43話 新婚さん
アリスとイチャイチャしていたらアリスのお母さんが私達を呼びに来る。
私達が元の部屋に戻るとシチューが出される。
個人的にシチューは夜ご飯に食べる物って感じだけど、家庭によって違うよね。
アリスが美味しそうに食べ始めるので私も食べる。
私も食べてみるが、もちろん美味しい。
「おいしい?」
「おいしい!」
アリスが元気よく答える。
10歳ってこんなに無邪気なんだ。
かわいい。
「ミオちゃんのお口には合ったかしら?」
「おいしいよ」
「それは良かったわ」
アリスのお母さんが笑う。
美人さんだなぁ。
リアとアリスは完全にお母さんの血が強いね。
お父さんは見たことないから、実際分からないけど。
「ミオちゃんがいた大陸と味はやっぱり違うかしら?」
私の家で食べるシチューと大した変わりはない。
私としてはありがたい限りだ。
「いや、そんなことないよ。私が食べてたことあるシチューとそんな変わりないかな」
「それは良かったわ。これでアリスがご飯を作っても舌に合わないってことはなさそうね」
「アリスがご飯を作ってくれるの?」
「よければ作りますよ」
アリスの手料理食べたい!
「じゃあ一緒に暮らし始めたらご飯は交代でもいい?」
「いいですよ」
「あらあら、まるで新婚さんね」
「え!?違いますよ!」
アリスのお母さんがアリスをからかっている。
お母さんもアリスがかわいいんだね。
「ミオちゃん、拙い娘ですがよろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
「お母さん!ミオお姉ちゃん!からかわないでください!」
アリスが赤くなってる。
えぇもうかわいすぎる!
「アリスはかわいいね」
「分かる、本当にうちの子はかわいいわ」
「もぅ…」
お母さんもこっち側の人間だね。
それにしてもアリスが赤い。
何でそんなにアリスはかわいいの?
アリスをからかいながら食べたご飯はすぐに終わり、私達はアリスの部屋に戻る。
「はぁ、いい匂い」
「何で嗅ぐんですか!」
「いい匂いだから」
「だとしても恥ずかしいのでやめてください!」
アリスが顔を抑えようとしてくる。
「そっか。アリス、ごめんね」
急に反省したように謝ってみる。
アリスの顔が申し訳なさそうになる。
「あ、いえ、分かってもらえればいいんですけど、そんな落ち込まないでください」
えへへ、アリスはかわいいな。
別にからかわれるのは嫌じゃなくて、みんなが楽しんでるのが好きなんだもんね。
「アリス、大好きだよ」
私はそう言いながらアリスに抱きつく。
「な、何ですか。私も好きですけど、さっきの感じはどうしたんですか」
「あれ演技」
「…ミオお姉ちゃんなんて嫌いです」
え?
「本当に?」
私はアリスの両肩に手を置いて正面に向き合う。
嘘でしょ?
やめてよそんなこと言うの。
何でそんな顔するの。
私が半分泣きそうになるとアリスが嬉しそうに笑う。
「えへ、冗談ですよ」
アリスにしてやられた。
「良かったぁ… アリスに嫌われたかと思った…」
思わず涙がこぼれる。
「あぁ、泣かないでください。ミオお姉ちゃんを嫌いになったりしないですよ」
アリスが心配して抱きしめてくれる。
本当にアリスは優しいね。
「私にいつもしてくることじゃないですか。そんな泣かないでくださいよ」
「だって、アリスに嫌われたら思ったら辛くて」
「そ、そんなにですか?」
「そんなにだよ。アリスみたいにかわいくて優しくて天使のような美少女に嫌われたら誰でも泣くよ」
「思ったより元気そうで良かったです」
どこでそう判断したの。
「嫌いにならないでね」
「心配しないでください、大丈夫ですよ。ミオお姉ちゃんって寂しがり屋さんですよね」
「寂しがりかな?」
「よく私のことを触ってきますし、そんな感じしますよ」
そうなのかな?
「アリスが好きだからだよ」
「う〜ん、前の大陸に他に好きな人はいなかったんですか?」
「好きな人…」
現実世界ではアリスほど好きって人はいないし、ゲーム内だとかわいい人はたくさんいたけど、好きとはちょっと違う。
レイとは特別、仲が良いかなってぐらい。
「仲がいい人はいたかな」
「そうなんですね。そういえば他にこの大陸に来てたりしないんですか?その仲がいい人だとか」
レイがこの世界にいる。
もしそうなら討伐数とか競争したりするのかな。
「この大陸に来てるのは私だけ…」
待って、本当に私だけ?
この世界に来る1番最初、私はランキング1位になり、その報酬を貰おうとしてこの世界に来た。
あの時、私以外にも報酬を貰おうとしてた人がいる。
レイが来てる可能性がある。
「いや、もしかしたらその仲良い子がいるかもしれない」
「そうなんですか?一緒に来たわけではないんですか?」
「そうだね、一緒には来てない」
「ミオお姉ちゃんの友達、会ってみたいですね」
「私も久しぶりに会いたいな」
レイがいたらもっと楽しいだろうな。
「やっぱり寂しがり屋さんですね」
「私は寂しがりだからぎゅーってして」
私が両手を広げる。
「どうしてそうなるんですか、いいですけど」
アリスが私の胸に飛び込んで来る。
ぎゅー。
アリスはあったかいな。
「いい匂いだね」
「全くこりないですね」
そう言うとアリスが笑う。
久しぶりにレイの名前が挙がりましたね。
はたして、レイはこちらの世界に来てるのでしょうか。
忘れちゃった人のために解説しておくと、ミオと同じVRMMOで遊んでいたケモ耳で背が小さい姫騎士アバターの魔法剣士女の子です。




