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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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21話 思い通りにはいかないね


 そろそろアリスがウルフを解体し終わる頃、他の解体も終わったようでブルーノのが声をかけてくる。


「解体が終わった。これは魔石だ」

「ありがとう」


 私は魔石をアイテムボックスにしまう。


「素材はどうする、ギルドに売るか?」

「ひとまず全部貰っとくよ」

「分かった。それじゃ、全部でウルフが25体、解体費用はこれになる」


 私は紙を1枚渡される。

 請求書だねこれ。


「これを正面受付に渡して、そんでそこで払ってくれ」

「分かった、解体ありがとう」

「いいんだ、仕事だから」


 そういえば。


「アリスにお金って渡してるの?」

「もちろん渡している。ただアリスが解体した分も俺達プロがやった時と同じ値段で請求してるからな」

「いやそれでいいよ。タダ働きじゃなくて良かった」

「そんな人聞きの悪いことを言うな」


 アリスの方を見ると、やり切ったみたいで満足顔だ。

 私はアリスの元へ向かう。


「お疲れ様、アリス」

「はい、ありがとうございます」

「ちゃんと練習出来た?」

「出来ました、ミオお姉さんのおかげです」

「それなら良かった」


 一応ね。


「アリスってお金って貰ってるの?」

「貰ってますよ。ブルーノさんは優しい人です」


 一安心だね。

 私は解体されたウルフを全て回収する。

 いくつかは冷凍室に置かれており、それも回収する。

 解体室に戻ると、いつの間にか他のウルフが置かれており、従業員は解体をし始めている。


「アリスはこの後どうするの?」

「せっかく来たので、他に解体できるものがあったら解体して、なかったら帰ろうと思います。ミオお姉さんはどうするんですか?」

「そっか、私はひとまず受付に行って討伐を記録してもらって、終わったら魔法の研究をするために帰ろうかな」

「何の魔法の研究をするんですか?」

「障壁魔法をね」


 アリスが不思議そうな顔をする。


「障壁魔法ってなんですか?」

「魔力で壁を作る魔法だよ。それで攻撃を防いだり受け流したりするんだ」

「障壁魔法なんて初めて聞きました。そんな魔法があるんですね。それを使えるんですか?」

「まだ使えるか分からないけど、多分出来ると思う」


 ゲームで使えてた魔法なら、おそらく意識を完璧に出来るから使えるはず。


「ミオお姉さんは凄いです。回復魔法や空間魔法の他にも魔法を覚えてるんですよね。どうやって覚えてるんですか?」


 どうやって…


「感覚かなぁ」

「う〜ん、あんまり参考にならないです」

「ごめんね」


 ゲームで使ってたからとか言えないからね、元から参考にならないものだ。

 ごめんねアリス、力になれなくて。


「それじゃあ、私は報告をしてくるから。終わったらまた来るね」

「はい、ミオお姉さん」


 私は受付に行き、受付の中で忙しなく作業をしているアンネに声をかける。


「忙しい?」

「いえ、大丈夫ですよ。解体終わりましたか?」

「終わったよ、これが魔石と解体の請求書だよ。あと配分は魔石でお願い」

「かしこまりました、それでは確認していきますね」


 そうして個人カードに記録する。


「ウルフ25体という事で、常設Fランク依頼『ウルフ3体の討伐』8回分と常設Gランク依頼『ウルフ1体の討伐』1回分ですね。Fランクの依頼はGランクの依頼3回分として処理されます」


 つまりは…


「あと3回Gランクの依頼をこなせばFランクになります」


 Fランクになれないか。


「親個体とか群れとか倒したけど、それって依頼のランクは変わらないの?」

「変わらないですね。親個体や群れの討伐は追加報酬という形になります。それではこちらが解体費用を抜いた分の報酬です」


 机の上に報酬が置かれたので、私はそれをアイテムボックスにしまう。


「アンネ、今疲れてる?」

「そうですね、そこそこ疲れてますね。風の大狼が現れる可能性があるとなると、色々と事務の仕事が増えるので」

「そっか」


 私のせいでもあるのか…

 いや、私のせいではないでしょ。

 私は元々知らなかった。

 2人で80体も倒してるレイナさんとカインが悪い。

 ただ、人を労って悪いことはない。


「頭、触る?」

「え、いいんですか?」

「いいよ」


 アンネは私に手を伸ばすと、ケモ耳を触ってくる。

 気持ちいい…


「柔らかくてふわふわです」

「それは良かった」


 アンネさんが幸せそうな顔をしている。

 そんなに触り心地いいかな。

 しばらくして、アンネさんは満足したように私から手を離す。


「ありがとうございます、癒されました」


 これがアニマルセラピーか。

 私は犬とかではないけど。


「それじゃあ仕事頑張ってね、アンネ」

「はい、ミオさんも風の大狼の討伐、頑張ってくださいね」


 そうしてアンネと挨拶をすると私はアリスの元へ向かう。

 アリスは解体出来るものがあったみたいで、それを解体してから帰るみたい。

 アリスとも挨拶を済ませ、私はギルドを出て宿へ向かう。


 宿へ向かう途中、やはり視線を感じる。

 この視線慣れないな。

 色々な感情を持った視線が、私に突き刺さる。

 差別のようなものは感じないが、けれどなかなか怖いものはある。

 有名人ってこういう気持ちなのかな?

 私は少し耳を触ると、少し小走りで宿へ向かった。




 宿に入るとマリアがカウンターにいた。


「お帰りなさいミオさん。夕食はいかがいたしますか?」

「食べるよ。…マリアさん、今暇?」

「暇ですよ、どうかしましたか?」

「愚痴なんですけど、聞いてもらえますか?」

「いいですよ、聞いてあげましょう」


 優しい…


「街を歩いてると、物凄く見られるんですよ」

「まぁ獣人族なんて普通いませんからね。珍しいんですよ」

「そうかもしれないけど、でもそんなずっと見る?ってぐらい見られるんですよね」

「そういうのって気にするだけどんどん気になっていくものですよ」

「そうなんだけど」


 的確だなぁ…


「頭撫でてあげましょうか?」

「う〜ん…お願い」

「かしこまりました」


 マリアは優しく頭を撫でてくれる。

 ケモ耳も優しく触られる。

 …すごいケモ耳触るじゃん。


「マリア、ケモ耳触りたかっただけだよね?」

「あら、バレちゃいましたか」


 マリアがうふふと笑う。


「人が悲しんでるところをつけ込むなんて」

「ごめんなさい、そのお耳かわいいから、触りたくて」

「いいよ。それじゃあ私は部屋に戻りますね」

「はい、ごゆっくりどうぞ」


 私は自分の部屋に戻るために階段を登る。



 たくさんサービスをしたミオちゃんなのでした。

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