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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第5章 アンクイン
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511話 赤き未来視


 6/26(土)はお休みです!

 よい週末を!


「ふーむ、ふむふむ」

「あ、あの……」


 かなり近い距離で、ルシフェルがマリンの顔を覗く。

 マリンはすぐに目を逸らそうとするが、ルシフェルはそれを逃さないように覗き込む。


 マリンの目からは燃えるような赤は消え、いつもの青色になってるから、そんなに目を見ても変わんないと思うけど……


「目を見ればわかるの〜?」

「分かるとも。目は口ほどに物を言う、と言うだろう?」

「えっと〜?いぅ、言うよね〜」


 絶対分かってない。

 レイの口調からいつもの自信がなくなってる、ここまで分かりやすいのもないよ。


 そして異世界でも日本の慣用句があるんだね。

 まぁ、この世界の人達と顔の構造は全く同じだからね。


「そ、そのように、み、見なくても……」

「いーや、この方がやりやすいんだ。むしろマリン君はこっちを見て欲しいよ」

「は、恥ずか、しいので、無理、です……」


 それはそう。

 その顔の距離はね、私でも怖いからそうなるよ、マリンは間違っていない。

 それでも2人の攻防は続いている。


「ふーん、いつでも見れる?」

「え、えぇ、まぁ……」


 マリンの目が燃える赤が一瞬だけ灯る。


「そういえばマリンお姉ちゃん、どうして急に未来が見えるようになったんですかね?」

「さぁな、概ねブラックビーストの影響であろう」


 ブラックビーストもマリンに何かしたって言ってたけど、やっぱりそれだよね。

 限定的な場所の未来視、ただそれが人の未来が見えるまで発展してるのは不思議だよね。


「それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃない?懐中時計はずっと持ってるから、あっちは私達を攻撃出来ないし」


 そのはず、明確な危害を加えようとしたら、星の力で妨害が入るはず。

 あれ、ということは、ベヒーモスは私達を爆発で攻撃出来てたから、懐中時計が働かない?

 ブラックビーストの信者でも、ベヒーモスがこの星の外の存在じゃないから、ってことかな?


 あれあれ、超危なくない?

 ブラックビーストが私達への攻撃手段を持ってるってことじゃない?

 でも寝てる時に襲撃に来ないし、分からないね。


「ミオしゃ、ミオさん達はブラックビーストと戦っているのですよね?」

「そう、それがサブ目的」

「幾ばくか離れるがな」

「お休みですもんね」


 アリスがわざわざ私の膝の上に座ってくる。

 よしよし、甘えん坊だねぇ。


「メインは何をしているのですか?」

「メインは冒険です!」

「冒険者だからね」

「いみゃ、言われてみれば、そうですよね……!」


 セリアは1番納得した様子。

 ただあんまり冒険出来てないからね、そろそろしたいね。


「よーし、大体は掴めたぞー!」


 ルシフェルが大きい声を上げるものだから、また視線がこっちに向く。

 ほらほら、大人の方々はブラックビーストについて話しててって。

 ルシフェルも大人の方だけどね。


 ただ興味を惹かれたみたい、黄衣のハイータがやってくる。


「何用だお主」

「魔法関連の話は気になる(さが)で」


 流石というか何というか、好きこそ物の上手なれ、不死魔法が使えたり魔法式で強かったりする人は元から魔法が好きなんだろうね。

 ブラックビーストの魔法、未来視の魔法っていうのも相まって。


「現状、僕から言えることはマリン君が成長しているということ、だねっ!」

「せ、成長、とは……?」


 マリンが胸に手を寄せ、心配そうに聞き返す。


「未来視、だっけ?その辺りの理屈はイクス君に聞くとしてだねー、ブラックビーストの影響でこの魔法に習得したのは間違いなし!」

「おぉ〜、マリンちゃんすご〜い」


 レイが呑気に手を叩いてる。


「え、え?い、いえ、わ、私は何も……」

「割り込むようでごめんね?ブラックビーストに何かしらをされて、未来視の魔法が使えるようになったんだよね?」

「そうだが間違っているよミオ君、僕がいいたいのはそうじゃあないんだなぁ」


 間違ってる?


「ブラックビーストの影響があったのは、紛れもない。ただね、マリン君は自分の意思で未来を観れるよう、技を取り込んでいるのさ」

「え、え……?」


 本人が置いてけぼりって反応。

 でも確かに、受動的な能力がいつの間にか能動的になってる。

 場所に左右されず、人も指定できて、見ようとすれば見れてる。


 確かに技を取り込んでるし、むしろ強化まで至ってる。


「マリン君の防衛本能か適応能力か、無意識の内に魔法を習得しているっていうのはそこまでレアではないものの……

 未来視なのが面白い!才能あるね?」

「えっ、あっ、ありがとう、ございます…?」


 マリンはさっきっから困惑しっぱなし。

 何かかわいそうだからアリスがさっきまで座ってた席の上を軽く叩けば、マリンが身を丸めながらそそくさとその席に移動する。

 ルシフェルがグレートセブンという尊敬すべき魔導士とはいえ、テンションが苦手そうだもんね。


「す、すみません……」

「いやいや」

「お目々見てもいいですか?」

「あっ、は、はい」


 さっきのルシフェルの時とは対照的に、アリスにはすんなりと自分の目を見せている。

 深海の青、長い前髪から覗かせる吸い込まれるような目、赤の要素なんて1つもない。

 私とアリスにジッと見られて、流石に恥ずかしいのかちょっと顔を赤らめて目を逸らす。


 かわいい、覗き込みたくなっちゃう。


「結論っ、そこまで心配する意味なし!既にブラックビーストの残り香もない、さらに新たな魔法も覚えれて、マリン君に後遺症なし!素晴らしいよ!!!」


 ルシフェルの行動は大袈裟過ぎる。


「かけられた魔法の習得、と」


 黄衣のハイータが新しい知見を得たみたいな、そんな反応を見せる。

 敵に塩を送っちゃってるじゃん。


「あとマリン君?」

「え、あ、なにでしょうか……」

「便利な魔法だけど、乱用厳禁だぞ?魔力の消費はバカに出来ないからねぇ」

「あっ、はっ、はい」


 ちゃんと有用なこと教えてくれるのは何?

 嬉しいけどね?


 マリンの未来視、まだまだ謎が残る中、ルシフェルとハイータは満足そうに大人のグループの方に戻っていく。

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[一言] 自分の魔法として昇華できて取りあえず……良かった?
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