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第三ルナックス戦争4

 イリスの砂嵐が止むと、虫人たちが倒れ伏していた。

 虫人たちの脳裏でバルメロイの命令が反芻される。


「砦を崩せ、オークを招け。」


 たとえ首が飛んでいようとも、命じられたことに変わりはない。

 武器を取り、立ち上がると。上空から無数の矢が降り注いできた。


 矢は手足を執拗に狙い、虫人の群れを大地に縫い止めていく。


 虫人がいかに肉体の限界を超えようが、肉体に依存していることに変わりはない。

 手が止まれば武器を持てず、足が止まれば前進できない。


「虫人対策だが、頭部は狙うな。頭蓋骨は硬く。少し揺れれば外れてしまう。狙うなら手足だ。まずは足からだな。」


 アーカードの言葉を思い出しながら、防壁の中でルーニーが号令を下す。


 虫人たちを蹴散らした近接部隊はこれを放置。先にいるオークたちめがけて前進を続けている。


「弓兵部隊、第二部隊と交代! 第一部隊は休息を! 第三は引き続き矢の補充だ!」

「虫人の機動力を削ぎ次第、アーカードさんの援護に回るぞ!」


 兵力の分断には成功した。

 後はオークの始末だが、ルーニーはオークをどう倒すか聞かされていない。


 戦力差は大きいはず、一体どうやって。



 

「アーカードさん、オークが見えて来ました。数およそ600!」

「こちらの3倍か。構わん、突き進め。」


 奴隷兵は少し驚いた顔をして、「はい」と応える。

 この奴隷兵もオークを倒す方法を聞いていない。


 防衛任務だというのに、アーカードは蹴散らした虫人を放置してさらに前進している。

 本来ならその場で砦を守るべきだが。


 そこまで考えて奴隷兵は考えるのを止めた。

 アーカードさんがやることだ。何か理由があるのだろう。


 自分のような奴隷が無駄に考えるより、賢い者に従った方が物事はうまくいく。

 何も考える必要などないのだ。 


「なんだ。不安そうだな。」

「いえ、そんなことは。」

 

 不安がる奴隷兵にアーカードが続ける。


「いいか、今回の勝利条件はオークの群れの中心部にイリスを投げ込むことだ。」


 驚いた奴隷たちがイリスを見ると、奴隷におんぶされたイリスがダブルピースしていた。

 まるでお菓子をもらった子供のような笑顔だ。


「し、しかし。そんなことをしたらイリスが。」

「イリスを放り投げたら、全員戦線を離脱しろ。巻き込まれるからな。」


 確かに、防衛せずにオークの群れに突貫し、中心部にイリスを投げ込むだけならば3分の1戦力でも可能だろう。


 近隣の村を手当たり次第に襲い、陵辱の限りを尽くしたオークに少女を投げ込む?

 それで、どうなるのですか?

 

「それでどうなるかだと?」

「単純なことだ。この戦争が終わる。」


 皆は納得したような顔をするが、不安がる奴隷兵には理解が及ばない。

 イリスを見ると、なんだかウキウキしていた。


 先ほどの砂嵐を呼んだのもこの少女だ。

 また不思議な力で敵をやっつけてくれるのだろうか。


 いや、だとしても無傷というわけにはいくまい。

 もしかしたら、命懸けの自爆攻撃なのかもしれない。


 もう少し、あの子と話をしていればよかったな。


 そんなことを思っていると、ルーニーの矢が頭上を越えてオークに降り注ぎ始めた。

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