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怪鳥現る

冒険者ギルドにやっとのことで辿り着いたジェシーとミリアは、買い取りカウンターに行き、少なかった収穫物の査定を頼んだ。そして査定をしてもらっている間に、方向石を返却しようと受付のお姉さんのところまでやってきた。


「お姉さん、帰りました。これ、ありがとうございました」


「ジェシーとミリアね。はい、確かに受けとりました。今日もご苦労様」


ここまではいつものやり取りだったのだけれど、ジェシーとミリアはあの鳥のことをギルドに報告した方がいいのではないかと、帰り道に話し合っていた。

二人で顔を見合わせた後、代表してジェシーが話し始めた。


「お姉さん、私たち今日は、北のピュリンガ遺跡の辺りに行ったんです」


「まぁ、結構遠くまで歩いたのね」


「ええ、ピュリを採ってたんですが、途中で大きな鳥が出てきて、慌てて逃げ出しました。大人の男の人ぐらいある大きな鳥で、くちばしが尖ってました。色は、金い……そういえばミリア、あの鳥って何色に見えた?」


「黒いなめし皮みたいな色だったよ。ギャーギャーいってて、こわかったよねぇ」


うわぁ、私には金色に光って見えたのに、ミリアには黒色に見えたということは、あいつって魔力持ちじゃん! ということは、魔獣?

それはヤバすぎる。


ジェシーたちの話を聞いていたギルドのお姉さんは、途中から顔が強張ってきた。


「ちょ、ちょっと待って」


お姉さんが後ろのファイル棚から、分厚い図鑑のようなものを取り出してきて、せわしなくページをめくると、ジェシーとミリアにあの怪鳥が描いてある絵を見せてくれた。


「あなたたちが今日見たのは、この鳥かしら?」


「うん、これだよ」


「そうそう、頭の上にこんな長ぼそいコブみたいなものがあった」


「トリガーだ……これは大ごとだわ。ギルド長に報告してくるから、あなたたちは帰らないで待っててくれる?」


「わ……かりました」


やっぱ、ヤバい奴だったんじゃん。いまさらながら、肝が冷えてくるな。



お姉さんが奥の部屋からギルド長を連れてきたので、ジェシーとミリアはもう一度、さっき見た鳥のことを報告した。

ギルド長は太い眉毛をよせて二人の話を聞いていたが、ジェシーが話し終わるとすぐにお姉さんに問いかけた。


「おい、キャス。今、町にはC級以上が何人いる?」


「C級は、ヤンさんたちのパーティがいますから、三人は確保できます。B級は、たぶんいません。A級のルイスさんがいてくださったらよかったんですが、今は隣村のダンジョンに潜ってますよね」


「いや、ルイスは領主のところだってカーズのやつが言ってたような気がする。ちょっと領主邸まで馬を走らせて……」


いやいや、ルイスは今朝もうちでゴロゴロしてたよ。


「あのぉ、ルイスは町に帰ってきてますよ」


ジェシーが口を挟むと、ギルド長とお姉さんに怪訝な顔をされた。


「ジェシー、なんであなたがそんなことを知ってるの?」


「うちの父はA級冒険者のルイスというんですが、お二人が話されてるのは、そのルイスのことですよね。領主様のところから、五日ほど前に家に帰ってきたんですけど」


「なんだとぉ?! あいつは、帰って来た時はあれほどちゃんとこっちに声をかけろと言っておいたのに!」


「なんか、すみません」


「いや、お前さんが謝ることじゃない。しかし……娘のほうはしっかり者なんだな」


ギルド長の声には、残念な響きがある。

なんか、いつもご迷惑かけているようで、申し訳ない。



そのルイスなのだが、冒険者ギルドから討伐要請を受け、次の日、他の冒険者たちと一緒にトリガーのいる遺跡に出かけて行った。

行く時には「めんどくさいなぁ」と言いながらしぶしぶ出かけたが、現場では暴れるトリガーを瞬殺して、C級冒険者のヤンさんたちを驚かせたそうだ。


やっぱ、うちの父は「疾風の風来坊」なんだなー

ま、やる時には殺る男なんだから、人付き合いや報告業務がおろそかになるところには、目をつぶってもらうしかない、かな?

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