162 学校に武装集団OR爆破
「ねぇ、ちょっと待って」
ポムバでのランチを終え、図書館へ向かう途中、何かに気付いたように三浦さんが口を開く。
「よく考えたら、今日のテスト、気持ち悪いくらい余裕過ぎたんだけど?」
「えっ、今!?」
「気付くの遅っ!?」
「どした、ミーコ!? テストが簡単過ぎて脳みそフリーズしてたんか?」
ギャルたちが三浦さんを取り囲み頭をぽふぽふ叩いている。
それで直るの?
昭和のテレビみたいだね。
「あのさ。二日前、試験前日の日曜ね、ウチ、学校が爆破されればいいと思ってたん」
「あぁ、アッシも思ってた」
「アーシ、武装集団が立てこもればいいって思ってた」
ギャルのみんなも、僕と同じようなこと考えるんだ。
ちょっと、親近感。
「なのに、なに? 今日の世界史。ザコじゃん」
「マジそれな!」
「なんかさ、カラオケで好きな曲入れたら、一番のサビしか曲なかったみたいな感じじゃね?」
「あぁ、分かるかも、その感じ!」
「Cメロ歌いたいのにね、こっちは!」
「Cメロはエモいや~ねぇ~」
独特な感性だなぁ。
共感してる人多いみたいだけど。
「もう、学校爆破しなくてもいいや」
「むしろ、武装集団とか立てこもったら、アーシらが排除に動くまであるよね」
「『ウチらの学校に何すんだ!』ってね」
めっちゃ学校愛が強くなってる。
そっかぁ、勉強が出来るようになると、学校って楽しいことしかなくなるんだ。
友達がいて、行事があって、おまけに勉強は余裕となれば……
「「「学校、楽しっ!」」」
こうなると。
「試験期間中には、死んでも思わないはずだったことを、今思ってる自分にビックリだよ」
「それはよかったです。勉強した甲斐がありましたね、みなさん」
「いや、ポーズのおかげだし!」
「マジ感謝! いや、リスペクト!」
「リスペクトは重いので、ご遠慮ください」
高名瀬さんがギャルチームから距離を取る。
「つーかさぁ、ポーズはそーゆーの考えないっしょ? 爆破されろとか、武装集団来いとか」
「ないっしょ、テストとか余裕なんだし」
高名瀬さんが学校に行きたくなくて、学校の消滅を願うとか……想像できないな。
「爆破や武装集団による占拠などは考えませんが――」
メガネを持って、くいっと持ち上げる。
「――校庭に野良犬が乱入すればいいのに、とは、しょっちゅう」
「なにその可愛い妄想!?」
「つか、野良犬は危険じゃね?」
「大丈夫です。わたしは動物に好かれるタイプですので」
「嘘吐け、鳩にフンぶつけられて泣いてたくせに」
「りっちゃん!?」
「え、なに、それ? 聞かせて」
「聞いてはなりません!」
「小2の時さ、ポーのランドセルに鳩がフン落としたの。したら、こいつギャン泣きして、『もうつかえなーい!』って」
わぁ、幼女高名瀬さん、可愛い。
「で、父親が娘にめっちゃ甘い人なんだけど、次の日には新品のランドセル買ってきたんだって」
「うっわ、親バカ」
妹ちゃんだけを可愛がってるわけじゃないんだね、高名瀬パパ。
わぁ、高名瀬さんの頬っぺたが真っ赤。
「なんだけど、そのさ、新品の……ふふっ、ランドセルをさ、背負ってきた初日にまた鳩にフン落とされて」
「ポーズ、お前、鳩に何したし!?」
「嫌われ過ぎじゃね?」
「え、もしかして、主食が鳩だとか?」
「わ、それは嫌われるわ」
「じゃあなに? カレーとか鳩にかけんの?」
「え、鳩、可哀想」
「やめたげなよ、ポーズ」
「してません、そのようなことは!」
物凄い一気にイジられたね、高名瀬さん。
校庭に野良犬が来ないかな~とか言っただけなのに。
「りっちゃんには、特別カリキュラムを追加です」
「えっ、なんで!? ひどくない!?」
いやいや、戸塚さん。
「なんで!?」じゃないよ。
高名瀬さんだよ?
そりゃそうなるよ。




