってる姿を見たことなかったそう思ってたけど、本当は使えるんだ。


「どのくらい使えるの?」

「マッチぐらいの火なら…」

「じゃあレイもちゃんと聞こうね。というか本当はこの授業ってレイのための授業だから」

「そうなの?別に私のことなんか気にしなくていいよ〜」

「レイお姉ちゃんも一緒に勉強しましょう?」


 アリスが諭すように言う。

 ナイスアシスト。

 天使アリスの説得には屈するしかない。


「分かったよ〜」


 レイが諦めたみたい。


「それじゃあ今度こそ授業を始めるね。アリスは知ってると思うけど、この世界には5つの魔法があるよ」


 私はアイテムボックスから魔法指南書を取り出して魔法の定義について書かれているページを開いてレイに渡す。

 レイは受け取ると指南書に視線を落とす。


「それに書いてある通りなんだけど、魔術、禁術、魔法、禁忌、大魔法の5つだね」

「魔法を細かく分けたうちの1つに魔法があるの?」

「そうだね」


 これは本当になぜこうなったのか知りたい。

 どうして分けなかったのか。


「分かりづらいね〜」

「分かる」


 分かる。


「大魔法は完全に規格外の魔法だから今回は省略するよ」


 星辰術とか訳が分からない。

 星を使ってどうやって魔法を使うの。


「魔術は技術として使える魔法のことだよ。例えば建物の明かりは光魔法を使われてるね。これは技術として使われているから魔術」

「うん」


 レイはしっかり聞いてるね。

 アリスがギルドの中を眺めている。

 アリスは暇だよね、ごめんね。


「魔法はその逆、技術として成り立ってないよ。例えば、レイに馴染み深いのは強化魔法だね。強化魔法は魔術になってないから、ほとんどの冒険者は強化魔法を使えないよ」

「あれ?強化魔法ってほとんどの人が使えるよ?」


 そうだね、ゲーム内ではね。

 レイって獣人族の大陸について知ってるのかな?


「それは私達の大陸での話でしょ?」

「…あ〜、なるほどね!」


 レイが察したように言う。

 よしよし。


「え?獣人族の大陸では強化魔法はほとんどの人が使ってるんですか?」


 アリスが目を丸くする。


「そうだよ、私達の大陸では強化魔法でも回復魔法でも空間魔法でもほとんどの人が使えるね」

「す、すごいですね…」


 レイが本当に驚いている。


「別に魔法って難しいことではないから、アリスにも覚えてもらうよ」

「そ、そんなの無理ですよ!」


 アリスは強めに首を振ってるけど、本当にやってもらうからね。


「大丈夫、アリスちゃんでも使えるよ〜」

「リアも使ってたし、アリスにも才能はあるはずだよ」


 最悪でも私が才能を引き出させるからね。


「そうかも知れないですけど」

「アリスも強い冒険者になりたいなら魔法は覚えないとね」

「頑張ります…」


 そうそう、少しは前向きにね。


「それじゃあ話を戻すけど、次は禁術と禁忌ね。ただこの2つはこの大陸に来てから全く聞いたことない言葉だから、あまり詳しくは説明しないよ。禁術は詮索を禁止されてる魔術、禁忌は詮索を禁止されてる魔法、以上だよ」

「先生〜真面目にやってくださ〜い」


 何でレイが急に正論言ってくるの?


「細かい定義はあるけど、実際さっきの説明通りだよ。禁止されてるせいで生活してても聞くことは全くないものだよ」


 というか詮索を禁止されてるせいで何が禁術や禁忌なのかも分からない。


「使ったらどうなるの?」

「使っても問題ないよ。だからいつの間にか使ってる可能性もあるみたい」

「へぇ〜」


 もしかしたら障壁魔法は禁忌かもしれない。

 ただ私は確認しようがない。

 それって禁忌とか禁術に指定する意味あるのかな?

 難しい…


「魔法はその5つで終わり?」

「そうだよ。次はどうやって魔法を使うかを教えるね」

「は〜い」

「お願いします」


 アリスもしっかり聞き始める。


「魔法はイメージが重要だよ。アリスはイメージの練習をしてると思うけど、レイは強化魔法が使えるから、イメージの仕方自体は問題ないと思うんだよね」


 四大元素の魔法を使えるけど強化魔法を使えない人はいっぱいいた。

 むしろ強化魔法を使えて四大元素の魔法を使えないのはレイぐらいだ。


「だからレイに必要なのは根気強く魔法を使おうとすることだね」

「嫌だ〜」


 どうして?


「今まで火魔法とか使おうとしたことある?」

「あるけど〜、全然出来なくて諦めた〜」


 確かに諦める気持ちは分かる。

 私も1週間かけて火魔法を習得したけど、はっきり言って辞めたかった。


「私も火魔法を使おうとして全然出来なかったよ。それでも諦めずにやったら出来るようになったよ。だから、レイに必要なのは忍耐力かな?」

「無理〜、私にはセンスがないの〜」


 全くレイは…


「アリスも今は頑張って魔法を覚えてる最中だから、レイも一緒に頑張ろう?」

「そうなの?」

「はい、私も今は光魔法を覚えています」


 レイが悩む。


「う〜ん…」

「今からでも遅くないよ、アリスと一緒に頑張ろう?私も教えてあげるから」

「レイお姉ちゃん、一緒にやりましょう?」

「うぅ…」


 レイは揺らいでる。

 後もう一押し。

 私はアリスとアイコンタクトを取る。


「魔法が使えるようになったら楽だよ。空中の敵とか攻撃出来るよ?」

「どこでも焚火が出来ますよ!」


 それはいい点なのアリス?

 確かに野宿とかする時には便利だけど。


「私も、やろうかな〜…」

「よし、そうだよレイ!何事も挑戦だから、頑張ろう!」

「レイお姉ちゃん、私も付いてますから!」


 アリスがレイの手を取る。

 アリス、それ最高!


「…うん、私も頑張るよ!」


 レイはアリスが手を取ってくれたことに目を輝かせながら言う。

 私達はなんとかレイを言いくるめ、一緒に魔法の練習をする約束を取り付けた。



 レイは魔法剣士をジョブにしたけど、魔法は諦めて剣の道を進みました。

 途中でジョブ変更は出来たけど、強化魔法などの魔法の利便性に気づいて魔法剣士を貫きました。

 レイが強化魔法が使える理由は「こんなこと出来たらいいな〜」というイメージが戦闘を重ねる上で強くなっていったからです。

 今のレイは「火魔法は別にいいや〜」と考えているから四大元素などの魔法は全く使えません。

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