かくれんぼのゲーム
僕、かくれんぼが下手だったんですよ。
隠れる方じゃなくて、見つける方。センスがないんですかね、はは、子どもの頃、全然見つけられなくて。
ああいうのって、ここにいるんじゃないかなって思うところをさがすわけでしょ? 僕がここかなって思うところには大抵誰もいなくて、友達に笑われてて。
それが、今思うと深層心理でコンプレックスになってたのかな。
ほら、今、プログラムが義務教育になるだのなんだのって騒がれてますけど、ああいうのって特に子どもは興味あるじゃないですか。中学生の時、プログラムに手を出してみたくなっちゃって。
本格的なやつじゃあなくて、初心者向けのやつ、簡単なプログラム言語ってやつですか、それを使ってね。
ああいうのって、大抵子どもはゲームつくるんですよね。初心者がよくつくるのがもぐらたたきゲームか、オセロとかだって。
でも僕は、ここで話が前につながるんですけど、かくれんぼのゲームをつくったんですよ。
スキャナーで取り込んだ近所の路地の写真をつかって。その写真をたて4つと横6つのマス目にわけて。ゲームをスタートすると、そのマス目のどこかに隠れるわけです。隠れるっていうか、要するにその24マスのどこかが正解のマスになるだけなんですけど。
で、プレイヤーは鬼になって、その24のマス目のどこかを選んでクリックする。見事、隠れているマス目――正解のマス目をクリックすると「みーつけた」って表示されて、そうじゃなかったら「そこじゃないよ」って表示されるんです。
ミスは3回までオッケーで、4回ミスしちゃうとゲームオーバーで再スタート。シンプルでしょ。
でもね、僕、その自分でつくったゲームでも、全然見つけられなかったんです。何度、どこをクリックしても、「そこじゃないよ」って。すぐにゲームオーバー。
ただこれに関しては、僕が特別運が悪いってわけでもないですよ。だって友達にプレイしてもらってもそんなもんでしたから。正解する確率そんなに高くないですもんね。あっ、友達はみんな、すぐに飽きてやめちゃったんですけど。そりゃあそうですよね。こんなシンプルな運任せのゲーム、面白いわけがないから。
僕だけは張本人なんでムキになってひたすら繰り返しプレイして。本当に、何にも面白くないゲームを、どれくらいだろう、百回にはいかないくらいですかね、でもそれくらいやりましたよ。
ようやく、今でも覚えてますよ、電柱の根本のマス目をクリックして「みーつけた」って出て、満足してやめて、後は一切プレイしませんでした。だって面白くないですからね。
それでプログラム自体への熱も冷めて。まあ、それからも時々、思い出したようにプログラム手を出したりはしたんですけど。
この前ね、実家帰ったら、本棚にその例のかくれんぼゲームを入れて焼いてたCD-Rを見つけまして。CD-Rですよ、はは、懐かしいですよね。
それで、ひょっとしてと思ったらと思って、ドライブに入れてみたら、読み取れたんですよ、データが。早速やって見ましたよ、かくれんぼゲーム。
やっぱりまったく面白くなかったですよ。相変わらず、見つけることもできないで、「そこじゃないよ」ばっかりで。
でね。ふと気になって、プログラムコードをのぞいてみたんです。
そしたら、今なら簡単に分かるんですけど、僕、すごい初歩的なミスをしてたんですよ。変数処理を間違えてて、正解のマスをクリックしても「そこじゃないよ」って表示されるようになってたんです。
だけど確かに中学生の時、一度、「みーつけた」って出たんですよ、絶対に。
何を見つけてたんでしょうね。




