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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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50話 花畑を観光する


 私とレイはリンゴを食べ終わると冒険者ギルドを出る。


 向かう場所はレスター達を見送った東門。

 そこから北東に向かうと多くの植物が生息している草原があり、そこにビーが生息しているみたい。


 ビーの特徴は大きい蜜蜂ってだけで、どうやら毒もないらしく、攻撃しない限り普段は温厚で蜂蜜を作ってくれるだけの魔物。

 ただ数が増えると生息域を広げようとしたり、レッドビーやキラービーといった強い魔物が現れるようになるから、適度に数を減らす必要がある。


 だとしても、この街にも冒険者ってたくさんいるよね?

 適度に数を減らすと言っても、やりすぎると他の冒険者もいるし絶滅したりするのかな。

 ひとまず私達はビーを30体倒したらそこで止め、帰ることに決めた。


 私達は東門に着くと個人カードを見せて外に出る。


「個人カードって便利だね〜」


 レイが個人カードを見ながら言う。

 確かにこのカード、よく考えると便利すぎる。

 これ1枚にその人の情報が入ってて、魔力も入ってるから完全にこれを軸に社会を回ってるよね。

 何より、記録台に置けば他の記録台にも情報が共有されてるみたいで、この世界の魔導具は現実世界の機械と対して変わらない。


 目的の草原に向かうと少しずつ全貌が見えてくる。

 そこにはまばらに木が生えており、地面には様々な色の花が一面に生えている。

 草木の生存競争が激しそうな草原だ。

 蝶々が飛んでおり、少し先に大きな蜂がいるのも見える。


 草原にはいくつかの冒険者パーティの姿が多くある。

 やっぱりここで狩る人多いよね。

 私達も草原に足を踏み入れようとすると冒険者パーティに声をかけられる。


「獣人族のお嬢ちゃん達、今は危険だから行かない方がいいよ」


 話しかけてきたのは若い男の剣士。

 周りには彼のパーティであろう3人もいる。


「どうして?」

「レッドビーとキラービーが多く発見されてるんだ。今、Eランクのパーティがそいつらと戦ってるから、Eランクが帰ってくるまでは待っていた方がいい」


 レッドビーとキラービーが多くいるのか。

 というかユスティアの冒険者は何をやってるの?

 ちゃんとビーの数を減らさなきゃいけないんじゃないの?

 私もユスティアの冒険者だけど。

 というかキラービーってボスだよね?


「キラービーも多くいるの?」

「いる。4、5体はいるって話だ」


 何でボスがそんなにいるの?


「レイ、どうする?」

「う〜ん、私は戦ってもいいよ」

「止めといた方がいいですよ、獣人族のお姫様。レッドビーやキラービーはビーよりもずっと強いんです」

「もしかして、私のこと甘く見てる?」


 レイ、噛み付かなくていいよ。

 そしてお姫様を否定して。


「あなたのように小さく可憐なお姫様が危険な場所に行く理由はありません。ひとまず待っていた方が身のためですよ」

「ミオちゃ〜ん、やっぱり甘く見られてるよぉ」

「そうだね」


 その見た目だからね。

 鎧は着てると言っても小さなお姫様だからね。

 お姫様がちょっと趣味で弱い魔物を倒してるくらいと思われても不思議ではない。

 私はレイの頭を撫でる。


「私は自分とレイを守れる自信はあるから、あとはレイ次第かな」


 今の私には回復魔法と障壁魔法がある。

 サポート役としては十分だ。


「行こうよ!戦いたいし」


 レイは乗り気だね。


「忠告はしたぞ」

「忠告ありがとう。大丈夫、死にはしないから」


 私は男に礼を言うと、私達は歩き出した。

 この草原は足の踏み場がないね。

 獣道のような物は沢山あるけど、所々に木が生え、それ以外は一面花だ。

 今度、アリスと一緒に来ようかな。


「綺麗だね〜」

「そうだね」


 ビーを倒してる冒険者を気にせず花を眺める。

 観光しに来てるみたいだ。

 花は見たことある物もあれば、全く見たことない花もある。

 ファンタジーの世界だし、現実世界にはない花とかもあるよね。

 少し歩くとビーがすぐ近くにくる。

 本当に大きく、だいたい30cmぐらいある。

 襲ってくる様子はなく、1つの花の近くに降りたかと思えば、また別の花に移動を始める。


「ちょっと怖いね〜」

「大きいからね、倒す?」

「かわいそうじゃない?敵対してないし」


 レイは優しいね。

 冒険者やっていけるか心配だよ。


「倒さなくてもいいけど、ランク上がらないよ?」

「すぐにランク上がる必要ってあるのかな?」

「分からない。そういう話は聞いてないね」

「なら別に、倒さなくてもいいよ〜」

「レイが言うならそれでいいよ」


 それじゃあ私達はここに観光をしに来たことになるね。

 レイは時々、屈んだかと思えば花を見て楽しんでいる。


「このお花綺麗だね〜」

「そうだね」


 レイが屈んだので、私も横に屈む。

 その花は透明な花弁を持ち、光の当たり方によって虹色に輝く。


「私達の世界にもこんなお花あるのかな〜?」

「半透明の花なら本で見たことあるけど、光るのは知らないね」

「取ってもいい?」

「どうだろう。もしかしたらここを管理してる人が居るかもしれないし、珍しい花で取るのを禁止されてるかもしれないよ」

「あ〜、そうだね。じゃあ止めとこ〜」


 そう言うとレイが立ち上がる。

 物分かりがいい子だ。


 花畑を観光しながらかなり歩くと、遠くの方から声が聞こえてくる。

 そっちを見ると冒険者がいて、大きな赤い蜂や黒い蜂と戦っている。

 あれがレッドビーとキラービーかな?

 冒険者は健闘してるけど数が多い。

 手伝った方がいいかな?


「レイ、どうする?」

「あれは危険そうだし、戦ってもいいかな〜」

「じゃあ戦おっか」

「そうしよ〜」


 私達は声の方向へ歩き出すと、木の死角から黒い蜂が飛び出してきた。



 獣人族のお姫様とそのお付きの冒険者がビーを横目に花を見始めたから剣士の男は思った。

 今からでも止めに行ったほうがいいのか…

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