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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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47話 ケモ耳のお姫様


 私達は森の中を歩いている。


「ミオちゃんって、メールの内容全然読まずに行ったよね〜」

「レイは読んだの?何て書いてあった?」

「報酬を受け取ったら異世界に来るとか、異世界のこととか、異世界ではスキルを使えるとか、1回夢の中で偽神さんと会って、記念武器をどういうのにするかとか、レア素材をどう加工するとかかな?」


 私も読んでおけばよかった。


「武器とかはどういうのにしたの?」

「私はね、ピンク色のアロンダイトを作ってもらったよ〜。スキル アイテムボックス」


 レイがそう言うと空中から剣が現れる。

 その剣はレイがメイン武器として使っていた青色を基調にした魔法剣と似ていた。

 しかし、それは確かにピンク色だった。


「ピンク好きだね」

「かわいいでしょ〜」

「うん、かわいいね」


 レイは剣を構えてみせる。


「それって本当にアロンダイトなの?」

「そうだよ〜」


 そう言うと剣が光出す。

 やがて剣は形を変え、ゲーム内の武器の1つである「騎士王の聖剣 エクスカリバー」に変質した。

 ただ、元は金の柄だったはずなのに、レイが握っている柄はピンク色だ。


「ちゃんとアロンダイトの『コピースキル』はあるよ」

「そうみたいだね」


 私とレイは同じ魔法剣士だけど戦い方が違う。


 私は魔法を軸に戦うのに対して、レイは剣を軸に戦う。

 彼女が使う武器は魔法剣。

 魔法剣は魔力を流すと威力が上がる剣だ。

 そして、彼女が使う魔法剣は「湖の聖剣 アロンダイト」。

 この武器はあらゆる武器をコピーして戦う事が出来る魔法剣だ。

 あくまでコピーで本物には劣るが、彼女は剣でも槍でも弓でもあらゆる武器を使うことが出来るため戦術の幅が広く、PvPでは驚異の勝率を叩き出していた。


 それはそうと、武器にスキルが付いてるの羨ましい。

 私のナイフにもスキルをつけて欲しい。


「素材の加工はどうしたの?」

「素材はね、このイヤリングと〜」


 レイが髪をかき上げて耳を見せてくれる。

 ピンク色の宝石で花を象ったイヤリングだ。

 見た目はピアスみたいだけど、イヤリングなんだよね?


「穴は空いてるの?」

「空いてないよ〜。痛いのは嫌だから」


 私も穴は開けたくない。


「あと、この指輪だよ」


 そういうとレイが右手を差し出す。

 右手の小指に指輪があり、ピンク色の宝石で花を象っている。


「似合ってるよ」

「ありがとうミオちゃん。スキル アイテムボックス」


 そう言うとレイは剣をしまった。


「そうだ、スキルを使う時に一々言わなくても発動するんだよ」

「そうなの?」


 しばらくしてレイの剣が現れる。


「本当だ。これは便利だね〜」

「分かる」


 またすぐにレイの剣が消える。


「ミオちゃんって今何してるの?」

「今はね、家を買って、女の子に魔法を教えてるだけかな」

「魔法教えてるんだ。どんな女の子?」

「金髪で碧眼の美少女で、アリスって名前だよ」

「アリスちゃんってかわいい?」

「すごくかわいいよ」


 レイの目の色が変わる。

 彼女もまた、面食い(かわいいもの好き)なのだ。


「私も仲良くなりたいな」

「すぐになれるよ。アリスはいい子だから」

「そうなんだ。えへへ、楽しみだなぁ〜」


 レイの口元が緩んでる。

 かわいい。


「あ、そうだ。冒険はしないの?」

「もちろんするよ。けど、家もないからね。ある程度準備が出来てからだね」

「私も一緒に行ってもいい?」

「いいよ。元々、そのつもりだからね」

「やった〜!ミオちゃんと冒険するの楽しみだなぁ」


 レイは嬉しそうな足取りで、これからの空想をしてるみたい。

 お姫様のような女の子と静かな森の中を歩くのはファンタジーの風情があるね。


「私、ミオちゃんと試合したいな」


 レイが物騒なことを言い出した。

 いや、ゲーム内では当たり前の会話だけど、生き返るか分からない状態で試合は出来ない。


「ダメだよ」

「えぇ〜、なんで?」

「死ぬから」

「死ぬの?」

「多分死ぬ」

「…死んだらどうなるの?」


 哲学かな?


「分からない」

「う〜ん、そっか。残念だなぁ」


 レイはガッカリしているみたいだけど、そんな戦闘狂だったっけ?


「何でそんなに戦いたいの?」

「この森、全然魔物がいなくて。1回ぐらいは戦いたいな〜って」


 私も戦闘狂だった。

 いやそうじゃなくて、こう考えるのが普通なんだよね。


「それじゃあ街に冒険者ギルドがあるから、そこの依頼見てみようよ」

「いいね〜。じゃあ早く行こうよ」


 そう言ってレイが向かってる方向へ走り出す。


「ま、待って」


 私はレイの後を追いかける。

 御転婆なお姫様に振り回されてる気分になってくる。




 しばらくして森を出ると、レイが道の前で立ち止まっている。


「どっちの方に行くの〜?」

「左側に壁が見えるでしょ?あれが私が住んでる街だよ」

「街を壁で囲ってるの?」

「そうだね。多分、魔物が街に入り込まないようにだよ」

「そうなんだ〜」


 レイが街の方に向かって行くのでその横を歩く。


「なんて言う街だっけ?」

「ユスティアだよ」

「いいところ?」

「ケモ耳を見られる以外はいいところだよ」


 私はレイのケモ耳を触りながら言う。


「そう言えばこのケモ耳すごいよね〜。まだ鏡を見れてないから分からないけど、絶対かわいいよね」


 レイも自身のケモ耳を触る。


「うん、かわいいよ」

「えへへ、ありがと〜」


 レイが嬉しそうに笑う。


「ミオちゃんもかわいいよ」

「ありがとう」


 私も微笑み返す。



 レイも始まりの街、ユスティアに足を踏み入れます。

 ケモ耳冒険者とケモ耳お姫様が街を歩くけど、どうなることやら。

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