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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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53話 ミオ 初めての対人戦


 前回で名前の表記揺れが激しすぎて、混乱したことと思います。

 人相の悪い剣士の名前はブルです。

 本当に申し訳ないです。




 魔法使いのフィオナな私と十分な距離を取るとこちらに向き直す。

 フィオナの一部が揺れるのが視界に入る。

 レイナさんといい、魔法使いは胸が大きいのが前提条件なのかな。

 それとも魔法使いになると胸が大きくなるのか。

 どっちの命題の答えは偽であるけれど、胸がある人種は羨ま、いや憎らしい限りだ。


 女性の魅力は慎ましさにあり。


 そんな見せ付けているような胸に私は騙されないぞ!

 レイナさんを見習って欲しいものだ。

 胸を当てられるまで大きいとは気付かなかった。


 いや、今、胸は関係ない。

 どうやって叩きのめすかだよね。


 レイは魅せプレイが好きだけど、私は別にそういうの好きでもないし、遅延プレイとか持っての他だからね。

 格下の相手には早々に決着をつけるのが私の流儀だけど、でもせっかくの対人戦、もうちょっと楽しみたいよね。

 そう思うとゲームで対人戦する時って、あんまり楽しくなかったな。

 最初の頃は楽しかったけど、徐々に作業って感じになってくる。


 私の流儀から外れるけど、自分が人よりもどれだけ強いか知りたいし、ひとまず攻撃を全て受けきって、その後に格の違いを見せてあげるのがいいかな。

 こっちが受けに重点をおけば、相手は調子に乗って攻撃を連発してくるだろうし、それで魔力切れを狙うのもいいね。


「準備はいいかしら?」

「いつでもいいよ」


 私はナイフを持った右手を振りながら答える。


「ナイフはなしよ?さっきも言ったけど殺し合いじゃないから」

「そんな怯えなくていいんだよ。これは右手を使わないであげるよって意味だから」


 別にそんなつもりじゃなかったけど、とりあえず煽ってみる。

 右手縛りか。

 ゲームだったら致命的だけど、この魔法使い相手にはちょうどいいでしょ。


「言うわね。本当に怪我しても知らないわよ!」


 そう言うとフィオナの杖の先に土が集まり始まる。

 それはサッカーボールぐらいの大きさの球体になり、フィオナが杖を私に向けて振ると、土の球体は私に目掛けて飛んでくる。

 速さで言えば、そうだね、小学生の男の子がドッチボールで投げる時ぐらいの速さ。

 普通に当たれば痛いでは済まないね。


 私は左手を前に出し突風を放つ。

 突風は土の球体に衝突すると土の球体を砕く。


「なかなかやるじゃない」

「そう言うあなたはまだまだだね」

「子供の分際で…」


 フィオナがそう言うと杖の先に土の棘が5本作られ、フィオナが棘を放つ。


 対人戦で怒りに任せて攻撃するのは良くないよ。

 常に冷静じゃないと。


 土の棘の速さはさっきとほとんど変わらない。

 これ当たったら刺さるよね?

 最悪死ぬけど、いいのかな?


 私も土の棘を即座に5本作りあげ放つ。

 私が放った土の棘は、しっかりと相手の5本の棘を打ち落とす。


 もしかしてずっとこんな感じ?


「何か、弱くない?」

「くっ…このガキ…殺してやる」


 聞き捨てならない言葉が聞こえたけど。


「ミオちゃん…」


 レイが心配して声をかけてくる。


「大丈夫だよ」


 怒りに任せた攻撃をいなすことが出来ないなら3流だからね。

 レイに返事するや否や、土が私の足を拘束する。


 本気で殺しに来てるね。

 いくらなんでも怒りっぽい。

 フィオナが杖を掲げると、無数の棘がフィオナの周りに作られていく。

 さっきのよりも大きく、そして鋭利だ。

 しかも当てやすいように横にも棘を展開している。

 私の視界の端から端まで棘が見える。


 よし、これは試練だ。

 これから来るであろう攻撃、全て弱い障壁魔法だけで受ける。

 障壁魔法は1度に複数の壁を作るイメージをしても壁が作れない。

 1枚ずつ、しっかりとイメージしないといけない。

 だから弱い障壁魔法は連続する攻撃や持続する攻撃を受けるには向いてない。

 でも、そんな攻撃を弱い障壁魔法で受けきることが出来るなら、きっと怖いものなんてない。

 最悪受けきれなくても、突風をずっと起こし続ければ大丈夫だろうし。


 私は左手を前に出し、大量の魔力を集中させて準備する。


「貫け!」


 フィオナがそう言うと1つの棘が放たれる。

 その棘はさっきよりも速く鋭い弾道で私の体に向かってくる。


 私は1番最初に放たれた棘と私との間に、親指と人差し指で作った輪っかぐらいの大きさの壁をイメージする。

 壁に強度はいらない。

 そこにあるだけでいい。


 溜めた魔力の少量だけを放つと、正面の空間の一部だけが歪むと、棘と衝突し大きな音を上げながら壊れる。

 棘と衝突したせいで砕け散る。


 のんびり眺めてる暇はないね。


 間髪入れずに2つ目が放たれる。

 私は次の棘を受けるための壁をイメージし、魔力を少量放つ。

 また空間が歪み、棘が壁に衝突しどちらも壊れる。


 3つ目も放たれるが、壁をすぐに作って受ける。

 4つ目も放たれるが、もう1度同じ事をする。

 5つ目も、6つ目も、7つ目も、同じように攻撃をいなしていく。


 徐々に棘が放たれるペースが上がっていく。

 壁を作って受ける前に次の棘も放たれる。

 まだ脳がイメージするリソースに余裕はあるね。


 相手のペースに合わせて、私もイメージする速さを加速させ、連続して魔力を放っていく。

 見やすいようにと思って壁は小さくイメージするが、徐々に守る範囲も増えてきて、壁を作った際の空間の歪み、そして土の棘が壊れる時に起こる土煙のせいで視界が不明瞭になっていく。

 ただ、それでもまだ見える。


 右に、左に、正面に飛んでくる棘に合わせて壁を作る。

 放たれる棘のペースはやがて、銃を撃っているようなペースになる。

 それでもまだ私の壁を作る速度は追いついている。


 壁が壊れる音と土が砕け散る音で轟音になる。

 ガラスが割れる甲高い音と、土が衝突した時に発せられる爆発音のような音は私の耳を攻撃するが、私は気を取られないように壁を作る事に専念する。


 不明瞭な視界だけど、僅かに向こうの様子は見える。

 棘の数があと僅かだ。

 そう思った瞬間には最後の棘が放たれる。

 私は最後の1つも壁のイメージをしっかり行い、そして壁を作る。


 見えない壁と棘が衝突する。


 それとともにフィオナが立ちくらみを起こしたように倒れる。

 多分魔力切れだね。

 しっかり手で体は支えているから意識はありそう。


 それにしても、ものすごく頭を使った。

 疲れるとかそんな話ではない。

 もう何も考えたくない。


 うん、こういう攻撃を受ける時は、とにかく丈夫な壁を1つ作って受けよう。

 そうした方が良いのはゲームで試した事があるから分かってたけど。


 相手がもう立ち上がる様子はないので私は剣士のブルを見る。


「私の勝ち?」

「…あぁ?」


 ブルは呆気に取られているようだ。

 ハンマー使いのイアンも、槍使いのエルザも同様に呆気に取られている。

 レイだけが不思議そうに私に近づいてくる。


「どうしてあんな効率の悪いやり方をしたの?」

「やってみたかったから」

「そっか〜」


 レイは納得したみたい。

 多分レイだって同じことやったことあるでしょ。

 

「私の勝ちだよね?」

「…あ、あぁ」

「いいえ、まだよ!」


 私は声のする方向に向けてさっきよりも大きくて鋭い棘を放つ。

 その棘はフィオナにあたる寸前で地面に突き刺さる。

 私は土の拘束がなかったように歩き、フィオナに近づく。


「まさかまだやるの?」

「…私の負けよ」


 フィオナは俯き、ばつの悪そうに答える。



 ということでミオちゃんの異世界での初の対人戦は終了です。

 もちろん圧勝です。

 そもそもCランクのレイナさんですらミオちゃんは強いって言うんだから、Eランクが勝てるわけがない。

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