第38話 原理主義聖職者
「これはこれは・・・」
ファルティアは、神殿を見上げた。
この種の神殿は彼自身、母星の「邪馬台国」の「出雲殿」位しか見たことがない。
「さぞや、労力がかかっているのだろう・・・」
祖国・キティルハルムや、自らの国では、一か月の仕事が、何年にも及びそうだ。
「ファルティア帝国皇帝・ファルティア・・・
お召しにより、参上しました。」
ファルティアは、天竜王、獣王、ハイ・エルフの女王にひざまずく。
「ほほう・・・
「駄猫」の分際で、礼儀正しいことであるな。」
「わたくしと一族は、「図書館の猫」であります。
ゆえに、まずごあいさつをと思い、求めに応じて参じました。」
天竜王に、ひるまずに対応するファルティア。
「ならば・・・
服従の証として、奴隷と貢物を渡せ。」
それを聞き、ファルティアの目は光った。
「できませぬな。」
「何?」
「私はあくまで、この惑星の宗教界と共存しようとしたまで。
私が見てきた「神」は、いずれも「共存」を旨とする神・・・
そして・・・
「外交」においては・・・
第一の選択は「同条件下」の共存・・・
第二の選択は「戦争」・・・
第三の選択は「服従」・・・
我ら民は、「第三の選択」を認めませぬ!」
ファルティアは、もう一つの図書館を構えた。
「我ら一族の中には・・・
「特使」を冷遇したがゆえに、戦争をおこした歴史があります。
覚悟されよ・・・!
我ら「猫」は、怒ると「手がつけられ」ませぬゆえに!」
ファルティアの身体から、神波動が立ち昇った。
その目が、ゆっくりと細まる・・・
「猫」さながらに・・・
どうなることやら・・・




