第64話 上質な布
救援物資を持った、バロメッツ領主の機体が、積み荷を降ろしていく。
「これは、目が詰まって、上質の布だ・・・」
「毛布が、暖かいのーッ!」
ファルティアは、満足そうに腕を組んでいた。
「ようやく、バロメッツ領に自動機織り機を導入できました。
綿、絹、羊毛・・・
リシテアール本国どころか、他の宇宙国家にも輸出できます。」
「ははは!
もともと、我がバロメッツは、王国時代から織物で成っていた!
頼りにされてよいぞ!」
機体から聞こえる、マトン・バロメッツの声・・・
「あーッ!
もう!
あの筋肉オヤジは!」
ファルティアは、顔を手で覆った。
機体の中から出てきたのは、彼の側室の一人である人羊シープの父親であるマトンだった。
その彼は、肉色のマントをまとっていて、筋肉質だった。
「うう・・・
私のとっては、こんなんでも「身内」だ・・・」
ファルティアは、頭を抱えた。
「ぷぷッ・・・
寒いにゃ・・・
マトン領主・・・
「羊肉」と「マント」・・・
わからないヤツもいるにゃ。
仕事するにゃ。」
隠れるようにいたのは、ミハイル・ミケランジェロだった。
「あなたたち・・・!
仕事をしなさい!」
私は、怒鳴った。
「にゃーははは!」
ミハイルは、梱包を解き、民衆に毛布と衣類を配っていく。
「夜は、寒くなってきたにゃ。
これで暖まるにゃ。」
マトンのせいだと、信じたい。
「後は、人材がキティルハルムからくる手はずです。
皆さん、がんばってください!」
ミリアム女王は、住民たちを鼓舞した。




