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第37話 事後処理


「……よし、これで全員だな」


 手分けをしてこの店にいた立てこもり犯全員を拘束した。もちろん持っていたマジックアイテムなどはすべて没収してある。


 全力で睾丸を蹴り上げた男たちの2人は失神していた。まあ、人質を取って立てこもり、そのうえ女の子に乱暴しようとしたようなやつらだ。それこそ、このまま下半身が使えなくなったとしても俺の知ったことではない。


「あの、お兄さん……」


 華奈に声を掛けられる。ちなみに華奈は俺が予想した通り、不測の事態に備えて透明腕輪で姿を隠しながら人質のそばにいてくれたようだ。


 ……それにしても、ヒゲダルマや匿名キボンヌはアレだからと言ってお兄さん呼びされるのはなんだかむず痒い。そして華奈が言いたいことは良く分かっている。


「ああ、安心しろ。ちゃんと治療はするぞ」


「そうですか!」


 ほっと胸をなでおろす華奈。もちろん治療をするというのはこの立てこもり犯などではない。


 俺はこいつらに斬られたこのお店の店員さんと、女性をかばって殴られたと聞いた男性をポーションで治療してあげた。ダンジョンの中での怪我は自己責任だが、この人たちは理不尽に怪我をしただけだからな。


 大半の怪我人はそこまで大きな怪我ではなかったので、普通のポーションでも十分治療ができた。特に酷い怪我をしていた店員さんにはハイポーションを使ってあげる。


「あの、この度はなんとお礼を言っていいのか!」


「本当にありがとうございました!」


 怪我の治療をしてあげた店員さんや人質になっていた人たちから感謝の言葉をもらった。店員さんに確認をしたところ、店内で人質になっていた人たちはこれで全員だから、この中にいるはずのタヌ金さんも無事なはずだ。


 これで俺の目的は果たしたわけだし、警察やダンジョン防衛隊の人が来る前にさっさと退散するとしよう。


「本当にありがとうございました。私はこの店の責任者をしているものです。あなた方のおかげで、従業員やお客様が無事に助かりました!」


 そう思ったところで、この店の店長らしき40~50代の男性が俺や2人に向かって頭を下げてきた。


「あの、ツインズチャンネルの華奈さんと瑠奈さん、そして会見の際に出ておりました……匿名さんですよね?」


「……ああ」


 どうやらこの店長さんは俺たちのことを知っているらしい。


 華奈と瑠奈の配信チャンネルを見て、匿名キボンヌと名乗った俺のこと匿名さんと呼んでいるのだろう。


「従業員にまで貴重なポーションを使用していただき、本当に感謝しております。もちろん使用されましたポーションの代金やマジックアイテムの代金などはこちらで払わせていただきたいと思います」


 怪我をしていた従業員やお客さんに使用したポーションの代金や、俺が使用した透明腕輪やマジックリフレクションの使用した分の代金を補填してくれるということだろう。


 だが、マジックアイテムについてはまだ十分に予備がある。それよりも店長さんにはもっとお願いしたいことがある。


「それは不要だ。それよりも今回の件について警察やダンジョン防衛隊、それとダンジョン協会に対してうまく伝えておいてくれ」


 ダンジョンがこの世界に現れてから、ダンジョン法がこの日本でも制定された。ダンジョンから持ち帰ることができる不思議な力を持ったマジックアイテムの中には、危険な物や悪用すれば犯罪に使えるような物が数多くある。


 事実、ダンジョンができた当初はマジックアイテムを使った犯罪などが数多く起きたらしい。そのため、現在のダンジョン法では、危険なマジックアイテムや武器に対しては厳しい規制が設けられており、ダンジョンの外で危険なマジックアイテムなどを使用することはダンジョン法によって禁止されている。


 そりゃこんな危険な武器やマジックアイテムを使用して喧嘩なんて起きたら、周りに大きな被害が出るに決まっている。


 今回の件についても、結果的には被害を出すことなく立てこもり犯を拘束することができたが、勝手に現場へ入って危険なマジックアイテムを使用したということで、俺や2人が罰せられる可能性も十分にある。


「もちろんでございます! 皆様が助けてくれなければ、お客様が人質としてここから連れ去られていたか、最悪の場合にはこの店にいた者全員が見捨てられていた可能性もありました。本当にありがとうございます!」


 当然そんな危険な武器やマジックアイテムを使用する犯罪者に対して、それらを制圧するダンジョン防衛隊などには強い権限が与えられている。


 ダンジョンがなかった時代、銃が一般人にも販売されている国で警察や特殊部隊などが他の国よりも厳しくなるのと同じことなのかもしれない。


「たまたまニュースを見て、近くにいたから手を出させてもらっただけだ」


 本当はリスナーであるタヌ金さんを助けに来ただけなのだが、本当のことを言ってしまうとタヌ金さんに迷惑が掛かる可能性も高い。


 もしかしたら、ここにいる人たちと俺や華奈と瑠奈の関係性が調べられる可能性もあるが、俺たちのリアルに接点はないから大丈夫だろう。というか、この中の誰がタヌ金さんなのかすら知らないわけだしな。


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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 まぁハンネ(?)もキャンタマっぽいですし…まさか女の子とは思わないでしょうし、その予測にすらたどり着かなかったみたいですねヒゲダルマさん。 ここは是非どっかでタヌ金さんから…
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