第44話 猫の女王曰く・・・
「こうして、我が祖母は、「猫邪神」を討ち取ったのです。
かの邪神は、祖母に対してこう言ったといいます・・・
「愛など誰も信じてなどいない・・・
綺麗ごとなどいうな。」
とね。
しかし、祖母はこういったのです。
「そうであるかもしれない。
しかし、だからといって誰も「綺麗ごと」など言わなくなってしまうと・・・
そうすれば、人々は愛などなくし、いずれ滅ぶ。
だから私は、「綺麗ごと」を言い続ける女王であり続ける。」と。」
ファルティアは、「三教皇」に語って聞かせた。
「かつて、地球では文明の水準が高くなることで、人々はそれに追いつくことができなくなっていきました。
結果、まだ未成熟な年齢で恋愛の結果が不幸に終わる例が続き・・・
この事実に現実の厳しさを思い知った彼らは、「その道」を相次いで「棄てた」と聞きます。」
「では、我らはその例に漏れず・・・」
「としか、私には見えませんでした。」
獣王の感想に、うなづくファルティア。
「気に入らないなら、避けるか壊す?
愚の骨頂です。
気に入らなければ「変えれ」ばいいのです。」
「そうにゃ。
「変えれ」ばいいにゃ。」
ミハイルが言った。
「祖母は、自分が綺麗ごとを言わなくなれば、誰も同じ「人」が「希望」を口にしなくなると言っています。
これでいいのでしょうか?
人の未来は・・・」
ファルティアの表情は、柔和にほほ笑んでいたのに、眼光は鋭かった。
希望を誰も口にしなくなると・・・
人は、種を維持できなくなるかもしれません・・・




