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ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
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18話 アリスとお昼


 リスのアリス


 私は森を出ると関門に行き、個人カードを見せて中に入る。

 広場に向かうと、見たことのあるかわいい金髪を見つけた。


「アリス、何やってるの?」

「あ、こんにちは、ミオお姉さん」


 ミオお姉さんだよ〜。


「買い物が終わったので帰ろうと思ってたところです」


 アリスは2つのアイテムボックスの中を見せてくれる。

 1つの中には小さくなった野菜とパン、もう1つは小さくなったお肉が入っている。

 どういう原理なんだろう…


「ミオお姉さんは何してるんですか?」

「私はお昼ご飯を食べようと思って。アリスってもうご飯食べた?」

「はい、食べましたよ」


 食べちゃったか〜。


「そっか、何か食べたい物とかない?」

「うん、そうですね…」


 ちゃっかりアリスは何を食べたいのかな?


「あれが食べたいです」


 アリスが指差す先はワッフルが売られている屋台。

 ワッフルかぁ…

 お昼ご飯ワッフル…

 近くの串焼き食べたい…


「じゃあワッフル食べに行こっか」

「お昼ご飯はいいんですか?」

「うん、後で食べるよ」

「そうなんですか?じゃあ行きましょう」


 屋台に行きワッフルを2つ買い、もう1つの屋台に行き2つリンゴジュースも買っていく。

 近くのベンチに座ると、アリスにワッフルとリンゴジュースを渡す。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 アリスがワッフルを頬張り、アリスのほっぺたが膨らむ。

 かわいい。


「美味しい?」

「美味しいです」


 アリスはニッコリ笑う。

 何この子、かわいすぎない?

 これはつい餌付けしてしまいそうになるかわいさだ。

 私もワッフルを食べる。

 甘い。

 食後に食べる物だ…


「私、あの屋台のワッフル初めて食べました」

「そうなんだ、他のと違う?」

「うーん、よくわかんないです」


 わかんないかぁ。

 いや、ワッフルに違いを求める方がおかしいか。

 高級なお菓子店ってわけでもないし。


「お昼ご飯はいいんですか?」

「これ食べたらあそこの串焼き食べるよ」

「私も食べたいです」


 真剣な眼差しでアリスが見てくる。


「お昼食べたんじゃないの?」

「食べたけど、食べたいんです」


 アリスがすごく見てくる。


「仕方ないなぁ」


 私は串焼きを買ってくると、アリスに渡す。


「ありがとうございます!」

「いいんだよ」


 私とアリスは串焼きを食べる。

 人々が行き交っているのを眺めていると、私は自分が人々に見られていることに気づく。

 私は自分の耳を触る。

 アリスが私を見ていることにも気づく。


「触る?」

「いいんですか?」

「いいよ」


 頭を出すと、アリスが耳を触ってくる。

 耳を触られると気持ちいい。

 アリスは撫でるの上手いね。


「柔らかいです」

「そうだね」

「私もこんなお耳が欲しいです」

「やめておいた方がいいよ」

「何でですか?」


 すごい見られるからだよ。

 現在進行形で見られてるよ。


「そういえば普通のお耳もあるんですね」


 そういえば普通の耳もある。


「お耳が4つあるとやっぱり違いますか?」

「う〜ん、どうだろう」


 実際わからない。

 音の方角が正確に分かる気もしないし、遠くの音が聞こえてる気もしない。

 私は頭を元の位置に戻す。


「あぁ…」


 ごめんねアリス。

 そろそろ視線が辛い。

 私は立ち上がる。


「そろそろ行こうかな」

「どこに行く予定なんですか?」

「冒険者ギルドに行くよ。ウルフを倒したからその報告に」

「どのくらい倒したんですか?」

「25体ぐらい?」


 それを聞いてアリスが驚く。


「そんなに倒したんですか?」

「うん、群れがいたから」

「群れを倒したんですか、ミオお姉さんはすごいですね。私も後でギルドに行ってもいいですか?」

「いいけど、どうして?」

「解体の練習がしたいんです。家に荷物置いたらすぐに行きます」


 そういえば、初めて会った時もアリスは解体をしてた。


「どうして解体の練習するの?」

「私も冒険者になりたくて、お姉ちゃんにどうすればいいって聞いてみたらまずは解体を覚えるといいって言われたんです」


 そっか、この世界では解体するのが当たり前なのか。

 私は出来ないけど。

 

「ウルフに襲われて抵抗してなかったけど、魔法とか剣の練習はしてる?」

「まだしたことないです。でも!今まではお姉ちゃんに練習をしちゃダメって言われてたんですけど、昨日、魔法を教えるって言ってくれました!」


 アリスが嬉しそうに言う。

 妹が命の危険に晒されたら、流石に防衛手段を教えてあげるよね。

 テンション上がってるアリスがかわいい。


「それは良かったね」

「はい!」


 私はアリスの頭を撫でる。


「それじゃあ冒険者ギルドに行くから」

「すぐ追いつきます」


 そう言ってアリスは家に向かって走っていく。

 それにしてもアリスが冒険者か。

 不安だなぁ。

 私は冒険者ギルドに向かう。


 冒険者ギルドに到着すると、レイナさんに声をかけられる。


「こんにちはミオちゃん」

「レイナさん、こんにちは」


 やっぱり優美という言葉が似合う。


「今日はどうしたの?」

「ウルフを倒したので、それの報告に」

「へぇ〜すごいじゃん!どのくらい倒したの?」

「だいたい25体くらいかな」


 そう言った瞬間、レイナさんの声が一瞬険しくなる。


「え、25体って本当?」

「多分、そのくらい」


 レイナさんはそれを聞くと焦ったように食事スペースに行き、そこに居たリアとレスター、カインと話し始めた。

 私は気にせず受付のアンネの姿を探し始める。



 レイナにとってそんなにウルフを倒したことがすごいのかもしれませんね。

 さぁ、どうなることやら…

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