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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第5章 アンクイン
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526話 第7回 ミオ先生による魔法授業(第4編)


 7月18日(日)も期末課題でダメです!

 課題が怖い。


「強化魔法かけた?」

「はい!」

「終わった?」

「問題ないです、出来てます!」


 アリスがぴょんぴょんと跳ねる。

 高さは私を越せるぐらいのもの。


 アリスに「強化魔法って、飛行魔法みたいに1回かければずっとかけれるイメージでも出来るんじゃない?」って提案してみたら、すぐ出来ちゃうんだなぁ。

 天性の魔力とかそういうのなしに、魔法の才能があるよね。

 魔法を始めて1ヶ月ぐらいで、飛行魔法は当たり前に使えてて強化魔法にも手をつけ始めてるの、おかしいよね?


 それ出来たらほとんどの冒険者がCランクは行ってるはずだから、やっぱりこの金髪美少女アリスちゃんは魔法において天賦の才を持ってる。


「じゃあ、解除は?」

「もちろん出来ますよ!ほら!」


 またアリスが跳ね始めるも、今回は子供の可愛いらしい全力ジャンプで妥当な高さしか出てない。

 解除できてそうだね。


「じゃあ教えることなくなっちゃったね?」

「えっ、あれ?」


 アリスが首を傾ける。


「ほら、身体強化はできてるじゃん」

「まだミオお姉ちゃんみたいには高く跳べません!」

「ア、アリスさん…… ミ、ミオさんを基準にするのは、少々……」


 目線を逸らしながらマリンが呟く。

 うん、マリンの言う通り。


「ほら、リアを思い出して」

「お姉ちゃんですか?」


 アリスのお姉さんでCランク冒険者のリア。

 リアも強化魔法を使えるから、アリスにとっては馴染み深い強化魔法使いのはず。


「アリスのお姉さんのリアは、私みたいに木の上を跳び回ってた?」

「ううん、してなかったです」

「そう。アリスってリアみたいになりたいんでしょ?」

「はい!お姉ちゃんみたいな立派な冒険者になりたいですっ!」

「それだったら変に遠すぎる私を目標にするよりかは、リアを目標にした方がいいよ」


 目標を遠くに設定しすぎると、それに早く向かおうとして細かい所に目がいかなくなる。

 結果を早く求めたらいけない、大事なのは着々とゴールに進む意思だからね。


 それに、私やレイみたいに長距離ジャンプをしようものなら、筋肉の力だけで成長期の柔らかい骨が簡単に折れちゃう。

 レイも現在進行形で成長期だけど、レイは肉体に損傷のないゲームの世界で繰り返しやってきたからね……


「あー…… 分かりました!ミオお姉ちゃんがそう言うなら!」

「し、信頼が、厚いですね……」

「ね。自分でも不思議なくらい」

「だってミオお姉ちゃんぐらい強い人が言ってるんですよ?マリンお姉ちゃんは信じないんですか?」


 そこまで盲信的だと怖いよね。

 子供って世界が狭いから、目の前の事を真実って捉えちゃうのは仕方ない事なんだけどね。


「え、えっと…… その、信じてないという訳では、ありませんが……」

「いやいや、遠慮しなくていいんだよ。私だって人に魔法を教えるのは初めてで、至らない点も多いし自己流のやり方も多い。魔法の知識が流通してない現状、何が正解かって断定出来ない中で、本当に合ってるかなって気持ちでやってるから」

「あっ、す、すみません……」

「いいのいいの、アリスにこの辺のことも教えていくのが私の役目だから」


 これは冒険者としてじゃなく、保護者として。

 そんな話にアリスはポカンとした表情で応える。

 うーん……


「私って獣人族でしょ?」

「そうですね、かわいいお耳さんが付いてますもん」

「おっ、うん、ありがと」


 急に褒められるから、思わずケモ耳に手が伸びる。

 ちょっと恥ずかしい。


「それで獣人族にとっては当たり前のことであっても、人間族では違うってこと、あるかもしれないでしょ?」

「そうかもです」

「こういう人によって考え方とか物の見方が変わって、正解が変わったりするの。私にとって私のフルパワーの強化魔法は正解だけど、アリスが真似すると不正解になったりね」

「えっ、どうしてですか?」

「強化魔法の力にアリスの骨が耐えられなくて、折れちゃうから」

「折れちゃう?折れちゃうんですか!?」


 アリスのさっきまでの真剣に話を聞く表情から、一気に青ざめる。


「だから、最初のうちは弱い強化魔法から。リアぐらいの強化魔法から使い慣れていって、今度は骨の身体強化を覚えて、より強力な強化魔法に慣れていく、って覚えていく必要があるんだよ」

「ほぁー、そういうことだったんですね」


 これでリアを目標にした方がいい理由を分かってくれたなら、私は嬉しいよ。


「それで話を戻すと、私とアリスは違うから、必ず私が正解じゃないし、真似をした方がいい訳じゃない。目の前の事がどんなに良く見えても、ちゃんと自分に合ってるかを考えてね。これならマリンも文句ないでしょ」

「と、とんでも、ありません…… ア、アリスさんの事を、考えてらっしゃったの、ですね……」

「それは当たり前でしょ?大事なアリスなんだから」

「えへへ」


 あぁ、変に気恥ずかしいって。

 アリスの頭を撫でて誤魔化す。


「じゃっ、一旦身体強化の方はいいかな?マリンは強化魔法使えそう?」

「あっ、そ、そうですね…… えっと、と、飛ばしていただければ……」


 マリンはアリスの事を思ってか、わざわざ譲ってくれる。


「よしっ。次は熱耐性の強化魔法だね。この辺は覚えると本当に便利だから頑張ってね」

「ネツタイセイ?分かりました、頑張ります!」


 アリスはやる気満々に言うけど、これは熱耐性が何かから教えることになるかな?


 ともかく、これで身体強化は終わったからひと段落って感じだね。

 それにしてもレイが全然戻ってこないけど、最速ルート開拓してるのかな?

 まぁ、レイだから大丈夫だよね。

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[一言] 次リアさんが帰ってきたときには越えちゃってる説
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