第31話 闇鍋企画
今は、ファルティア帝国と「月夜国」の国境となった場所の、緩衝地帯・・・
女王サザナミは、仰天した。
そこには、猫の皇帝その人と正室・側室・・・
評議員や将軍・・・
兵士たちが、「鍋」をそれぞれのグループで囲っていたのだ・・・
「宰相・・・
火力弱いっすよ・・・」
柴犬のような感じの人狼が、スケコマースに言う。
「こら、待ちたまえ。」
スケコマースは、だいたい中級くらいの火炎魔法で、燃料を燃やす。
「うはッ!
皇帝陛下が釣った巨大ウナギ・・・
うまいっすね・・・!」
人兎の魔導士が、ミハイルに声をかけている。
「当たり前にゃ!
「皇帝領」近海に生息する巨大ウナギ・・・
「ファルティアオオウナギ」にゃ!」
「さあ!
キティルハルム本国において、その王家は民に巨大ウナギの「闇鍋」を振舞う!
我が兄・惑星ミリアリア大公ライティアも、こうして年に数度「闇鍋大会」を行っている!
皆で、召し上がってくれ!」
「こ・・・
これはなんじゃ・・・」
サザナミは、目を丸くした。
「これは・・・
自分が優越感に浸るためか?
それとも、ワナでも・・・」
そう言いつつ、サザナミが歩き出すと・・・
「うッ!」
射すくめるような、ファルティアの視線・・・
あたかも、「獲物を狙う猫」の目だ。
「そこにおわすは、月夜国の女王サザナミ陛下とお見受けしますが・・・?
我らは、ただ「闇鍋」を皆で愉しんでいるだけですよ・・・」
言葉と正反対に、ファルティアの表情は、意地の悪いモノだった。
ファルティア:おいしいですよ・・・
「闇鍋」・・・




