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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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49話 紛らわしいケモ耳冒険者


 サンドイッチを食べている間、レイが調子に乗っていろんな人に微笑みながら手を振っていた。

 別に悪いことではないし、私は見て見ぬ振りをした。


 私達はサンドイッチを食べ終わるとベンチを立ち、冒険者ギルドに向かう。


「そういえば依頼を受ける前に個人カードの発行をしないといけないから、ちょっと時間かかるよ」

「そうなの?面倒だね〜」

「そう言わないで」

「う〜ん…」


 レイのテンションが下がる。

 色々いい事あるよ?

 多分…


 冒険者ギルドに行く間もレイはサービス精神を振る舞っていた。

 注目とかそういう次元ではなくなった。

 まぁ私達が見られてると言うより、レイが見られてるからいいや。

 私は諦めた。


 冒険者ギルドに到着すると、レイが先に入っていき、私も続く。

 ギルドの中には昼前もあってあまり人はいない。


「あんまり人いないね〜」

「みんな依頼に行ってる頃だからね」

「ミオちゃんってこの世界に来てどのくらいなの?」

「5日目だね」

「私がこの世界にくるまでそんなに長い間いたの?いいな〜」


 レイはいい装備持ってるからいいじゃん。

 私は正面受付に行ってアンネを見つける。


「アンネ、今いい?」

「いいですけど、私ですか?」


 アンネだよ、仕事して。


「ここでも噂になってましたよ、獣人族が住む大陸のお姫様が来たって。あの方ですよね」


 依頼が貼り付けてある依頼板を見ているレイを見ながらアンネが言う。


「そうだけど、お姫様ではないよ。ただの冒険者」

「お姫様ではないんですか?冒険者をやってる貴族の方とかですか?」

「いや、貴族でもないよ。本当にただの冒険者。あの見た目だけどただの冒険者」


 大事な事なので何度も言う。


「そうなんですか?お姫様らしく手をお振りになってたと聞きましたけど」


 それは間違ってないけど。


「それはレイがふざけてやってただけだよ」

「鎧は着ているみたいですけど、騎士団の偉い人とかでも?」

「ないね」

「本当に冒険者なんですね?」

「そうだね」

「本当ですか…?」


 アンネはまだ私を勘ぐっている。


「ひとまずアンネに仕事をお願いしたいんだけど、レイの個人カードを発行してくれる」

「わ、私がですか?」


 アンネは厄介事を押し付けられたような顔をする。


「大丈夫、偉い人じゃない。ただの冒険者だから。レイ!ちょっとこっち来て」

「は〜い!」

「ちょ、ちょっと!ミオさん!」


 アンネが小声で叫んでくるけど無視して、レイも特に気にせずはやってくる。


「この人の名前はアンネリーゼ。アンネって呼んであげて」

「アンネちゃん、よろしくね〜」

「よ、よろしくお願いします」


 アンネが緊張してる。


「アンネ、大丈夫だから」

「は、はい。あのレイさんですよね?」

「そうだよ〜」

「王族や貴族の方ではないんですよね?」

「違うよ〜」

「身分を偽っていたりは…?」


 何で下の身分を偽るの。


「そんなことしないよ〜。どうしたのアンネちゃん?」

「い、いえ。何でもないんです。個人カードの発行でよろしいですか?」

「うん、レイをお願いね」

「よろしく〜」

「そ、それでは案内しますので奥の部屋にお願いします」

「は〜い」


 レイはリラックスして喋ってるけど、未だにアンネは緊張してるみたい。

 私は2人を見送ると依頼板を見る。


 ひとまず常設依頼からかな。

 1番最初に目に入るのはユスティアから西南にある森、つまりは私とレイがさっきまでいた森にはウルフがいないと注意紙が貼ってあった。

 フェンリルが出るとウルフがいなくなるって聞いたし、それが続いてる感じなのかな?

 Gランクの常設依頼があるのは…


・ビー1体の討伐

・スパイダー1体の討伐

・マウス1体の討伐

・バット1体の討伐

・スケルトン1体の討伐


 この5つだね。

 いつもならここにウルフもあるんだろうね。

 情報を見るに上から蜂、蜘蛛、鼠、蝙蝠、ガイコツの魔物だね。

 全部、英語で分かりやすい。

 レイのランクを上げるなら量を倒せる魔物がいいな。

 それだと群れを成すって情報があるビーがいいけど、レッドビーという上位種やキラービーというボスがいるみたい。

 マウスも多いみたいだけど、逃げ足が早いらしいし剣を使うレイには効率悪いかな?

 スパイダーは元々数が少なくて、バットやスケルトンは夜に出る魔物みたいだから、やるならビーとマウスなんだけど…

後でレイと相談だね。


 Gランクの通常依頼は…


 …ないね。


 うん、ない。

 通常依頼って一般の人が出す依頼みたいで、Gランクに頼む人はいないよね。


 同じく緊急依頼もない。

 Gランクの冒険者がこなせる依頼に緊急性はないよね。


 とりあえず食事スペースで待とうかな。

 そろそろお昼だけどさっき食べたし、軽く果物食べておきたいな。

 私はメニューをお願いする。

 葡萄とオレンジは食べたし、残りはリンゴと梨かな。

 レパートリーが少ないね。

 よく食べる果物だとなんだろう、バナナとか?

 暑い地域に行けばあるのかな?

 私はリンゴ1個を注文して待つ。

 しばらくして切られたリンゴが出される。

 リンゴを食べていると、レイが私の元へやってくる。


「ねぇ〜、勝手にどっか行かないでよ」

「ごめんごめん、これあげるから。ほら、あーん」


 私がリンゴを1つ、レイの口元まで持ってくるとレイはそれをひと口食べる。

 かわいい。


「ん〜…」


 レイは文句ありげに口をもぐもぐ動かす。

 レイが私の前に座ると口を開く。


「依頼をしたいんだけど、ミオちゃんどうする?」

「私も何か倒しに行ってもいいけど、依頼見てたよね?個人的にはビーとマウスがいいと思うんだけど、レイはどう?」

「私もその2体のどっちかがいいと思うんだけど、マウスって森の中にいて、さらに足が早いみたいだから、それよりかは草原にいるビーがいいかなぁ」

「うん、それでいいと思う。今から行く?」

「戦いたいし、すぐ行こ〜。リンゴ食べ終わったら」


 そう言うとレイが口をつけたリンゴを食べ始めて、それを食べ終わると他のリンゴも食べる始める。

 勝手に食べるじゃん…

 まあ、おいしそうに食べてる様子がかわいいから今回は許そう。



 ミオちゃんは甘やかすのも甘やかさせるのも好きなので、あーんしたりするのは好きだし、あーんされるのも好きです。

 欲張りな女の子です。

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