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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第5章 アンクイン
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509話 人狼の患者


 6月22(火)の投稿をお休みします。

 申し訳ございません!


 6月23日(水)もお休みします!

 作者は中間課題という地獄を見ています!


「竜人スタラは20年前か?此度の状況を垣間見て、其奴の痕跡を探すのは幾ばくか骨が折れると妾は思うのだが」

「あぁー。なら良い知らせを。この街のとある診療所にお邪魔させてもらってね、竜人の魔力がないかと探ってみた所だねー。えーっと、どれどれー」


 ルシフェルが懐から1枚の折り畳んだ紙を出し、それを開くと共に中から一冊の本が出てくる。

 A4サイズよりもちょっと大きいぐらい、分厚さはかなり。


「見ても良いか?」

「もちろん、見てくれた方が話は早い」

「うむ」


 カミラが本を手に取り、パラパラとめくっていく。

 横からそれを覗く。


 内容は名前、日時、病名、症状、検査結果、処方箋や魔法で行った治療法について1ページに書かれていて、それが全ページに渡ってる。


「カルテ?」

「おやっ、その通りだよミオ君。もしかして医師志望なのかな?」

「いやいや、冒険者だよ」

「竜人スタラが担当した患者の名簿という訳か。しかしそれが何だと言う?」

「それの257ページ目、破られているのは分かるかな?」


 カミラが見てるページを戻していく。

 下の端を見ればページ数が書かれていて、すぐに257ページを開くことが出来る。

 いや、実際は開けてない。


 257と番号の振られたページはなくなっている。

 とても綺麗に破られていて、ミスで破られた訳じゃないっていうのは分かるね。


「さぁて、君達はこの破られたページは重要かと思う?」

「どうだかな、これで外れだったら大間抜けだぞ?」

「いやねー、むしろこれを見つけるのが限界といった所でね……」

「つまり、この消えた257ページに書かれていた患者の人に話を聞いてみれば、何かしら分かるかもって?」

「そう!1度、邪神的事象から離れて生活をするのであれば、この患者を探すっというのは僕は悪くないと思うなー」


 でも、1番大事な問題が残ってない?


「そのページはどこにあるの?」

「加えてだ、裏の258頁が当たりという可能性もある。何の確信があって257頁と言っている?」

「そこは北極の大図書館の館長だから分かること。あらゆる本を魔法で写して蔵書しているからー、日付も丁度その辺りだろう!って時に記録されたコピーを持ってきたんだなー、これがねっ!」


 ルシフェルがドヤ顔で見てくる。

 うっとい。


 その手にはカミラが持ってる本と全く同じ、強いて言えば若干汚れの薄いぐらいの本があった。


「見てもいい?」

「あぁあぁ、もちろんだとも!」


 ルシフェルに渡されて、257ページ目を探す。

 少し行きすぎて270ページ目辺り、そこまで記録が残っている。

 ページを戻していると、まず258ページが目に入る。


 そのページだけは白紙だった。

 どういう意図があったのかは分からない。

 見開き1ページ目だから忘れてたとかはあり得ない。


 そして戻って257ページ目、カミラが持ってる方にはない257ページ目が存在している。


「お主の図書館、何が目的なのだ?」

「何って、何だろうねぇ。思いついたのはずっと前で、あの時のことはあんまり覚えてないけれど…… 人類史の知識の集約と言った方がいいかな?」


 難しい話をしてらっしゃる。


「もしまた同じように大災害のようなことが起きて、文明が滅んだ時、地上に技術や記録の書物が消えていたら、残された人類は困るよね?だから僕の所でコピーを残してるんだ」

「……そうか」


 ほぇー、案外考えてらっしゃる。

 ただ北極に行かないとその本が読めないっていうのは玉に瑕かもね。

 それに雪像とかで普通には入らなくなってるし。


「そんなことはさておきっ、どうだいミオ君?そこには何が書かれているかな?」

「名前がカサンドール、人間族人狼種で、え?人狼種?」

「へぇー、獣人族のミオ君が引っかかるのか、面白いね」

「人狼って獣人とは別なの?」

「もしかしたら一緒かもしれないが、カミラ君の吸血鬼と同じように、狼男の伝承から人狼になる人間がいるのさ。そういった人間は、人狼種に分類されるんだよ」


 へぇー、伝承の影響を受けて、それで種が変わってくると。


「それじゃあカミラは吸血種?吸血鬼種?」

「さぁな」

「どっちでもいいんじゃないかな?呼び方は地域差あるからね。そんなことよりもさっ、本題に戻そう」


 ルシフェルが仕切り直す。


「この人狼の少女、ただ20年前だから今は27歳だね?カサンドールという人狼の女性は、スタラにとって重要な意味を持っていたと思うんだけれど、どうかな?」

「妾はバカバカしいと思うが、パーティリーダーはお主だミオ。お主が決めろ」

「そもそもミオ君は耳を治す為にスタラ君に会う必要があるのは間違いない、それは違わないでしょ?」

「そっか、そうだよね」


 自分の耳が使えてないって魔法のおかげで忘れがちだけど、治さないといけないんだった。


「これ場所は?」

「ウェーブルはユスティアから東の街だ。ドロンドイ鉱脈を越えた向こう側と言えば分かるな?」

「へぇ」


 それじゃああれかな、もしかしたらCランクパーティと会える説あるね。

 アリスもリアと会いたいだろうし、ウェーブルの方に行くのはいいかもね。


「分かった、引き受けるよ」

「よし来た!本当に助かるよー!」


 ルシフェルが頭に触れようとしてくる。

 だから席を引いて立ち上がる。


「それじゃあ、話は終わり?」

「うむ、そうだな」

「厳しいなぁー」


 ルシフェルは残念そうに言う。

 いやいや、これが普通だから。


 話が終わり、私達はこの準備室から出て他の皆の元へ向かう。

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