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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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35話 家を買いにいく


 アリスはかわいい。

 好き。


 Cランクパーティを見送った私とアリスは、広場に向かって歩いている。


「ミオお姉さんの今日の予定はあるんですか?」

「別に今すぐにって訳ではないけど、家を買わなきゃいけないんだよね」

「お家を買うんですか?」

「うん、この街に住むし」

「お家を買うお金は持ってるんですか?」


 足りるかは分からないけど。


「うん、そこそこお金は持ってきてるから大丈夫だと思う」

「ミオお姉さんってお姉ちゃんと同じぐらいの年齢なのに、お家を買えるくらいお金持ちなんですね」


 確かに言われてみればそうだ。

 16歳の子供に家って売ってくれるのかな?

 賃貸を借りる訳ではないから大丈夫だろうけど。


「アリスってどこで家を買うか知ってる?」

「え?う〜ん、商業者ギルドで買えると思います」


 商業者ギルド?


「商業者ギルドってどこにあるの?」

「冒険者ギルドの向かい側で、広場寄りの場所にありますよ。案内しますか?」

「お願いしてもいい?」

「はい、いいですよ」


 アリスが今日もかわいい。

 なにその笑顔、どれだけ前世で善行を積めばこんな笑顔を手に入れられるの?

 そんな疑問を抱いたところで、アリスの天使の笑顔は不変の物であり、この笑顔は全世界で守らなければならない物だ。


「あの、ミオお姉さん」

「どうしたの?」

「…ダメだったらいいんですけど、ミオお姉ちゃんって呼んでもいいですか」

「え」


 え。

 え?

 え!?


「ダメですか?」


 え?

 何その上目遣い。

 何その上目遣い!

 まずい、心臓が。

 心臓が苦しい。

 心臓がきゅんきゅんしてる。

 まずい倒れる…

 理性が…

 落ち着かなきゃ。

 何だっけ、素数を数えるんだっけ?


「2、3、5、7、11」

「ミ、ミオお姉さんどうしたんですか?」

「13、17、19、23」

「ミオお姉さん!」


 アリスが私の手を掴むと腕をブンブン振る。


「あ、え、ごめんねアリス」

「い、いえ」

「それで何の話だっけ?リアの話だっけ?」

「いえ、お姉ちゃんは合ってるんですけど、リアお姉ちゃんではなくてミオお姉ちゃんの話です」

「ミオお姉ちゃん?私のこと?」

「そうです。ミオお姉ちゃんって呼んだらダメですか?」

「いや、いくらでも呼んで!いっぱいミオお姉ちゃんって呼んで!」

「分かりました、ミオお姉ちゃん」

「アリスー!」

「わっ!?」


 かわいすぎるよアリス!

 罪深いよアリス!

 そうやってリアを虜にしてきたんだね!


「ミオお姉ちゃん、苦しいです」

「あ、あぁ、ごめんアリス」


 私は思わずアリスに抱きついていた。

 私は急いで離れる。

 でもアリスがかわいいのが悪いんだよ。


「アリスはかわいいね」


 いっぱい頭を撫でる。


「ありがとうございます。ミオお姉ちゃんもかわいいですよ」


 このこの〜!

 私は頭をわしゃわしゃする。


「ミオお姉ちゃん、今日は元気ですね」

「アリスがかわいいからだよ」

「関係あるんですか?」

「あるよ」

「もう、早く行きますよ」


 アリスが手を払って歩いていく。

 私はアリスの横をついていく。


「どうしてお姉ちゃんって呼ぼうと思ったの?」

「これからミオお姉ちゃんと一緒にいることが多くなると思うので、今のうちに言いやすい呼び方にしとこうって思ったんです」

「そっか、結婚したもんね」

「からかわないでください」


 アリスがほっぺたを膨らませる。

 ほっぺたを押すとふしゅーと空気が漏れる。


おふのすひですほへ(押すの好きですよね)

「だってかわいいから」

「もう…」


 かわいいと言われて満更でもなさそうなのがまたかわいい。


「ミオお姉さんが助けてくれた時はかっこよかったんですけどね」

「幻滅した?」

「幻滅したかもしれないです」

「そんな」


 私、アリスに幻滅されてた。


「いや、したかもしれないだけですから。これからかっこいい所、いっぱい見せてください」

「…うん。頑張るよアリス」


 私はかっこよくてかわいいお姉ちゃんになる。

 そうなると誓った。




 しばらく話しながら歩くとアリスが立ち止まる。


「ここが商業者ギルドです」


 他よりも大きい建物で、看板には商業者ギルドと書かれており、商人と思わしき人々が出たり入ったりしている。


「ありがとうアリス、これお礼ね」


 私はアイテムボックスから銀貨を取り出してアリスに渡す。


「え、貰えないですよ!」

「助けられたらそれ相応のお礼をするのが冒険者ってリアが言ってたから」

「だとしてもこれは多いです!」

「それじゃあ追加の依頼、これで美味しい物を広場で買ってきて、私の分もね。お金はこの銀貨を使ってね」


 私は銀貨をもう1枚渡す。


「…分かりました。美味しい物買っておきますから、早く済ませてきてくださいね」


 アリスが呆れたように言う。


「うん、それじゃあ後でね」

「はい、また後で」


 そうしてアリスと別れると、私は商業者ギルドの中へ入る。


 商業者ギルドに入ると視線をかなり感じる。

 さっきまではアリスと話すのが楽しくて気にしてなかったけど、急に視線が気になるようになってきた。

 ケモ耳を隠せるフードとか欲しいな。

 ケモ耳パーカーとかありかなって思ったけど、それはそれで目立つ気がする。


 私はひとまず受付の列に並んで、手のひらサイズのゴーレムにゃんこを作って順番が来るまで眺めていた。



 確かにケモ耳もあるけど、尻尾もあるからね?

 後ろからは尻尾も目立ってるよ?

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