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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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44話 アリスのベッドはいい匂い


 私は今、アリスのベッドで横になってる。

 人のベッドで寝るの好きなんだけど、私だけかな?

 私がベッドを使いたいと言ったらアリスがどうせ匂いを嗅ぐためって決めつけてきたけど、ちょっと眠たいだけだからって言ったらベッドの使用許可が降りた。

 もちろん匂いは嗅ぐけど。


 アリスの匂い落ち着く。


 どうしよう、本当に寝ようかな。

 アリスも本を机の棚から取り出して読み始めたし、別に寝ちゃってもいいよね。


 私はアリスの匂いに包まれ落ち着いた気持ちで眠りについた。





 気づくとそこは廃棄場。

 そっか、寝るとここに来るんだった。

 こっちは気持ちよく寝てるだけなのにこの仕打ち、何でこんな場所に来なきゃ行けないの。

 ただちょうどいいや、聞きたいこともあるし。

 私は偽神の元へ向かう。


「今回は昼寝で来たのか」

「これって毎回寝たらここに来るの?」

「そうだ」


 そうなのか、何か嫌だな。


「ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?」

「いいぞ」

「レイってこっちの世界に来てるの?」

「来ていない」


 来ていないんだ。


「これから来る可能性は?」

「可能性はあるが、来るとは限らない」

「どうして?」

「よし、それでは最後の謎解きのパーツを渡そう」


 何か始まった。


「この世界の時間軸を所有しているものが現実世界で活動していても、この世界の時間軸は動き続ける。その理由は現実世界の時間軸と並走してこの世界の時間軸も動いてしまうから。そして私が送った報酬を受け取った際にこの世界の時間軸を所有し、アカウントにログインしているのを引き金に現実世界の時間軸を抜き取った状態でこの世界に来ることになる」


 なるほど、分からない。


「これが最後のパーツだ。それではレイがどうしてこの世界に来る可能性があるのか考えてくれ」


 嘘でしょ、そこで投げてくるの?

 どういうこと?


「パーツは揃っている。お前が気付いて行動すればレイはこちらに来るだろう」


 だからどういうこと?


「このままだとレイは絶対にこっちに来ないの?」

「そうだ」


 全く意味が分からない。

 冒険するならレイとアリスと一緒に冒険したいんだけどな。


「どうやって君がこの世界に来たか考えてみろ」

「それは偽神が飛ばしたからでしょ?」

「もちろんそれはそうだ。ただ私が飛ばす前を考えろ」


 私は報酬を貰おうとしてこっちに来た。

 レイも貰おうとしてたからこっちに来てるはず。

 それなのにレイはこっちに来ていないと偽神は言い張る。


「偽神がレイが来てることに気付いてない可能性は?」

「ない」


 どういうことなんだろう。

 分からない。


「レイがこっちに来れるようにどうにか出来ない?」

「今のままでは出来ない」


 今のままでは出来ない?


「さらに言えばレイがこっちに来ようするかの問題もある」


 それは…

 …確かにそうだね。


「考えれば分かるはずだ。必要なパーツはとっくに揃っているぞ」


 さっき聞いた。


「落ち着いて状況を整理することだな。今回はこのあたりだ」


 偽神がそう言うと視界が暗転する。

 全く分からなかった…




 気づくと私はベッドの上。

 いつものふかふかなベッドではないけど、優しい香りに包まれたベッドだ。


「ミオお姉ちゃん、起きましたか?」

「うん、おはよう」

「おはようございます。もう夕方ですよ」


 私が外を見ると空は夕焼けで、ひつじ雲が赤くなっている。

 ちょっと幻想的。


「お母さんが夕食は食べるかと言ってました。どうしますか?」

「夕食は宿のご飯があるから今回は遠慮するね」

「分かりました。お母さんに伝えてきますね」


 アリスはそう言って本を机に置くと部屋を出て行く。

 私はベッドから起き上がり、本の表紙を見てみる。

 タイトルは魔法指南書だ。

 アリスは勉強熱心だね。

 暫くしてアリスが戻ってくる。


「お母さんに伝えてきました。それで、まだ時間はありますか?聞きたいことがあって」

「時間は大丈夫だよ。それでどうしたの?」

「この本には魔力量が魔法の強さになるって書いてあるんですけど、しっかり光らせることが出来ないから、私って魔力量が少ないんですかね?」


 いやそんなことはないはず。

 私がゲーム内で初めて火魔法を使った時はライターの火ぐらいしかなかった。

 それでも最終的には20mもある火炎の大蛇を操る事が出来た。


「いや、アリスがまだ出来ないのは素直にイメージが弱いからだよ。魔法は使えば使うほどイメージが強固になって行くから、とりあえず回数をこなすのがいいよ」


 私も火魔法を使い続けるうちに火が大きくなっていた。


「分かりました、頑張ります!」

「うん、頑張ってね」


 私がアリスの頭を撫でるとアリスが「はい」と返事する。


「それじゃあ私はもう帰ろうかな」

「分かりました。それではお見送りしますね」


 そう言うとアリスが付いてくる。

 ひよこじゃん。

 かわいい。

 一回に降りるとお母さんが顔を見せる。


「また来てね」

「うん、お邪魔しました」

「ミオお姉ちゃんまたね」

「またね」


 そう言って私はアリスの家を後にする。

 外もすっかり赤く照らされ、陰ってる場所も多い。

 私は宿を目指しながら考えた。


 どうしてレイは今この世界に来れないんだろう。


 まず、この世界に来る方法として最初は報酬を受け取るのとそれ以降はアカウントにログインすることで来れる。

 レイがこちらの世界に来るには報酬を受け取らなければならないけど、受け取っていないから来ていない。

 何で受け取っていないんだろう?

 不審に思ってるとかかな。

 レイに説明するために現実世界に戻った方がいい?

 でもアカウントにログイン出来ないから説明は出来ないのか。


 どうすればいいんだろう。


 レイは報酬を受け取っていない。

 どうして?

 受け取りたくないから?

 それとも受け取れないから?


 レイは報酬を楽しみにしてたから前者はおかしい。

 後者なら、どうして受け取れない?

 私が受け取れてレイが受け取れない理由は?

 私とレイの違いは?

 あの時、私は報酬が来たのを確認してすぐに受け取った。

 レイも報酬が来たのを確認してたはず。

 レイはすぐに受け取らなかった?




 分かった、やっぱりレイは受け取れないんだ。

 だから私が動かなきゃいけないんだ。



 そういえばゴーレムにゃんこはどうしたの?って思ってる方がいると思いますが、あの子はご主人様からの用がないと自由に行動します。

 暇つぶし程度に作られたゴーレムですが、ご主人様から貰う魔力が無尽蔵すぎて永遠に動き続けます。

 もはやただのにゃんこです。

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