ベートーヴェン『ヴァイオリンソナタ第9番“クロイツェル”』
レフ・トルストイさんに『クロイツェルソナタ』という短編小説があります。
その中にこの曲が出てくるのですが──
トルストイさんのこの曲に対する『憎悪』のようなものが凄まじく、それまで同曲を聴いたことがなかった私は、『ど……、どんな曲だ!?』と読み終えるなり即CDを買いにいきました。
物語のあらすじはよく覚えてないのですが……
確か愛の冷めた夫婦がいて、奥さんはピアニストだった、ベートーヴェンの『クロイツェル』を一緒に演奏したヴァイオリニストの男性とハァハァな仲になり、浮気を知った夫に妻が刺し殺される──みたいなお話でした。
トルストイさんの作品らしく、夫がとにかく神への道を人生で最も重要なことと信じ、えっちなことを人生に最も必要ないものだとしている人物なんですね。
だから夫は嫉妬に狂ったとかではなく、自分の主義に著しく反することをした妻を許さず、罰を与えるために殺しちゃったようです。
怖いですね……。
ほとんど狂信者。
そしてベートーヴェンの『クロイツェル』をも夫は憎んでいました。
この曲を耳にすると性欲が高まってしまうから──みたいに。
聴いたら性欲が高まっちゃう音楽ってどんなのよ?!
すごく興味をそそられて、CDを買いました。聴きました。
確かにこれはエロい……というより、おどろおどろしい?
人間の中から悪魔を引き出すような魔力のある曲です。ブラック・サバスの『黒い安息日』レベル。
でも、べつにハァハァはならないよ?
コリン・ウィルソンさんの本で読んだのですが、トルストイさんは若い頃、異常性欲者だったそうです。
キリストの教えに反する自分の情欲を嫌悪するあまり、反動的に極端なストイシズムに陥ったのだと思われると書いてありました。
……なんだ。
結局トルストイさんがエロすぎるだけやん。
でもこの曲はカッコいいのでお気に入りになりました。




