第30話 狐の一族
祭壇の上で、袴姿の巫女女王が演説していた。
「どの国も、あの薄汚い猫共に屈したというのですか!」
「し・・・
しかしながら、女王・・・
かの猫皇帝は、侵略を待って「反撃」して勝っておるのです・・・」
宰相宮司が、誅言する。
これを「マッチポンプ」というが、ファルティアの場合は「天然」である。
「いいですか!
「殴ったら負け」なのです!」
「「殴り返される」というのですか!」
「違います!
言わば「鋼鉄の盾」を同じ速度で出されて、「拳を砕かれる」と言っておるのです!
ある国では、かの皇帝がたった一人で軍を返り討ちにし・・・
ある国では、軍を「丸洗い」したとか・・・」
「ええい!
この「神国」を侵されてなるものか!」
月光の下で激高した女王サザナミだが・・・
ファルティア軍は、一向に来なかった。
それはそうだ。
ファルティアは、一度も「自分から」手出しはしていないのだ。
その様子を、ミミとメアリーは物陰から見ていた。
「ずいぶん、血の気の多い女王様ね。」
「でも、今に動くにゃ。
陛下の一手が楽しみにゃ。」
メアリーは、ニヤリと笑った。
「趣味悪いですね。」
「いいや。
陛下が、愉しい「正当防衛」を次々やってくれるからにゃ。」
ミミ:専守防衛の恐ろしさ・・・
思い知るといいでしょう・・・




