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第五十九話・某団体が規定違反者を告発



 部外者ながら某団体のトラブルを垣間見ましたので、今回はその話。そこは元公共だったが、現在は民間になっている。ために全部書くと差しさわりがありますので、かなりぼかして書きます。

 過日、私はその民間団体主催の催しに行きました。Wとします。博物館などの展示系と思ってください。

 会場を去る時、出口に今後の展示予告や講演会のお知らせと一緒に手製のポスターがありました。その中の一枚に注目。内容はWの監査で、役員の不正が見つかったという告発でした。


 ↓ ↓ ↓

 不正をした人間の実名が目立つように大きく書かれています。

 ↑ ↑ ↑


 告発人はW委員会。ただし、告発日などの年月日や公印はない。ですから公式のものではありません。某役員の不正が判明して、怒った他の役員が不特定多数の入場者に向かって開示したものと思われます。

 私はこれを何度も読み返しました。一ページにまとめた告発文です。裁判がどうの、刑事告訴がどうのとは書いていないので、不正とはいっても上手に? やられたため、法的にはどうにもならないために、こういうやり方で告発したのかもしれません。いわば私的制裁ですね。

 長らく拙文を読んでくださっている人はご承知ですが、私は今なお叔母Jの不祥事を告発したくても、Jの元雇用者が時効かつ資料を処分したという理由で拒否されています。なので、こういうやり方はOKなのかと思いました。

 これで果たして相手への「制裁効果はある」 のか。逆に名誉棄損にならないのか。悪いことをしても、それを告発した私のように逆に傷つく場合だっていっぱいあるだろうに。

 私はこの成り行きを知りたくなりました。また参考にしたいと思い、私は館内に引き返し、入り口にある券売機横の事務室に行きました。


「あの~すみません。ちょっとお伺いしたいことが」

 男性事務さんが出てきました。気さくな感じです。

「はいはい、なんでしょう」

「出口にあった、告発文ですが、◎◎さんの件」

 男性の表情が硬くなりました。

「取材かなにかですか」

 私はそのへんにいる婆なのに。それだけ告発文に興味を持つ人がいないのか。

「違いますよ。ただ◎◎さんが不正をしたとありましたので」

「じゃあ、◎◎さんと知り合いですか」

 どうしてそういう会話になるのか。奥から別の事務員も出てきました。年配の男性。仰々しいことになりそうで、逆に私がびっくりする。どうも後から出てきた人が最初の人より、地位が上らしいが、その人は私に向かっていきなり笑いだしました。

「いや~、それはもう解決したのです。あの紙は、はずそうと思っていたところです。はっはっは」

 最初の人も追随して、「はっはっは」 と笑う。これは私に対する「円満的拒絶」 ですね……。

 彼らにとって私は得体の知れぬ人間。詳細を教えてくれるはずがない。私はすぐにあきらめ、「解決したならいいです、お邪魔しました」 と言って帰りました。

 次に行ったときはその告発文ははずされていました。だからあの張り紙に対する反応は、なかったといえます。公表期間もなにもわからない。W委員会は控えめながら、◎◎さんの実名を公に書くことで溜飲がさがったのだろうか。




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