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彼女と僕の口外法度《かくしごと》~地味で巨乳なクラスメイトの秘密を知ってしまった僕の話~  作者: 宮地拓海


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119 意外な一面

「はぁ……素敵過ぎます」


 箱から出された魔王デスゲート・プリズンのフィギュアを見て、何度目かのため息を漏らす高名瀬さん。

 魔王が勇ましく立つ台座にはシルバーのプレートが埋め込まれていて、そこには『0001/ORIGIN』の文字が刻まれている。


 オリジン。

 こういう風に表記されるんだ、称号って。


「四桁ってことは、限定千個?」

「9999個です。なので、凄まじい競争率になっていたんですよ」

「ちなみに、お値段は?」

「12万円です」


 高っ!?

 想像の遥か上を行ったな!?


「おそらく、ネットでは何倍もの価格で取引されるでしょうね」

「え、でも転売禁止でしょ?」

「そのリスクを冒してでも売りたい人と、それでも買いたい人がいるんです。……ヘタをしたら、十倍……いや、二十倍くらいになるかもしれません」


 240万!?


 でも、ありそうで怖い。


 ゲームショップミソサザイの店長、鷦鷯ささきさんはお店があるからと早々に帰っていった。

 本当にフィギュアを届けに来ただけらしい。


 本当にいい人なんだなぁ。

 見た目も柔和で、いいおじさんっぽいし、気遣いも出来て、僕のスターターセットも丁寧に選んでくれたし。


「あ、もう出回ってるね」


 と、姉がスマホをこちらに見せてくる。

 画面を見ると、オークションサイトに魔王のフィギュアが出品されていた。

 現在の値段は……500万!?


「それだけ出してでも欲しいって人がいるんだねぇ」

「競り合いがすごいのよ。片方の人は、どうしても負けられないって感じ」


 そんなことを言っている間にも、値段はどんどん上がっていく。

 誰かが500万1000円と入札すると、すぐさま上書きするように501万円に変わる。


 少額ずつ入札する人を叩き潰す作戦だな、十倍入札。

 絶対に降りる気がないという意志の表れだろう。


 どこの金持ちがそんなことをやっているのかとユーザーネームを見てみると……



『ミソサザイゲーマー』



「……これ、店長さんじゃない?」

「たぶん、転売した人間を割り出そうとしてるんだろうね」


 そうか、落札すると住所と名前が分かるもんね。

 もし偽名でも、シリアルナンバーから割り出すことが可能か。


「ちなみに、盗品や密輸品、その他転売が禁止されている商品の出品は規約違反だから、相手の情報だけ得て、お金は払わないつもりだろうね」

「世に悪の栄えたためしなし、だね」


 まぁ、それはそれでいいことなんだろうけれど……店長さん、案外怖い人なのかな?

 執念がすごいよ。


 そんな店長さんの奮闘などつゆ知らず、高名瀬さんは店長さんから受け取った魔王様を見つめている。

 よく飽きないなぁ。


「はゎゎ……」


 そしてもう一人。

 高名瀬さんのちょこっと後方で、高名瀬さんと同じくらい顔を赤くしてうるうるお目々で魔王のフィギュアを見つめている女子がいる。


「戸塚さん、どしたの?」

「か……っこいい」


 戸塚さんもなの?


「じ、実は、あたし、その、初恋がさ、魔王様なんだよね……あはは、子供だったし、当時メッチャ流行ってたし」


 うわぁ、ここにもいた。

 初恋が魔王様な女子。


「りっちゃん! ……分かる」


 高名瀬さん、全力の同意である。

 両手で戸塚さんの手を握り、うんうんと力強く頷いている。


 やっぱ似るんだなぁ、親友って。


「近くで見ていい?」

「うん。でも、お触りはご遠慮ください」

「触れないよ……恥ずかしくて」


 本気で恋してんじゃないか。

 なに、その乙女な発想。

 樹脂だよ? 樹脂を固めて形つくって色を塗っただけだよ?


「男子が、綿で出来た三角形の女性用下着に並々ならぬ興味を示すのと同じようなものだな」


 そういう感じなのか、姉?

 戸塚さんと高名瀬さんが、物凄く微妙な顔で貴様のことを見ているぞ、姉?

 本当にそういうことなのか、姉?


「魔王デスゲート。俺も子供のころに憧れたものだ」


 と、オタケ君。


「じゃあ、その筋肉も魔王様に憧れて?」

「それもある。が、一番は舐められないためだ」


 そういえば、オタケ君は舐められるのが一番嫌いなんだっけ?


「舐められると、ちょっかいをかけられるだろう? いわゆる、イジられるというやつだが、そうなると、服をめくられるようなことが増えるんだ」


 あぁ、確かに。

 意味もなくズボンをずらしてきたり、服をめくって上半身を露出させたりして、ゲラゲラ笑ってるよねぇ。

 何が面白いんだか分かんないけど。


 男のパンツに価値なんてないのに。


「だから俺は、誰にも舐められないように強さを求めたんだ」


 オタケ君のシャツを、ふざけてめくり上げられる人はいないだろう。

 なるほど。

 それで舐められたくなかったわけか。


「メタリックな乳首を隠すために」

「『体電症を隠すために』でいいじゃないですか、そこは!」


 魔王を見つめていたはずの高名瀬さんから鋭いツッコミが入る。

 いや、でも、結局のところメタリック乳首を隠したいわけで。


「色が目立つから、すぐにバレちゃうもんね」

「いや、そういうことではなくてだな…………乳首がこすれると、変な声が出てしまうから……」


 えっ、そんな理由!?


 あれ、もしかして、保健室で「きゃっ」とか言ってたのって、咄嗟に乳首を隠した時にバスタオルで擦れたから!?


 うわぁ……謎が解けちゃった。







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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます!転売ヤー撲滅委員会係長補佐官補佐の私は許せない!ホットケーキの粉買い占めた怨みはまだ忘れていないんだから!(怒)魔王様が魔王様を全肯定からの鎧戸ファミリー以外団結しましたな。…
戸塚さんも魔王推しやったのかww
予想より高かった~ それにしても、店長もなかなか。払う気無い店長に張り合える相手は、どんな想いをこめているのやら。 しかしかっこいいのね。一人だけ、この話題に参入できないやつw
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