お買い物配信
銀行は近所だったからまだいいが、亜人専門の用品店は大都市にある。
だから自家用車を持っていない俺としては、公共交通機関を利用する必要があったのだけど、バスには当分の間乗りたくなかった。
何だったんだ、あの事故……。
あとでニュースになってないか調べてみよう。
少なくとも俺達兄妹は死亡しているんだけど、こうして生き返っている以上、表向きにどうなっているのかはよく分からん。
もしかして最初から、事故が無かったことになっているのだろうか?
それはともかく、鉄道を使うことにしたのだが、神々としては発券とか改札とか、色々な物が珍しくて楽しかったらしいよ。
また少しポイントの投げ銭を貰った。
で、1時間ほど電車に乗って、目的の店がある大都市に到着した訳だが……。
「なんだかボク、注目されているような気がします……」
今の俺が獣人ということは勿論、男だということもばれていないよな……?
●:ナオきゅんが可愛いからじゃないかな?
「可愛いって……!」
●:いや、可愛いよ 2000P
ポイントまで付与されて言われると、恥ずかしいんだが……。
ガチ感が増すんだよなぁ……。
「というか、慣れない女装の所為で、お兄ちゃんが挙動不審になっているからじゃないかな……」
「あぅ……」
水杜に突っ込まれたが、確かにそうかもしれない。
というか、小さな妖精になった水杜は、ハンカチを身体に巻いているだけなのに、堂々としているのが凄い。
幻術を使って透明化しているとはいえ、実質的に服を着ていない全裸状態なのだが……。
●:そのままナンパとやらをされるまで、駅前で待ってみる?
「ひえっ!?
それは嫌すぎるので、目的の店まですぐに行きますよ!」
今の俺をナンパするのって、当然男だよなぁ?
おっさんとかに性的な目を向けられるとか、鳥肌ものだわ。
で、到着した目的の店は、5階建てのビルで、全フロアが亜人用の店らしい。
当然、客や店員の中にも、亜人の姿が散見された。
こんなに多くの亜人を見たのは初めてだ。
いるところにはいるんだなぁ。
さて、まずは服を買おうか。
近くにいた店員に声をかけてみよう。
「あの……初めてなんですけど、サイズがよく分からなくて……」
「大丈夫ですよ~。
こちらで採寸しますので」
犬耳の女性店員に聞いてみたが、彼女は朗らかに対応してくれた。
「え~と……ボクが男でも?」
「ほほう!
大丈夫ですよ!!」
うわ、急にテンションが変わったぞ、このお姉さん(たぶん年下)。
●:草
●:ショタコンってやつかw
それからお姉さんが薦めてきた服を、試着することになったのだが……、
「なぜ女物ばかり……」
お姉さんが選ぶのは、女物ばかりだった。
「似合うものを着た方が、いいと思います!
そもそも女性服で来店したのは、お客様ですよ!
それに合わせていますので!」
「う、うぅ……」
なんか勢いが凄すぎて、抵抗できない……。
せめて少しくらいは男物も……。
結局、お姉さんの勢いに押されて、試着のファッションショーをさせられた。
これ、羞恥プレイだよね!?
……まあ、さすがに下着(一応男物)のショーは、させられなかったけど……。
「いいです!
実にいいですよ!」
●:洋服代 15000P
●:これでいいものをお食べ 10000P
●:いいじゃん 7000P
●:もっと短いスカートを! 4000P
でも視聴者にも好評で、ポイントが乱れ飛んだ。
そんなに男の娘のファッションショーがいいんか、神々?
●:ナオ君も、尻尾フリフリで結構楽しそう。
いや、そんな馬鹿な!?
疲れるだけだぞ!
それに女物も。結局買わされることになったし。
「素敵だったので、値引きしますねー」
お姉さんも、本当にそれでいいんか……?
というか、そんな権限があるってことは、経営者サイド……?
●:結構楽しかったぞ
だけど、やっぱり女子の買い物は長いなぁ……と、個人的には思う
「あっ、それちょっと分かります」
子供の頃、母親の買い物に付き合うのは、退屈だった記憶がある。
服とかそんなに興味はなかったし。
神様的にもそういう感覚なんだ。
いや、本当に神様か、こいつら……?
実はまだ半分疑っているぞ。
ネットスラングを使いこなしている奴もいるしなぁ……。
その後は、水杜の服や生活用品を買った。
妖精の服や日用品は、まるで人形用のオモチャだ。
しかしそれらは、本物の素材を使って作られているし、値段はむしろ通常の物よりも高価だった。
こんなに小さく作るには、それなりの特殊な技術が必要なんだろうなぁ。
で、その高価な妖精用の品を買った訳だが、それでもなんとか17万円くらいで済んだ。
勿論、俺の衣服を含めて……なので、予算の範囲内だな。
だが、大量の荷物になったなぁ……。
これは配送してもらった方がいいかな?
そう思っていたところ──、
「お兄ちゃん、荷物はアイテムボックスに入れるといいよ」
水杜からのアドバイスが入る。
「ん? どうやってやるの?」
●レナ:頭で仕舞い込むことを、念じればいいだけですよ
他の基本スキルの詳細についても、妹さんに使い方を教えてありますので、後で聞いてください
「あ、本当だ。
荷物が空中に吸い込まれた。
助かった……」
これなら手ぶらで、家に帰ることができる。
なかなか便利だな。
「またのご来店をお待ちしております!」
「ええ、また来ます」
店から出ると、外はすっかり夜になっていた。
ファッションショーの所為もあるが、結構いろんな商品があったので、それを見て回るだけでも、かなり時間がかかったもんな。
●アイ:うん、いい店みたいだから、うちの信者にお告げで教えたい
神の一人も、そんな反応をしていた。
「え、亜人の信者が多いんですか?」
●アイ:私、獣人の神なんよ
マジか。
今や獣人の俺も、信仰しないと駄目?
とりあえず、名前だけは覚えておくか……。
で、用事を終えた俺達だが、そのまま帰宅するのではなく、せっかくなので夕食を食べてから帰ることにした。
神様達も日本食に興味があるのではないか……ということで、回転寿司だ!
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