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第19話 戦闘シーンがないことに定評のある配信


「それと、モンスターと戦うのはいいが、別の配信とかでやっているモンスターでの遊びみたいなのは絶対にやらないからな」


 モンスターの戦いのスリルを味わう遊びみたいな配信や、あえてスリルを出すために防具なしでモンスターと戦うといった配信もあるらしい。他にも捕らえたモンスターをどれだけ苦しめて殺すかという酷い配信なんかもあるのが現状だ。


 リスナーさんの話によると、2人のチャンネルはダンジョンを真剣に攻略するダンジョン配信らしいから、その心配はないと思うが一応な。


「もちろん大丈夫です。内容はセーフゾーンでヒゲダルマさんへの質問をすることと、ヒゲダルマさんとモンスターの戦闘を配信させてもらうくらいだと思います」


「それなら大丈夫か」


”でもヒゲダルマの戦闘は戦闘になってないけれど大丈夫なのか? @たんたんタヌキの金”

”ダンジョン配信なのに、モンスターとの戦闘シーンがないことに定評がある配信だぞ…… @ケチャラー”

”今更だけど、どんな配信だよ!? @ルートビア”

”最近だとダンジョン飯の配信として見ているからな。 @†通りすがりのキャンパー†”


「言っておくが、戦闘で手を抜く気はないぞ。いくら格下のモンスター相手でも、一瞬の油断で死の危険があるのがダンジョンだからな」


「ええ、大丈夫ですよ。皆さんもヒゲダルマさんが全力で戦う姿が見たいと思いますから」


「僕もベヒーモスとの戦いは全然覚えてないから、すっごく楽しみだよ!」


”そういえばベヒーモスとどう戦ったのかは俺たちも見ていないな。到着したらベヒーモスがクビチョンパ状態だったし。 @月面騎士”

”いつも通り首を斬って一撃だったのかな? @WAKABA”


「確かに結果的には一撃だったな。ただ、あのベヒーモスは完全なパワータイプだったから、戦闘経験を積んでスピードのある相手に慣れていたら手ごわかったと思うぞ」


「僕の防具が紙切れみたいだったよ。かなり丈夫な防具のはずだったのにね……」


 そう言いながら、少し青い顔をする瑠奈。一度は死にかけたんだから、それも当然か。


「モンスターは基本的に首を落とすのがおすすめだ。急所の心臓を一突きするのもいいが、モンスターの心臓はどこにあるか分かりづらいし、一撃で仕留められなかった場合には平気な顔をして反撃してくるからな。とはいえ、首を落としても動けるモンスターもいるから、どんな時でも油断は禁物だぞ」


 あいつらは腹とか首を斬っても平気で反撃してくることもあるから怖い。


「そ、そんなモンスターもいるんですね……」


”あれはさすがにビビったな。本当にダンジョンのモンスターの身体の構造はわけが分からない…… @†通りすがりのキャンパー†”

”あの時はヒゲダルマさんも危なかったけれど、あれは油断するなという方が無理だよ…… @WAKABA”

”奥にはそんなヤベーモンスターもいるのか。ダンジョン怖い……ダンジョン怖い…… @ルートビア”


「あとは単純に首を落とした方が血抜きができて肉がうまくなるんだよな。モンスターも外の動物と同じで心臓が血を身体中に運んでいるから、心臓を先に止めると全身に血が残って肉質が悪くなる。頸動脈を斬ると血が一気に吹きだすから、首をはねて心臓を首よりも上に持っていくと――」


”そういうのはいいから! リスナーが求めているのはそういうことじゃないんだよなあ…… @たんたんタヌキの金”

”個人的にはそういう情報もみんなに知ってほしいんだけれど、需要は少ないだろうな。 @†通りすがりのキャンパー†”

”ライブ配信とか、いろいろとやらかしそうな気しかしないんだけれど、本当に大丈夫……? @ルートビア”


「……えっと、きっとなんとかなりますよ!」


「たぶん大丈夫だ……よ?」


 うん、とりあえず俺の信用が全然ないことは良く分かった。


 血抜きとか解体については最初は自分で調べて適当にやっていたけれど、ちゃんとした血抜き方法をキャンパーさんから聞いて試したら、圧倒的にそっちの方がうまかったんだよな。


 それ以来、俺もただモンスターを倒すだけでなく、倒し方についてもちゃんと考えるようになった。


「それでは詳細が決まりましたら、またご連絡しますね。恐らく数日後になると思います」


「ああ、こっちはいつでも大丈夫だ」


”そりゃダンジョンに住んでいて、働いてもないんだからなw @たんたんタヌキの金”

”住所不定の探索者って、なかなかいないよねえ…… @WAKABA”

”間違ってもその格好で行くんじゃないぞ。防具とか大剣とか、普段のヒゲダルマのとは違うやつにしておけよ。 @月面騎士”

”不安でしかないんだが…… @ルートビア”


 ぐうううう~


「はううっ!?」


「「………………」」


 今後の打ち合わせの話をしていると、瑠奈のお腹が盛大になった。


 恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながら、お腹を押さえている。いつも簡単に抱き着いてくる割に、こういうところは女の子なんだな。


”恥ずかしがっている瑠奈ちゃん可愛すぎ! @月面騎士”

”こりゃあ、人気出ますわ。スクショして永久保存しておきたい! @たんたんタヌキの金”

”こら、デリカシーがないわよ! でも可愛いわね! @WAKABA”


「さて、今日はせっかくだから、例のイレギュラーのベヒーモスを食べてくれ。何度か食べてみたが、かなりうまかったぞ」


「えっ、本当にいただいてもいいんですか!?」


「ああ、この肉を手に入れられたのも2人のおかげだからな。遠慮なく食べてくれ」


 そんな感じで瑠奈の腹の音には触れずにみんなでベヒーモスのステーキを食べた。


 久しぶりに誰かと一緒に食卓を囲んだが、それもなかなか悪くないものだ。


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