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コボルトの集落へ

 その後、コボルト達から話を詳しく聞くと、神像が奪われたというよりは、神像がある彼らの村自体がオーク達に占領されてしまったというのが、より正確な実情らしい。

 ある日突然、オーク達がコボルトの村へと襲い掛かり、略奪と虐殺の限りを尽くしたのだとか。


 オークよりも圧倒的にひ弱なコボルト達は、村を捨てて逃げ出すことしかできなかった。

 しかも今は別の場所に避難している彼らだったが、そこは元の村ほど食料が手に入りやすい場所ではなく、食料を得る為に遠出をしなければならなかった。


 だが、オークに捕まっしまったのかそのまま帰らない者も多く、食料不足に(おちい)ったコボルト達は全滅の危機に瀕している状態だという。

 今回、俺が出会った3匹も、餌を確保する為の決死隊ともいえる者達だったのだ。


 ……こりゃ、見捨てる訳にはいかないよなぁ……。


「みんなの所へ案内してくれる?」


「わう?」


「少しなら、食料を分けてあげられるよ」


「わうー?(本当?)」


「本当」


「わおーん!!(すぐ行くよ!!)」


 そんな訳で、コボルト達の集落へと行くことになった。


 まず3匹の案内で訪れたのは、コボルトや俺のような、小柄な体格の者しか通れないような、狭い通路だった。

 ここならオークや狼は入り込めないので、彼らに対しては絶対的な安全地帯と言える。


 しかし小型の魔物ならば入り込めるし、その場合は逃げ場に困る狭さではあった。

 ただ今のところ、この周辺で他の魔物は見たことが無いので、心配しても仕方がない……か。


 で、その通路を抜けた先には、そこそこ広い空洞があった。

 そこにコボルト達の集落がある訳だが、着の身着のままで逃げてきた避難民である彼らには家などはなく、ダンジョンの床に雑魚寝している状態であるようだった。

 中にはケガをしている者もいるし、子供や年老いた者は弱ってもいるようだ。


 そんなコボルト達の雰囲気が良いはずもなく、暗く沈んだ空気に支配されていた。

 ……のだが──、


「わうわうわうー!(神様が来たよー!)」


「いや、違うが……」


 俺は否定しているのに、こいつら聞きやしねぇ……。

 そして他のコボルト達も、俺のセリフだけスルーするし……。


「わう!?(神様!?)」


「わうーん!!(神様だー!!)」


 コボルト達の空気が一気に明るくなる。

 この喜びようを見ると、ちょっと否定しにくいな……。


 ただ、このままでは群がってこられそうなので、先に手を打っておこう。


「きゃうん!?」


 俺がアイテムボックスから取り出したオークの死体に、コボルト達は悲鳴を上げた。


「きゃうん!? きゃわうん!?(それ生きてる!? 死んでるの!?)」


「死んでるけど……。

 君達、これ食べる……?」


「わうん!?(いいの!?)」


「わおーん!(やったー!)」


 この喜びよう……よっぽど食料に困っていたんだな。


「でもいいの?

 君達の仲間を食べたかもしれないオークだけど?」


 ならば間接的に、同族を食べるようなことになると思うが……。


「わう?」


 首を傾げるコボルト達。

 あ、そういう複雑なことは考えてないな、こいつら……。

 じゃあ、あえて指摘して気付かせるのも藪蛇か。


「わうわうん!(こいつを食べて、僕達も強くなるの!)」


 あ~、確か原始的な思想で、食べた相手の力を得る……って考え方あったんだっけ?

 実際、中世のヨーロッパでは、処刑された罪人の肉を食べることで、罪人に対抗する力を得るとか、薬の代わりになるとか、考えられていたそうな。

 

「足りないならまだあるから。

 ケガをしている者も、治療してあげるよ」


 回復魔法もあるから、やれることはやっておこう。


「わん!(ありがとう!)」


 で、コボルト達がオークを解体して、その肉で簡単な料理を作り始めた(かたわ)らで、俺はケガ人の治療をしてあげた。

 その結果、大喜びをしたコボルト達によって、ちょっとしたお祭り騒ぎが始まる。

 まあ、俺は彼らのテンションにはついていけずに、ぼんやりと見守るしかできなかったが。


 だって、ちぎれんばかりの勢いで尻尾を振りながら、クルクルと回転しているコボルトなんて、どうしたらいいのか分からないわな……。

 いや、本人達も興奮しすぎて、自分達が何をしているのか分かっていないようだったが……。

 たぶん無意識で行われた喜びの舞……って感じなのだろう。


 そしてそれが落ち着いたら、みんなで一斉に食事を食べ始める。

 これもちょっとしたパーティーとなった。

 ただし俺は、オークを食べなければならないほど差し迫った空腹状態ではなかったので、食事には参加せず、魔法で作った水を給仕する係に徹する。

 水不足だったらしいコボルト達には、これも喜ばれた。


 そんな風に、コボルト達の飢えや渇きなどの欲求を満たし、彼らが落ち着いた頃に俺は問いかける。


「君達の中で、1番の物知りは誰?」


 オークに奪われた村を奪還する為には、情報が必要だった。

 ブックマーク・本文下の☆での評価・いいねをありがとうございました!


 ちょっと時期が早いけど、サボテンの「海王丸」を植え替えました。まだ直径が3cm程度の小ささです。

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