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彼女と僕の口外法度《かくしごと》~地味で巨乳なクラスメイトの秘密を知ってしまった僕の話~  作者: 宮地拓海


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152 油断大敵

 なんだか、どっと疲れた買い物を終え、我が家に帰還した。

 ……何なんだ、あの建物は。


 体電症の研究者御用達。

 つまり、姉と同類の天才的変態がうじゃうじゃ集まる建造物か……


「魔窟だな」

「いえ、メイ先生や危険な本屋さんのいたフロアだけが酷くて、上のフロアは普通のショッピングモールのようでしたよ」

「なら、あのフロアにだけコンクリでも流し込めばいいのに……」

「なぜ、普通の改装で思いとどまれないんですか。発想が物騒ですよ」


 なぜも何も、そうしないと逃げ出して他所で悪さするじゃないか、アレらが。


「異界化してたよ、あのフロア」

「イカイカ……あぁ、異界化ですね」


 一瞬、きょとんとした表情を見せた高名瀬さん。

 あのフロアに可愛いイカがひしめいて「イカ、イカ!」ってしている様子でも思い描いたのだろう、頬がちょっと緩んでいる。


「可愛いものが好きなんだね」

「何も言ってないじゃないですか、わたしは別に」

「イカ、イカ☆」

「もう、本当にうるさいです、鎧戸君は」


 グイっと、僕を押してくる高名瀬さん。

 スキンシップが自然になってきている。

 なんだか、すごくくすぐったい、


 あれ、待って?

 これって、こっちからの反撃もありな感じ?

 いやほら、男が女子に触れるって、結構気を遣うじゃない?

 関係が構築できてるつもりで、頭ぽんぽんってやって訴えられた会社の上司とかいたし、見極めは非常に慎重に、かつ客観的に行わなければいけないわけだけれども……これは、そろそろOKなのでは?


 よし、とりあえず、今さっきの「もう」のお返しということで……


「あ、そういえばこの辺、新しい交番が出来たんですよ」

「交番って新しく出来るようなものなの!?」


 工事中の空き地の看板見て、「あ、ここ交番出来るんだ~」とか思ったことないけども!?


「冗談です。……鎧戸君が、なんだか怖い顔でこちらに手を向けて、指をむにむに動かしていたので、ちょっと警戒したまでです」


 顔と態度に出てたっぽい!?


「違うよ? 別にやましいことをしようとしていたわけじゃないからね?」

「鎧戸君、もう一度、落ち着いて、今のご自身の格好を第三者視点で客観的に顧みてくださ」


 自分の格好?

 両腕を胸の高さに持ち上げて、手のひらを前に向け、広げた指をもにもに……


「おっぱいを揉もうとしている!?」

「言語化はしなくて結構ですが、その格好が他人にどのように受け取られるかがご理解いただけた点は評価します」

「スキンシップ難しい!?」

「いえ、本来であればそこまで難しくはないはずです」

「高名瀬さんだって、決して得意ではないはず!」

「……うるさいです」


 ティッシュ箱を投げつけられた、IN、我が家のリビング。

 ……照れて、「もう」が出来なくなってるじゃないか。苦手だって自白してるようなものでしょう、それはもう。


「高名瀬さんが頻繁にスキンシップしてくれるようになったから、心開いてくれたんだな~って思ってさ。じゃあ僕も~って思ったんだけどねぇ」

「そっ……そんな、頻繁にはしてませんよ、わたしは……」


 少し距離を取り、ソファに座り、クッションをぎゅっと抱きしめて鼻をクッションにうずめる。

 うずめたまま、視線だけがこちらを窺うように上目遣いで見つめてくる。


「……不快、でしたか?」

「とんでもない! むしろウェルカム!」

「そういう発言は、少々危ない香りがするので控えてください!」

「ノット、アット、オール! ラザー歓迎!」

「英語と日本語の比率を反転させないでください! 分かりにくいです」


 でも、瞬時に理解してくれる高名瀬さんが好き☆


「……一応、勉強は進んでいるようですね。『not at all』は強調の副詞表現として今回のテストに必ず出ますので忘れないでくださいね」

「|It’s not at all difficult!《全然難しくないさ☆》」

「Complacency is the enemy」

「ごめん、その英語聞いたことない」

「油断大敵という意味です」


 へぇ~、勉強になるなぁ。


「わたしの座右の銘でもあります」

「うん、何だろう。ハイスコア目前で、ちょっとした油断でいつもはしないようなミスをして悔しがっている高名瀬さんの姿が脳裏に浮かんだよ、今」

「そのような、ありもしない妄想を信じ込まないでくださいね」


 いやいや、めっちゃありそうだから。

 自分の敵は自分、みたいな感じでさ。


「あ、そうだ。妹ちゃんのお土産用のチョリッツの味見してみない? いっぱいあるから持ってくるね」


 と、僕が自室へ行こうとしたら、高名瀬さんがクッションをぎゅっと抱きしめて呟いた。


「Complacency is the enemy……」


 視線の先には、今日買った水着が入ってる紙袋。

 なるほど。

 水着になるためには、甘い物の過剰摂取は危険なのか。


 油断大敵……

 うん。

 案外使いどころ多いんだなぁ、『Complacency is the enemy』。



 ……っていうか、思い返してみれば、油断して騒動起こすこと多いよね、高名瀬さん?

 もっと心に刻んでおいてね、『Complacency is the enemy』って。







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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます!美少女が クッションで 顔埋める 口元や目は感情が分かりやすいですからね。ポーちゃんは小動物。
まあ自分に必要ない言葉なら座右の銘にはしないよねww
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