○閑話~勇者誕生~
お待たせしました!最新話投稿しました(≧▽≦)
「あれ…。ここは?」
トキヤは当たりをキョロキョロと見回した。
「確か俺は寮の部屋に居たはずなんだが…。」
何処までも続く真っ白な空間。
状況がのみ込めないトキヤは首を傾げた。
「ここにいても仕方が無い。とりあえず進んでみるか。」
ここで立ったままいても状況が変わるはずも無い。
トキヤはとりあえず探索を始めた。
「ん?アレは何だ?」
探索を始めたトキヤの前に塔のような物が見え始めた。
トキヤがその塔に辿り着くと塔の扉がひとりでに開いた。
「…。入れって事か?」
トキヤは中へ入っていった。
塔の中には石造りの上へ上る螺旋階段があり、とりあえずトキヤは頂上を目指し上っていった。
到着した頂上は何も無い真っ白な空間となっていて、そこには金髪碧眼の頭には金の輪っか、背中に二対の真っ白な翼を持つ如何にも天使といった感じの中性的な人物が立っていた。
「ようこそ勤勉ナル者の塔へ。私はサンダルフォン。『勤勉』の試練を司る者です。」
サンダルフォンと名乗った天使は柔和な笑みを浮かべた。
「俺はトキヤと申します。すみません。いつの間にか迷い込んでしまいまして…。『勤勉』の試練とは一体…。」
トキヤが困惑した表情を浮かべているとサンダルフォンは何かを悟ったような表情を浮かべ、
「『勤勉』の試練とは『勤勉の勇者』に成るために課せられる試練の事です。」
全く…。リュートはろくに説明もしないで送り込んで来たんですね。と、サンダルフォンは苦笑していた。
「…。(ああこれ、リュートからのクエストか…。)なるほど。分かりました。なら、折角ですから試練を受けさせてください。」
「分かりました。では始めましょう。『勤勉』の試練はただ一つ…。過去の貴方を倒して下さい。」
サンダルフォンがそう告げるとトキヤの前に自分そっくりの人物が現れ斬りかかってきた。
「とどめだっ!『アドバンス・スラッシュ』!!」
激しい死闘の末、トキヤは漸く過去の自分を切り伏せた。
それを見届けたサンダルフォンが拍手をしながら
「『勤勉』の試練突破おめでとう!トキヤ。君に『勤勉の勇者』の称号と『勤勉の勇者の装備』を授けましょう。」
と、そう告げた。
ピロン♪
『勤勉の勇者』の称号の獲得とそれに伴いユニークスキル『勤勉』を取得しました。ワールド・アナウンスが流れます。プレーヤー名を明かしますか?』
画面の一番下に『はい』と『いいえ』のボタンが表示されていた。
「知られたら面倒な事になりそうだし名前は伏せさせて貰うか。」
ポチン♪
トキヤは『いいえ』を選択した。
ピーンポーンパーンポーン♪
『勤勉の試練がクリアされました。大天使の力を得たことでFWO内で最初に生まれた勇者となる『勤勉の勇者』が誕生しました!なお、匿名希望の為クリアプレーヤー名は伏せさせて頂きます。』
こうしてFWO内に勤勉の勇者が誕生した。
「はっ!!」
トキヤは気が付くと寮の部屋に戻って来ていた。
「…。夢だったのか?いや…。アレは現実だったみたいだな。」
トキヤは変わっていた自分の装備を見て『勤勉』の試練が現実だった事を悟った。
「おっ!試練突破したみたいだな。」
声のした方を向くとそこには楽しそうな笑みを浮かべたリュートの姿があった。
「!リュートさん!はい!無事クリアしました。」
「本当によかったよ。これで漸く心残りが無くなって僕も逝くことが出来るよ。」
リュートは安心したような笑みを浮かべた。
「もしかしてあのクエストって…。」
「そう、君に僕の後継ぎ…。『勤勉の勇者』になってもらうためのクエストだよ。だからクエストの報酬はその『勤勉の勇者』の力さ。だからクエストクリアおめでとう。」
「ははは…。ありがとうございます。」
トキヤは苦笑していた。
「じゃあそろそろ僕は逝くことにするよ。後は任せたよ『勤勉の勇者』!」
そう言うとリュートは光の粒子になって消えていった。
ピロリン♪
─ 『 ─ っ目の七不思議が解決されました。』
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