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彼女と僕の口外法度《かくしごと》~地味で巨乳なクラスメイトの秘密を知ってしまった僕の話~  作者: 宮地拓海


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159 試験初日の放課後

「ちょっ、ポムバ大丈夫なん? 割引し過ぎじゃね?」


 高名瀬さんが使用した『団体様70%割引クーポン』の効力に驚愕したギャルたちがざわついている。

 僕なんかはもう、すっかり慣れたものだ。


「アーシ、ポムバ友達登録しとくわ」

「アッシもする、マジする」

「あ、見てみて、スタンプ売ってる」

「買う買う、わ、やば、可愛くなくて逆に可愛い」


 ギャルたちが賑やかだ。

 なんか、すごい輪の中にいるな、僕。


「こんな賑やかなの、初めてかも」

「わたしもです」


 すごいパワーだ。

 あの中に平然と入っていける戸塚さんとオタケ君はすごいと思う。


 僕と高名瀬さんは端っこの方でしゃくしゃくとかき氷を食べている。

 ちょっと、輪に飛び込んでいくのを躊躇ってしまった結果だ。


「図書館と言っておいてよかったですね」

「え?」

「部室でという話でしたら、きっと三浦さんたちにその存在が知られていましたよ」

「あ……」


 そっか。


「部室のことすっかり忘れてた」

「なんで忘れてるんですか」


 いや、ここ最近、部室以外で高名瀬さんと会ってたから。

 部室じゃなくてもいろんなところへ行けるな~って。

 なら、図書館デートの方が尊いかな~って。


「もう、誰の目も気にせず、どこでだって高名瀬さんと仲良くできるようになって、嬉しいな、僕は」

「そういう話では、今は、ないです……」


 しゃくしゃくと氷イチゴをかき込んで、「いたっ」と、頭を押さえる高名瀬さん。

 あぁ、なるなる。かき氷頭痛ね。


「忘れないでくださいね……大切な場所なんですから」

「充電スポットだしね」

「それだけじゃないです」

「お菓子貯蔵庫?」

「それだけじゃ……もぅいいです」


 あ、そうか。


「高名瀬さんと仲良くなれた、思い出の場所だもんね」

「…………っ」


 おっとぉ?

 めっちゃ睨まれてるぞ?

 間違えた、かな?


「……なんだか、チャラいです」

「そんなことないってば」


 どうしても、そのイメージが払拭できない。

 結構誠実に接しているつもりなんだけどなぁ。


「わたしは、あの場所が好きですよ。静かで、落ち着いて、楽しくて」

「うん。僕も」


 まぁ、戸塚さんとオタケ君が入部して随分と賑やかになったけれど、それはそれでとても楽しい。


「今度は部室でテスト勉強しようか?」

「残念ながら、試験期間は学校に残ることは出来ません」

「そうだっけ?」

「担任の話を何も聞いていませんね?」

「あの人の話熱過ぎて……頭に入ってこないんだよね」

「確かに、八割が精神論でしたからね」



「いいかお前ら。試験は難しいかもしれないが、気持ちで負けるな! 気持ちを強く持って挑めば、試験など恐れることもない! 気合いだ、気合い!」



 ……その精神論を口実に勉強を放棄した生徒がいたら、どう責任を取るつもりなんだ。


「ん?」


 ふと見ると、高名瀬さんが僕の宇治金時を見ていた。


「食べる?」

「えっ?」

「僕の食べさしでよかったら」


 スプーンをかき氷にさして、高名瀬さんの方へ少し近付ける。

 その僕の手をじっと見つめて――


「……鎧戸君は、京都の出身だったりするんですか?」


 ――そんなことを聞いてきた。

 それは、照れ隠しなの?


「どうして? 一応、東京生まれ東京育ちだけど」

「食べかけのことを『食べさし』というのは、京都の人に多いそうですので」

「あ、そうなんだ!?」


 普通に使ってたけど、方言だったのか。


「母親が京都の人でね。家でよく言ってたんだよ、食べさしだけどって」

「よくシェアしてたんですか?」

「うん、……姉に取られたり、母に奪われたり、父が気の毒がって分け与えてくれたり」

「なんというか……自由ですね、鎧戸家の女性は」


 だよね。

 少しくらい枷をはめておいた方が大人しくなっていいよね、あの連中は。


「それで、抹茶が好きなんですか?」

「どうだろう? グリーンティーっていう、京都のあまい抹茶があるんだけどね」

「家族で旅行に行った時に飲みました。冷たくて甘くて、とても美味しかったです」

「そうそう、それ。それが好きだったからかなぁ」

「なるほど、……ふふ。鎧戸君の歴史に少し触れた気分です」


 きゅん!


 え、なに、今の!?

 めっちゃきゅんとしたんだけど!?


「な~に、二人でイチャついてんだよ」


 きゅんとした胸を押さえて仰け反っていたら、「すぱこーん!」と、後頭部をはたかれた。

 戸塚さん、かと思ったら三浦さんだった。


「ポーズも、こっち来て一緒にしゃべろうよ」

「え、いえ、わたしは」

「いいからいいから。鎧戸も混ざれ」


 おぉう、高名瀬さんへは提案だったのに、僕には命令だ。

 これが、クラス内カースト……


「どう、しましょうか?」

「まぁ、試験期間ならではの時間の使い方ってことで、ね?」

「……そうですね」


 誘われるままに、僕と高名瀬さんもギャルたちの輪に加わる。

 本当に、賑やかな時間だった。


 そして――


「じゃ、アーシらカラオケ行くから!」

「いや、あんたら、勉強は!?」

「何言ってんのミーコ、今さら遅いって」

「気持ちで負けなきゃテストにも負けない!」

「気合いよ、気合い!」


 ……担任佐々木、貴様のせいだぞ。

 変な精神論広めるから。


 それが、勉強から逃げる口実を生み出し、そして――



「では、その気合いが如何ほどのものか、わたしに見せてください。反論がある方は『わたしのクーポン』で浮いた70%分の差額を徴収させていただきます。大丈夫です。気合いで乗り切れる程度の簡単な問題を解いてもらうだけです。出来た方から随時お帰りいただいて構いませんので。……では、図書館へ移動しましょう」



 ――魔王を蘇らせてしまったのだ。


 担任佐々木。

 貴様の罪は重い。







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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます!!!こうして魔王様率いる秀才軍団が誕生するのであった。洗脳学園。でも皆んな幸せ不思議空間w
おぉ 魔王様がお怒りじゃ~
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