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コボルト達、何処からか来て何処へ行く

「わうわう(物知りなら長老)」


 コボルト達は、1匹の年老いた個体を指さした。

 正直言って、コボルトの個体差なんて俺には見分けがつかないし、年齢も当然よく分からないんだけど、その長老の毛並みには艶が無くてボサボサだったので、確かに年老いている印象はあった。


「わうう?(僕に何か用?)」


 ……って、長老でもそんな子供みたいな口調なんだ……。

 実際には何歳くらいなんだろうね?

 犬と同じなら、10歳くらいでも老人ということもあり得る。

 そのくらいの年月では、精神が老成することも無いのだろうな……。


 とにかく情報を聞き出してみよう。


「神様の像について、知ってることを教えてほしい」


「わうう?(神像様?)」


「誰が作ったのか分かるかい?」


「わんわう(ご先祖様だよ)」


 ふむ……それなりに年月を経た、由緒正しき物のようだな。

 それならば、何かしらの神の力が宿っている可能性はありそうだ。

 上手くいけば、神々と連絡を取ることができるかもしれない。


 ついでにダンジョンの出口について、知っているのかも聞いてみるか。


「外の世界については知ってる?」


「わう?(そと?)」


 やっぱり知らないか?


「わん、わうわうわう(僕らは安住の地を求めて地下に潜った……って、お爺ちゃんから聞いたことがあるよ)」


「なんだって?

 それは本当かい!?」


 長老に詳しく聞くと、コボルト達はその昔、異世界の地上に住んでいたらしい。

 しかし外敵から逃れる為に、たまたま見つけた洞窟──実はダンジョンだった──へと逃げ込み、そこで村を作ったのだとか。


 ああ、ダンジョンの魔物って、こんな風に異世界から流入して増えるのか……。

 まあ、それだけではないのかもしれないけど。


 というか、コボルト達の祖先がダンジョンに入ったのは、かなり昔のようだけど、地球の方でダンジョンの入り口が出現したのは15年ほど前の話だ。

 つまり、異世界の方にはもっと昔からダンジョンがあって、それが徐々に時間をかけて広がり、15年ほど前になって地球に繋がったってことなのかな?

 だとしたら、ダンジョン内で特殊な生態系が構築されるには、十分な時間だろうな……。


 で、神像は、コボルト達がまだ地上で暮らしていた頃に作られたもので、そこから運び込んだらしい。


 なお残念ながら、地上までの道は既に忘れ去られているらしく、ダンジョン脱出の為の手掛かりにはならなかった、

 ……というかここって、コボルト達の足でも踏破できる程度の距離だから、地球よりも異世界に近いよな……。


 仮に外への出口を見つけたとしても、未知の部分が多い異世界に行ったら、危険が更に増す可能性もあるぞ……。

 まあそもそも、コボルト達からその経路の記憶が失われているので行けないけど、それならばやはり神像を通して、神々と連絡を取るしかないか……。


「オークに奪われた村は、何処にあるのかな?」


 俺はコボルト達から案内役の人員を借り受け、奪われた彼らの村へと乗り込むことにした。




「村はこの先か……。

 分かった。

 君達はもう帰っていいよ」


「わわう!(いや、僕達も行くよ!)」


「ええぇ……」


 道案内をしてくれたのは、初めて出会った例のコボルト3匹だ。

 ここまで案内してくれたのはありがたいが、潜入任務なら俺一人だけの方が安全だ。

 ぶっちゃけ、俺よりも身体能力が低く、各種スキルも有していないコボルトでは足手まといでしかない。


「君達には、このまま帰ってほしいかな……」


「わうわうわう!(でも、神様だけに危険なことはさせられないよ!)」


「わおーん!(そうだそうだ!)」


「静かに!

 オークに気付かれる!」


「わう……」


 このように強く言えば黙ってくれるし、コボルト達の聞き分けが悪いということでもない。

 それでも彼らが強硬な態度に出ているのは、ひとえに俺のことを心配してのことだろう。

 その気持ちは嬉しいのだが、だからと言ってこのままついてきて死なれても困る。


 仕方がない……。


「君達にはこれをあげるから、お留守番していてね」


「わう!?」


「わおん!(いい匂い!)」


 俺は「アイテムボックス」に保存していたお好み焼き(豚玉)を取り出し、コボルト達の前に差し出した。

 これには味が濃い紅ショウガや犬にとって毒となるネギ類は入っていないし、塩分や糖分が多いソースやマヨネーズもかけていない状態なので、犬が食べてもさほど問題は無いだろう。

 まあ、多少油分は多いだろうが……。


 いや、犬にとって安全なものが、コボルトにとってもそうだとは限らないけど、半分人型なら大丈夫だよな……?


「わ……わうう……」


 コボルト達は、使命感と食欲の間で揺れ動いていた。

 だが、口からよだれをダラダラと()らしているところを見ると、完全に食欲の方が勝っているように見える。


「これはもう最後だからね。

 だから、みんなには内緒だぞ?」


 本当はまだ沢山あるのだが、2度と食べられないかもしれないと思えば、コボルト達も陥落するだろうという狙いで嘘をついた。

 そして実際、コボルト達は折れて、お好み焼きを嬉しそうに食べてから集落へと戻っていった。

 ちょろくて助かったぜ。


 なお彼らが、臭いでお好み焼きを食べたことがばれてしまい、仲間達から糾弾されたのは別の話である。

 ブックマーク・本文下の☆での評価・いいねをありがとうございました!


 多肉植物のユーフォルビア・紅彩ロリカの花が咲きました。数年前から育てているけど、初めてなので嬉しいです。

 一方、種から育てていたサボテンが腐って悲しい……。100鉢以上多肉植物を育てているけど、今までに腐らせたことは5回も無いのに……。

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